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2024年10月23日
「妊娠糖尿病」は世界的に増加 食事と運動に取り組めば予防・改善できる どの女性にもリスクが
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- 予防 糖尿病の検査(HbA1c 他) 糖尿病合併症
妊娠糖尿病(GDM)は、妊娠中に発症し、多くは出産後に消失する、血糖値が高くなった状態。
妊娠糖尿病を発症する女性は増えており、世界で約17%の出生児で、妊娠中に母体で何らかの高血糖がみられたと推定されている。
妊娠糖尿病(GDM)の遺伝的リスクが高い女性であっても、食事や運動などの健康的な生活スタイルにより、糖尿病の発症を予防できたり、糖尿病を管理できることが明らかになっている。
妊娠糖尿病を発症する女性は増えている
国際糖尿病連合(IDF)によると、妊娠糖尿病(GDM)は、妊娠中に発症し、多くは出産後に消失する、血糖値が高くなった状態(糖代謝異常)。 妊娠中の高血糖は、母親と赤ちゃんの健康に影響を及ぼし、高血圧、早期産、羊水異常、巨大出生体重児など、合併症を引き起こす可能性が高まる。 妊娠中に胎盤から、血糖の調節をするインスリンの働きを妨げる可能性のあるホルモンが分泌されるとみられている。これはインスリン抵抗性として知られており、インスリンの働きが抑えられた状態で、妊娠中に起こる正常な現象の一部だか、一部の女性ではインスリン抵抗性が亢進して、妊娠糖尿病が引き起こされることがある。出生児の17%は妊娠中に母体で高血糖が
IDFは、世界で2021年には約2,110万人(16.7%)の出生児で、妊娠中に母体で何らかの高血糖がみられたと推定している。とくに40代からの高齢出産になると、妊娠中に高血糖になるリスクは高くなるとみられている。 GDMは、母親に長期的な影響を及ぼす可能性がある。GDMの病歴がある女性は、出産後5~10年以内に、2型糖尿病を発症するリスクが高くなるとみられている。 また、妊娠中に高血糖レベルにさらされた子供は、成長してから太りすぎや肥満になりやすく、2型糖尿病を発症するリスクも高くなる可能性があるという報告がある。
※妊娠糖尿病について、下記サイトで詳しく解説されている。
妊娠糖尿病 (公益社団法人 日本産科婦人科学会)
一般社団法人 日本糖尿病・妊娠学会
必要な治療を早期にはじめることが大切
妊娠糖尿病には症状がないこともあり、症状がないのに突然に診断され、ショックをうける妊婦も少なくない。 妊娠糖尿病と診断された女性は、お母さんや赤ちゃんの合併症を予防するため、妊娠中の血糖を正常にするよう、適切に管理する必要がある。かかりつけ医など医療チームと相談しながら、準備をして計画的に妊娠をすることが大切になる。 妊娠糖尿病はほとんどの場合、血糖値を管理するために、食事や運動などの生活スタイルの変更と、必要に応じてインスリンなどの薬物療法を行うことで、安全・適切に管理できる。 妊娠糖尿病の早期発見は、必要な治療を早期に開始するために不可欠であり、母親と赤ちゃんの両方の合併症を防ぐのに役立つ。 妊娠糖尿病が発見された場合も、血糖を適切に管理できていれば、合併症もなく通常通りに出産し、産後も血糖が正常化することが多い。 「妊娠糖尿病の早期治療は、あなたと赤ちゃんの健康問題を防ぐのに役立ちます。重要なのは、適切に対応できるようにするため、検査を受けて、妊娠糖尿病が発見された場合は、治療計画をたてることです」と、米国糖尿病学会(ADA)では注意を促している妊娠糖尿病の検査を受けることを推奨
妊娠糖尿病のリスクが高い女性は、出産前の診察時に検査を受けることが勧められている。さらにすべての妊婦は、妊娠初期から中期に妊娠糖尿病の検査を受けることが推奨されている。 妊娠糖尿病を診断する前に、まずはスクリーニング検査が行われることが多い。スクリーニング検査は、症状のあらわれていないが可能性のある人に対して、病気をみつけるために行う検査。 妊娠初期には「随時血糖」の検査が、中期には「50gグルコースチャレンジテスト」(50gGCT)による検査が行われている。 随時血糖は、通常の血糖検査で、ふつうに食事をとった状態で血糖値を測定する検査。50gグルコースチャレンジテストは、糖分の入った検査用の飲料を飲んでもらい、1時間後に血糖値を測定する検査。 スクリーニング検査で血糖値が高い(陽性)場合は、妊娠糖尿病の診断のための検査(75gブドウ糖負荷試験)が行われる。妊娠糖尿病の遺伝的リスクの高い女性も
健康的な生活スタイルにより予防・改善できる
とくに近親者に糖尿病の人がいる女性は、遺伝的にインスリンを分泌する膵臓のβ細胞の機能が低下しやすく、妊娠糖尿病(GDM)のリスクが高い場合がある。
しかし、妊娠糖尿病の遺伝的リスクが高い女性であっても、食事や運動などの健康的な生活スタイルにより、糖尿病の発症を予防できたり、糖尿病を管理できるという研究を、フィンランドのヘルシンキ大学が報告している。
研究は、「フィンランド妊娠糖尿病予防研究(RADIEL)」の成果。フィンランドでも妊婦の5人に1人が妊娠糖尿病の疑いがあり、優先して取り組むべき健康上の課題とされている。
「研究では、妊娠糖尿病の遺伝的リスクの高い女性でも、生活スタイルを改善することで、予防・改善が可能であることが示されました」と、同大学産婦人科の専門医であるエミリア フビネン氏は言う。
「糖尿病の遺伝子リスクがもっとも高い女性も、生活スタイル介入を強化することで、ベネフィトがもたらされました」としている。
研究グループは、516人の妊婦、356人の産後女性から提供を受けた妊娠糖尿病に関するデータを解析した。
その結果、糖尿病の遺伝的リスクスコアは、妊娠中期・後期・出産後1年の血糖値の上昇と関連していることが明らかになった。
研究グループはさらに、妊娠糖尿病の遺伝的リスクが高いと判定された妊婦を対象に、妊娠中および出産後の最初の1年間に、食事療法と運動療法によるカウンセリングを提供した。
その結果、妊娠糖尿病の遺伝的リスクの高い女性では、生活改善のためのカウンセリングは、妊娠糖尿病の発症を63%減らすのに効果的であることが示された。
研究グループはさらに、妊娠中および産後の糖尿病を予防するための生活指導から、もっとも恩恵を受ける可能性のある妊婦を特定するための遺伝的リスクスコアも開発した。
このスコアをもとに、妊娠糖尿病の遺伝的リスクが高い女性を発見し、集中的に生活スタイル改善をはかる治療法の開発を目指している。
「遺伝的背景が未来のすべてを決定するものではないことを理解することも重要です。これは、糖尿病にもあてはまります。健康的な生活スタイルを促進するために支援し、糖尿病の遺伝的リスクが高い場合でも、これを打ち消すために役立てるべきです」と、フビネン氏は説明している。
健康的な生活スタイルにより予防・改善できる
The Idf Approach for Care and Management of Gestational Diabetes Mellitus (国際糖尿病連合)
Gestational Diabetes: Can you have gestational diabetes and a healthy baby? Yes. (米国糖尿病学会) A healthy lifestyle helps to prevent gestational diabetes in those at highest genetic risk (ヘルシンキ大学 2022年5月4日)
Genetic risk of type 2 diabetes modifies the effects of a lifestyle intervention aimed at the prevention of gestational and postpartum diabetes (Diabetologia 2022年4月30日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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