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2022年08月04日
【新型コロナ】熱中症対応の手引き 熱中症になったらどうしたら良い? マスク着用で体温は上がる?
日本救急医学会などの4学会は、「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き」を発表した。
熱中症になってしまった場合の対処方法(応急処置)について、体を冷却する「蒸散冷却法」など詳しく紹介している。
新型コロナと熱中症への対策を両立
日本救急医学会、日本臨床救急医学会、日本感染症学会、日本呼吸器学会の4学会は、「新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き」の第2版を発表した。 「マスクを着用すると体温が上がるか?」「マスクを着用すると熱中症の発症が多くなるか?」など、7つのクリニカルクエスチョンに対する回答が示されている。 新型コロナの感染拡大により、多くの人の生活スタイルが変化している。3密(密集、密接、密閉)を防ぐために、身体的距離の確保、十分な室内換気、さらにはマスクの着用などが日常生活にとりいれられ、普及している。 しかし、これらには熱中症予防や治療の観点からも注意すべき事項が含まれている。たとえば、室内換気と室内温度の上昇、マスクの着用と熱中症の発生リスク、外出自粛に伴う独居高齢者の孤立など、新型コロナの蔓延予防と熱中症予防の両立で、混乱が生じる可能性が危惧されている。記録的な猛暑 熱中症を発症する人が急増
加えて、日本では記録的な猛暑が続き、それに合わせて熱中症を発症する人が増えている。 消防庁が発表した「令和4年6月の熱中症による救急搬送状況」によると、今年の6月の熱中症による救急搬送人員は、調査を開始した2010年以降、6月として最多だった。昨年6月の救急搬送人員は4,945人だったが、今年は1万5,969人であり、3.3倍に増えた。 熱中症で救急搬送された人の年齢層では、高齢者がもっとも多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっている。熱中症の発生場所は、住居がもっとも多く、次いで道路、公衆(屋外)、仕事場の順になっている。 「熱中症は正しい知識を身につけることで、適切に予防することが可能です」と呼びかけている。 また、「新型コロナ対策としての"新しい生活様式"での熱中症予防行動として、こまめな換気や屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すことなどを心がけてください」としている。 関連情報熱中症になったらどうしたら良い?
日本救急医学会など4学会の公表した「手引き」では、以下の6項目のクリニカルクエスチョンが示されている。- 熱中症を予防する上でのマスク着用の注意点は何か?
- 新型コロナの予防で「密閉」空間にしないようにしながら、熱中症を予防するためには、どのようにエアコンを用いるべきか?
- 熱中症と新型コロナは臨床症状から鑑別できるか?
- 血液検査は熱中症と新型コロナの鑑別に有用か?
- 高体温、意識障害で熱中症を疑う患者のCT検査は新型コロナの鑑別診断に有用か?
- 従来同様、蒸散冷却法を用いて、患者を冷却してよいか?
A 暑熱環境における1時間程度の軽度の運動、あるいは20分のランニング程度の運動強度では、マスクの着用が体温に及ぼす影響はない。
Q 新型コロナの予防で「密閉」空間にしないようにしながら、熱中症を予防するためには、どのようにエアコンを用いたらよいか?
A 職場や教室など、人の集まる屋内では、密閉空間を避けるため、自然な風の流れが生じるように2方向の窓を開ける換気を適宜行い、室温を測定しながら、エアコンの温度設定を調節する。
Q 新型コロナの可能性がある熱中症患者の場合、蒸散冷却法を用いて、患者を冷却するべきか?
A 通常の感染対策を行ったうえで蒸散冷却法を用いた積極的冷却を行ってもよいが、各施設で迅速に使用できる冷却法を選択するのが望ましい。
出典:新型コロナウイルス感染症流行下における熱中症対応の手引き(第2版)、2022年
「蒸散冷却法」は、熱中症の治療で使われる手法で、スプレーや霧吹きで、全身の体表面を微温湯で湿らせて、扇風機やうちわでその水分を蒸発させることで、体表から気化熱を奪い、体外から冷却する方法。
熱中症とみられる人の体温を下げる方法としては、蒸散冷却法に加えて、▼風通しのよい日陰や、クーラーが効いている室内などに避難する、▼衣服をゆるめ、水分と塩分を補給する、▼冷水につかる「冷水浸漬」や「冷水シャワー」を行う、▼氷嚢などで体の局所を冷却する、▼冷却マットなどの冷却装置を用いるなどの体外冷却法がある。
医療機関で行われる体内冷却法としては、胃洗浄、膀胱洗浄、血管内冷却、腎代替療法、体外式膜型人工肺(ECMO)などがある。
熱中症になってしまった場合の対処方法(応急処置)については、環境省の「熱中症予防情報サイト」でも詳しく紹介されている。
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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