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2024年10月21日

糖尿病の人は脳卒中リスクが高い 脳卒中は世界で増加 甘い高カロリー飲料を無糖のお茶に変えるとリスクは大幅減少

 糖尿病とともに生きる人は脳卒中のリスクが高いことが知られている。

 世界的に肥満・糖尿病・高血圧などが増えており、脳卒中を新たに発症した人は30年間で70%増えたことが明らかになった。

 しかし、良い知らせもある。脳卒中は予防と治療が可能な疾患であることだ。脳卒中の発症リスクを確実に減らす方法がある。

 それは、高カロリーの甘い炭酸飲料や清涼飲料、ジュースなどを飲むのをやめて、代わりに緑茶など無糖のお茶や水を飲むことだ。

糖尿病の人は脳卒中のリスクが高い

 脳卒中は、脳の血管がつまったり、やぶれたりして、脳の血液の循環に障害をきたし、さまざまな症状を引き起こす病気。このうち、主に脳の血管がつまってしまうのが脳梗塞。

 糖尿病とともに生きる人は脳卒中のリスクが高いことが知られている。

 血糖値が高い状態が続くと、体の太い血管や細い血管に障害が起こり、動脈硬化が進行しやすくなり、脳卒中の発症リスクが上昇することが、40~69歳の日本人約3.6万人を12年間追跡した調査で明らかになっている。

 血糖値が高い糖尿病群は、血糖値が正常の群に比べて、脳卒中のリスクは男性で1.64倍、女性で2.19高く、脳梗塞のリスクも男性で2.22倍、女性で3.63高いことが示されている。

 脳卒中の発症に大きく関わる危険因子として、糖尿病以外にも高血圧・脂質異常症・肥満・心房細動などが知られている。

脳卒中は世界中で大幅に増加 脳卒中は予防と治療が可能

 世界的に肥満・糖尿病・高血圧などが増えているのを受け、脳卒中を新たに発症した人は1990~2021年に70%増えたという調査結果を、米国のワシントン大学 保健指標評価研究所(IHME)が発表した。

 脳卒中で死亡した人の数も44%増え、脳卒中による障害や損失も32%増えている。脳卒中の脅威は世界中で拡大している。

 「世界で毎年、1,200万人が脳卒中を発症し、700万人以上が脳卒中により命を落としています。脳卒中の発症には、運動不足、気候変動による高温化、大気汚染、喫煙なども関連しています」と、ニュージーランドのオークランド工科大学のヴァレリー フェイギン教授は言う。

 脳卒中のリスクを高めるものとして、▼肥満(リスクが88%増)、▼気候変動による高温など(72%増)、▼糖尿病(32%増)、▼糖質が多く含まれる高カロリーの食品や飲料(23%増)、▼運動不足(11%増)、▼高血圧(7%増)、▼コレステロールを下げる不飽和脂肪酸の少ない食事(5%増)などを挙げている。

 「脳卒中は、虚血性心疾患と新型コロナに次ぐ、世界で3番目に多い死亡原因です。しかし、良い知らせもあります。脳卒中は、予防と治療が可能な疾患であることです」と、フェイギン教授は指摘する。

 「脳卒中による負担の84%は、23の修正可能な危険因子に関連しており、改善が可能です」。

 「糖尿病のある人は血糖値を適切に管理し、糖質の多い高カロリーの食品や飲料を避け、肥満を改善するなど、すべての国で対策を実施する必要があります」としている。

脳卒中のリスクを減らす方法
高カロリー飲料の飲みすぎは脳卒中リスクを高める
無糖の茶に変えるとリスクは低下

 脳卒中の発症リスクを確実に減らす方法がある。それは、高カロリーの甘い炭酸飲料や清涼飲料、ジュースなどを飲む習慣のある人は、代わりに無糖のお茶や水を飲むことだ。

 糖質が多く含まれるコーラなどの炭酸飲料や清涼飲料を頻繁に飲んでいる人は、脳卒中のリスクが高いことが新しい研究で明らかになった。

 研究は、アイルランドのゴールウェイ大学やカナダのマクマスター大学によるもの。研究グループは、脳卒中の危険因子に関する最大規模の研究である「INTERSTROKE」に参加した27ヵ国の約2万7,000人を対象に調査した。

 その結果、糖質が多く含まれる高カロリーの炭酸飲料や清涼飲料を飲む習慣のある人は、脳卒中のリスクが22%高く、とくに1日に2杯以上飲んでいる人はリスクが高くなった。

 逆に、緑茶を1日3~4杯飲んでいる人は、脳卒中のリスクが27%低下した。無糖の紅茶を1日に3~4杯飲んでいる人も、リスクは29%低下した。

 「高カロリーの炭酸飲料や清涼飲料などを飲む代わりに、無糖のお茶や水を飲むことをお勧めします」と、ゴールウェイ大学臨床疫学部のアンドリュー スミス教授は言う。

 「濃縮果汁から作られたジュースは健康的なイメージがありますが、糖質や保存料などが添加されているものは、やはり脳卒中のリスクは高くなりました」と付け加えている。

Diabetes Mellitus and Risk of Stroke and Its Subtypes Among Japanese: The Japan Public Health Center Study (Stroke 2011年8月11日)
The Lancet Neurology: Air pollution, high temperatures, and metabolic risk factors driving global increases in stroke, with latest figures estimating 12 million cases and over 7 million deaths from stroke each year (ワシントン大学 保健指標評価研究所 2024年9月18日)
Global, regional, and national burden of stroke and its risk factors, 1990-2021: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2021 (Lancet Neurology 2024年10月)
Stroke Facts (米国疾病対策センター 2024年5月15日)
Frequent fizzy or fruit drinks and high coffee consumption linked to higher stroke risk (ゴールウェイ大学 2024年9月30日)
Carbonated Beverage, Fruit Drink, and Water Consumption and Risk of Acute Stroke: the INTERSTROKE Case-Control Study (Journal of Stroke 2024年9月27日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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