ニュース

2022年08月02日

ビールが糖尿病に良い? 腸内環境が改善 適量のアルコールは糖尿病に良い?

 ビールを適度に飲んでいると、健康上のメリットを得られるという研究が発表された。

 ビールを飲むことで、腸内環境が改善され、心臓病のリスクも低下するという。

 適度なアルコール摂取により、糖尿病のリスクが減少するという研究も発表されている。

 ただし、適量を超えて飲んでしまうと、アルコールのもたらすメリットはすぐに打ち消されてしまうという。適量を守ることが大切だ。

 日本人の糖尿病患者では、「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20~25gぐらいまでだと考えられている。

ビールを飲むと腸内環境が改善

 赤ワインには抗酸化物質が含まれており、適度に飲んでいると健康に良いことを示した研究は多い。ビールも適度に飲んでいると、健康上のメリットを得られ、腸内環境が多様化するという研究を、米国化学学会(ACS)が発表した。

 人の腸内には500~1,000種類、100兆個と推定される細菌が棲んでいる。この腸内細菌は、健康にさまざまな影響をもたらしており、肥満・糖尿病・心臓病・大腸がん・炎症性腸疾患などとも関係があると考えられている。

 腸内細菌叢は、多くの種類の腸内菌がいて、多様であるのが好ましい。麦芽を発酵させて作るビールには、ホップ、抗酸化作用のあるポリフェノールなどの成分や、発酵による微生物が含まれており、これらが腸内環境に良い影響をもたらすと考えられるという。

 ただし、注意しなければならないのは、ノンアルコールビールを飲んでも、腸内細菌の多様化の効果を得られることから、アルコールが作用しているのではなさそうだということだ。

 「一般的に、アルコールは適量を飲んでいると、健康増進の効果を期待できますが、飲み過ぎると逆効果になってしまいます。最近は、ノンアルコールビールの種類が増え、味も良くなり、売り上げは伸びています」と、ポルトガルのNOVA大学リスボンのアナ ファリア氏は言う。

 「アルコールの飲み過ぎが気になる方には、ノンアルコールビールをお勧めします」とアドバイスしている。

 この研究では、19人の男性をランダムに2つの群に分け、1つの群にはアルコールの入ったビールを、もう1つの群にはノンアルコールのビールを、それぞれ適量(ビン1本、330mL)を4週間飲んでもらった。

 その結果、どちらの群も、参加者の体重や肥満度、心臓や代謝に関わる検査値などは変化しなかったが、腸内細菌の多様性は大きくなっていた。

ビールを飲むと心臓病のリスクも低下

 イスラエルのエルサレム ヘブライ大学の研究でも、ビールを適度に飲んでいると、心臓病のリスクが低下することが示されている。

 研究グループは、ビールを適度に飲んでいると、血液中に心臓病のリスク低下に関連する変化が生じることを突き止めた。ビールを飲むことで、血液中の悪玉のコレステロールが減り、抗酸化物質は増え、血液を固め血栓ができる原因になるフィブリノーゲンは減るという。

 「今後も慎重に研究を重ねる必要がありますが、おそらくビールに含まれるアルコールとポリフェノールの両方が、心臓の健康の改善に寄与していると考えられます」と、同大学医学部のシェラ ゴリンスタイン教授は言う。

 「適度なアルコールを摂取していると、冠状動脈性心疾患や心臓発作のリスクが減少するという研究は、これまでも報告されています」としている。

 ただし、適度なアルコール量は、ビールであるとビン1本(500mL)くらいまでだという。この研究では、参加者は1日に12オンス(340mL)のビールを飲んでいた。

 研究では、冠状動脈疾患のある46~72歳の48人の男性を2つの群に分け、1つの群にはビールを30日間連続して飲んでもらい、もうつの群には同量のミネラルウォーターを飲んでもらった。どちらの群も期間中に、野菜や果物が豊富に含まれる同じ食事をした。

 「適度な飲酒により糖尿病や心臓病のリスクが低下するのは、必ずしも飲酒のみが効果をもたらしているわけではないと考えられます。食事や運動などの生活スタイルが、そうした慢性疾患のリスク低下と飲酒との関連の一部を説明するのに役立つ可能性があります」と、ゴリンスタイン教授は付け加えている。

適度なアルコールは健康に良い でも飲み過ぎると健康リスクは上昇

 「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適度なアルコールは健康に良いことを示した研究は多い。適度の飲酒は、心臓病や脳卒中、糖尿病のリスクを減少する可能性がある。アルコールにはストレス解消や、人間関係を円滑にするなどメリットもある。

 しかし、過剰な飲酒は確実に体と心にダメージを与え、健康リスクが上昇する。

 日本人の糖尿病患者では、「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20~25gぐらいまでだと考えられている。

 アルコール量20gは、ビール(ロング缶)1本(500mL)、チューハイ(レギュラー缶)1本(350mL)、日本酒1合(180mL)、焼酎1杯(100mL)、ワイン2杯(120mL)、ウイスキー2杯(60mL)に相当する。

 日本人を対象とした大規模調査「NIPPON DATA」で、血糖値が高い人でも、適度な飲酒をする習慣があると、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低下するという結果が報告されている。

 海外の研究でも、アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減ると報告されている。

 ただし、注意しなければならないのは、アルコールを飲み過ぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。

 アルコールを飲み過ぎると、血糖を下げるインスリンが効きにくくなるインスリン抵抗性の原因になり、糖尿病のコントロールが乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、がんなどのリスクも高くなる。

Lager beer, whether it contains alcohol or not, could help men's gut microbes (米国化学学会 2022年6月15日)
Impact of Beer and Nonalcoholic Beer Consumption on the Gut Microbiota: A Randomized, Double-Blind, Controlled Trial (Journal of Agricultural and Food Chemistry 2022年6月15日)
New Study Ties Moderate Beer Drinking To Lower Heart Attack Risk (米国化学学会 2003年1月1日)
Structural changes in plasma circulating fibrinogen after moderate beer consumption as determined by electrophoresis and spectroscopy (Journal of Agricultural and Food Chemistry 2002年12月24日)
Alcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80(Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲