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2022年01月12日

【新型コロナ】ストレス解消の効果的な方法は? 糖尿病リスクはストレスがたまると上昇

 新型コロナの拡大は、多くの人にとってストレスになっている。感染防止のために行動が制限され、経済の先行きが予測できなくなり、仕事や収入を減らし、将来に不安を感じている人は多い。

 ストレスが強いと糖尿病リスクが上昇するだけでなく、心臓病や脳卒中のリスクも悪化することが分かってきた。

 どうすればストレスや不安を軽減できるのか。ストレスへの対処法は、「良い睡眠」「健康的な食事」「アルコールを飲み過ぎないこと」だという。

 自分をありのままにみつめる「マインドフルネス」という方法も効果的であることが報告されている。

ストレスがたまると糖尿病リスクが高まる

 ストレスとは、職場や家庭でうまくいかないことがあったり、経済的な困窮におちいったりするなど、人生で困難な出来事や時期を経験し、神経質になり、不安やイライラを感じている状態のこと。

 強いストレスを感じている人は、糖尿病を発症するリスクが45%高くなることが、ドイツのミュンヘン ヘルムホルツ センターの調査で明らかになっている。

 「研究に参加した労働者のうち、5人に1人が高いレベルのストレスを感じていました。とくに仕事の要求は高いのに、仕事内容について自己決定して処理することが許されないような仕事についている人は、ストレスが強い傾向がみられました」と、研究を主導したカールハインツ ラドウィッグ教授は言う。

 「過剰なストレスが加わることで、精神状態が悪化し、不安が増して気分が落ち込み、過食や飲酒が増えがちになります。そうなるとストレスがさらに増し、血糖値が上昇するという悪循環におちいってしまいます」と説明している。

 ▼環境を変えてみる、▼運動をする、▼休養をとる、▼趣味や娯楽をもつ、▼専門家に相談するといった工夫が、ストレスを減らすのに役立つという。

ストレスは心血管疾患のリスクも高める ストレスに対策する必要が

 過剰なストレスは、心臓病や脳卒中のリスクも上昇させることが、21ヵ国の35~70歳の男女11万8,706人を対象とした調査で明らかになった。

 「ストレスを軽減することが、心血管疾患のリスクを減らすために役立つとみられます。ストレスを、修正可能な危険因子として考える必要があります」と、ヨーテボリ大学医学研究所のアニカ ローゼングレン教授は言う。

 研究グループは参加者に、過去1年間に感じられたストレスについて質問した。ストレスを感じる出来事として、離婚、失業、親しい人との死別、家族の病気などがあった。ストレスを、0(ストレスなし)から3(重度のストレス)までのスケールで評価した。

 参加者のうち、重度のストレスのある人は7%、中程度の人は18%、ストレスの少ない人は29%、ストレスがない人は44%だった。重度のストレスのある人は、喫煙習慣があったり、内臓脂肪がたまっているなど、健康リスクが多くみられ、所得の多い人でも多かった。

 解析した結果、ストレスの高い人は、なんらかの心血管イベントを発症するリスクが22%高く、心臓発作のリスクは24%高く、脳卒中のリスクは30%高いことが分かった。

 「重度のストレスを抱えている人で、心血管疾患のリスクが高まる原因について、正確には分かっていないものの、ストレスによって、アテローム性動脈硬化症や血液凝固など、体のさまざまなプロセスが影響を受けている可能性があります」と、ローゼングレン教授は述べている。

ストレスへの対処法は「睡眠」「健康的な食事」「アルコールを飲み過ぎない」

 コロナ禍による、外出の自粛や社会的な交流の制限は、多くの人にとってストレスになっている。新型コロナの拡大の影響で、経済の先行きが予測できない事態になり、多くの人が仕事や収入を減らし、将来に不安を感じている。

 ストレスを解消するのに効果的なのは、▼良好な睡眠、▼健康的な食事スタイル、▼アルコールを飲み過ぎないことのようだ。

 東フィンランド大学の研究で、健康的な食事と、お酒を飲む量をほどほどにすることで、睡眠が良好になり、ストレスからの生理学的回復が促されることが示された。

 研究グループは、フィンランドの3つの都市で、肥満や過体重でストレスに苦しんでいる252人を対象に調査した。睡眠時の心拍変動により、自律神経系の副交感神経と交感神経の両方の活性や、ストレスからの回復のバランスを測定した。食事などの生活スタイルについても調査した。

 その結果、睡眠時の副交感神経の活動は、健康的な食事や、アルコールを飲み過ぎないことと関連していることが分かった。

 ストレスのバランスの良い人は、バランスの悪い人に比べ、食事の質が全体的に良く、食物繊維を十分に摂っており、食べ過ぎが少なく、アルコールの摂取量が少ない傾向がみられた。

 今回の調査は横断研究なので、ストレスと睡眠などとのあいだの因果関係についてはよく分かっていない。しかし、「睡眠を良好にすることと、健康的な食事、アルコールを飲み過ぎないことは、それぞれ関連しているとみられます」と、研究者は述べている。

「マインドフルネス」でストレスや不安に対策

コロナ禍でストレスが増加

 コロナ禍によるストレスを解消するのに効果的と期待されているのが、「マインドフルネス」だ。マインドフルネスを応用した瞑想は、ストレス解消、認知症やうつ病の症状改善にも効果的と考えられている。

 マインドフルネスは、日本の禅などの考え方や瞑想をベースにしたメンタルトレーニングとして米国で発達した。最近は宗教色を一切排除し、科学的な根拠を示した研究が増えている。

 マインドフルネスを日本語に訳すと「気付くこと」「意識すること」という意味になる。瞑想や呼吸法なども取り入れたトレーニングは、集中力を高められるとして、米国ではマインドフルネスをベースにした社員研修プログラムを提供する企業が増えている。

マインドフルネスを実行している人は血糖値が正常

 マインドフルネスを2型糖尿病や肥満症の食事療法に応用する試みも行われている。マインドフルネスを実践することで、「本当に食べたいと思う食物を、満足感を得やすいように食べる」ようになるという。

 米国のブラウン大学は、マインドフルネスを実行している人は、血糖値が正常域にコントロールしやすいという調査結果を発表した。

 研究チームは、年齢の中央値が47歳の男女399人を対象に調査を実施。「マインドフルネス注意認識スケール(MAAS)」と呼ばれる指標を使い、マインドフルネスをどの程度実践しているかを調べた。

 その結果、MAASのスコアが高く、マインドフルネスの実践度の高いグループでは、そうでないグループに比べ、血糖値を正常域にコントロールできている割合が35%高く、空腹時血糖値を100mg/dL以下に保っている人が多いことが判明した。

 マインドフルネスでストレスを管理すると、高カロリーのファストフードやスナックを食べる回数が減るという報告もある。まずは、自分がストレスを受けていることに気付くことが大切だという。

マインドフルネスでネガティブな感情をコントロール

 マインドフルネスを簡潔にあらわすと「今、ここで起きていることを、ありのまま感じて、受け止めること」。自分の体や心の状態を意識することで、ストレスを受ける場面に遭っても、否定的な感情にとらわれることなく、平静を保てるようになると考えられている。

 マインドフルネスをもとにしたトレーニングにより、コロナ禍によるストレスや怒りなどのネガティブな感情をコントロールしやすくなるという研究を、ノルウェー科学技術大学が発表した。

 「コロナ禍によるストレスは、家庭内のストレスや不和、子供に勉強を教えなければならない保護者などにも影響をもたらしています。逃げ場がない状況が、さらに苦痛を強めています」と、同大学のメレーテ ベルク ネセット氏は言う。

 「ストレスによりイライラしたり、暴行的になっている人々に、何が自分をいらだたせているのかを理解し、どのような感情や気持ちにとくに注意を払う必要があるかに気付いてもらうことで、ネガティブな感情をコントロールできるようになる可能性があります」としている。

自分自身をありのままに理解することが大切

 研究グループは、125人の男性を対象に、マインドフルネスをベースとしたストレス管理セラピーを受ける群と、従来の認知行動療法を受ける群に分け、治療効果を比較した。

 その結果、いずれの群も良好な治療効果がみられた。治療前には60%の男性がパートナーに対して暴力的な行為をしていたが、治療後はほとんど誰もそうしたことを行わなくなった。また、治療前には87%の男性がパートナーに対して精神的暴行を行っていたが、治療後にはその割合は25%まで減少した。

 「大切なことは、ストレスを受けている人が、自分自身をありのままに理解するよう努めることです」と、ネセット氏は指摘している。

Work-related stress is a risk factor for type 2 diabetes (Helmholtz Zentrum Munchen 2014年8月8日)
Job strain as a risk factor for the onset of type 2 diabetes mellitus: findings from the MONICA/KORA Augsburg cohort study (Psychosomatic Medicine 2014年9月)
Cardiovascular disease risk boosted by stress (ヨーテボリ大学医学研究所 2021年12月16日)
Psychosocial Risk Factors and Cardiovascular Disease and Death in a Population-Based Cohort From 21 Low-, Middle-, and High-Income Countries (JAMA Network Open 2021年12月15日)
Good sleep-time recovery is associated with a healthier diet and lower alcohol consumption(東フィンランド大学 2021年9月3日)
Sleep-time physiological recovery is associated with eating habits in distressed working-age Finns with overweight: secondary analysis of a randomised controlled trial (Journal of Occupational Medicine and Toxicology 2021年6月28日)
Everyday mindfulness linked to healthy glucose levels (ブラウン大学 2016年2月23日)
Associations of Mindfulness with Glucose Regulation and Diabetes (American Journal of Health Behavior 2016年3月)
Mindfulness training helps men manage anger(ノルウェー科学技術大学 2020年7月21日)
Cognitive behavioural group therapy versus mindfulness-based stress reduction group therapy for intimate partner violence: a randomized controlled trial (BMC Psychiatry 2020年4月19日)
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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