ニュース

2022年01月11日

【新型コロナ】糖尿病患者にワクチンの3回目接種を奨励 良好な血糖コントロールが患者を守る

 新型コロナのワクチンは、3回目(ブースター)接種を行うと、感染や重症化を予防する効果を高められることが明らかになっている。

 海外では、糖尿病のあるすべての人は、新型コロナワクチンの3回目(ブースター)接種を受けることが奨励されている。

 また、良好な血糖コントロールを維持している人は、新型コロナに感染した場合の重症化リスクが低いことが証明されている。

ワクチンの3回目接種で予防効果を高められる

 日本でも接種が進められている新型コロナのワクチンは、高い発症予防効果があり、感染や重症化を予防する効果も確認されている。しかし、感染予防効果などは時間の経過にともない、徐々に低下していくことが、さまざまな研究で示されている。

 しかし、ワクチンの3回目(ブースター)接種を行うと、低下した感染予防効果や重症化予防効果を高められることが、さまざまな臨床試験や研究で報告されている。

 そこで、英国糖尿病学会(Diabetes UK)は、糖尿病のあるすべての人に対し、新型コロナワクチンの3回目(ブースター)接種を受けることを奨励している。

 英国民保健サービス(NHS)は、ブースター接種のプログラムに提供する計画に取り組んでおり、英国在住で、糖尿病があるなど新型コロナの重症化リスクの高い人に対し、3ヵ月以上前に2回目のワクチン接種を受けている場合は、早くワクチンの3回目接種の予約をとるよう呼びかけている。

 1回目と2回目の接種と異なるワクチンを接種する「交互接種」も認めている。

糖尿病のある人の感染と重症化を防ぐための取り組み

 英オックスフォード大学が主導している「PANORAMIC研究」は、糖尿病などの基礎疾患のある50歳以上の人が、ワクチン接種による抗体獲得と抗ウイルス治療により、新型コロナの重症化をどれだけ減らせるかを調べる研究。新型コロナの予防と治療のためのより効果的な方法を確立することを目指している。

 18~49歳の人も、すべてのタイプの糖尿病、慢性腎臓病、慢性心臓病があったり、BMIが35以上の肥満があるといった条件があれば、この研究に参加できる。

 英国では新型コロナの感染者数が1日10万人を超えた日もあり、より感染力が強いとされるオミクロン株の感染が増えている。

 同学会では、糖尿病患者が医療機関にアクセスしづらくなっている現状を懸念している。ワクチンのブースター接種キャンペーンが完了し次第、できるだけ早く、糖尿病患者が十分な治療を受けられる日常を取り戻すことを優先するよう、医療従事者にも呼びかけている。

糖尿病の人が3回目接種も優先して受けられるよう要望

 米国糖尿病学会と、糖尿病に関連する14の保健機関や学会などは昨年8月に、「新型コロナの拡大により、糖尿病患者が直面している健康リスクを軽減する取り組みが必要」とする声明を発表した

 新型コロナから健康を守るために、ワクチン接種が必要だ。米国では、ワクチンの接種開始から1年が経過した昨年12月の時点で、国民の60%が接種を完了した。新型コロナによる死亡例は80万人を超える見通しだが、その多くはワクチン未接種者であり、つまり完全に防げるはずの死だった。

 昨年の8月の時点では、新型コロナに関連する死亡の40%は糖尿病患者で占められていた。「糖尿病とともに生きる人々が新型コロナに感染すると、重症化して入院するリスクが高いとされていました」と、同学会の最高科学・医療責任者であるロバート ガベイ氏は言う。

 同学会は、CDC(米国疾病予防管理センター)に対して、糖尿病とともに生きる人々が優先して新型コロナのワクチン接種を受けられるようにすることを求めた。その結果、同様に危険にさらされている1型糖尿病と2型糖尿病の患者は、平等に優先してワクチン接種を受けられるようになった。

 「新型コロナのワクチン接種は、米国人の健康と安全を守り、糖尿病などの基礎疾患をもつ人々に大きな被害をもたらすおそれのあるパンデミックを終わらせるための重要なツールです。糖尿病患者さんが、ワクチンの3回目(ブースター)接種も、優先して受けられるようにすることを求めています」と、ガベイ氏はコメントしている。

感染と重症化を防ぐために良好な血糖コントロールが必要

HbA1c7%を維持していると新型コロナのリスクは低下

 HbA1cは、1~2ヵ月の血糖値の平均を反映しており、血糖コントロールの指標となる。良好なHbA1cを長期的に維持していると、新型コロナに感染した場合の重症化リスクが低下することが、米レンセラー工科大学の調査で明らかになっている。

 糖尿病とともに生きる人々が新型コロナに打つ克つために、良好な血糖コントロールが重要であることがあらためて示された。

 研究グループは、米国で医療サービスのネットワーク提供を行っているオプタムヘルスの、2017年1月~2020年11月の医療データベースを解析した。平均年齢67.6歳の1万6,504人の男女が対象になった。

 その結果、新型コロナに罹患する2~3年前から、平均HbA1cが1%高いごとに、ICU(集中治療室)に入院するリスクが12%上昇することが示された。

 HbA1cが7%と良好にコントロールされている群では、新型コロナの重症化リスクは1.12倍に抑えられていたが、8%以上の群では1.34倍に、9.0%以上の群では1.48倍にそれぞれ上昇した。

メトホルミンとインスリンで治療をしている患者はリスクが低い

 「2型糖尿病の人は、食事療法と運動療法、薬物療法により、血糖値を適切にコントロールできます。しかし、血糖コントロールが不十分だと、糖化最終産物(AGE)と呼ばれる分子が蓄積し、時間の経過とともに感染症への抵抗力が低下するおそれがあります」と、同大学生物医学工学部のディーパク ヴァシシュス教授は言う。

 HbA1c以外にも、▼高血圧、▼男性であること、▼腎障害、▼肥満なども、新型コロナの重症化リスクを高めていることが示された。一方で、メトホルミンやインスリンといった血糖降下薬で治療を受けている人では、重症化リスクは抑えられていた。

 新型コロナに感染したときにメトホルミンを服用していた糖尿病患者は、ICUに入院するリスクが12%低く、メトホルミンとインスリンを使用していた糖尿病患者はリスクが18%低かった。ステロイドを使用した患者は、リスクが29%低かった。

 「糖尿病が新型コロナの転帰を悪化させる危険因子であることは知られていますが、すべての糖尿病患者さんが同じというわけではありません。糖尿病の病歴が長い人もいれば、血糖コントロールが良くなかったり、合併症を発症している糖尿病さんもいます」と、ヴァシシュス教授は指摘している。

 「今後は集団の糖尿病レベルをより詳しく層別化し調査することで、どうすれば糖尿病とともに生きる人々を新型コロナから守れるかを解明する必要があります」としている。

Clinical Trial Offers New Covid-19 Treatments To People With Diabetes (英国糖尿病学会 2021年12月10日)
Coronavirus Vaccines And Diabetes (英国糖尿病学会 2021年12月20日)
Diabetes Care During The Booster Roll-Out (英国糖尿病学会 2021年12月14日)
Leading Diabetes Advocacy Groups Urge CDC to Include Americans with Diabetes in Those Prioritized for COVID-19 Vaccine Boosters (米国糖尿病学会 2021年8月12日)
What You Need to Know: Getting a COVID-19 Vaccine (米国糖尿病学会)
Long-Term Blood Sugar History Predicts Risk Of Severe Covid-19 Among Diabetics(レンセラー工科大学 2021年11月18日)
Evaluation and management of COVID-19-related severity in people with type 2 diabetes (BMJ Open Diabetes Research & Care 2021年9月7日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
>> 新型コロナ ニュース一覧へ
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled ニュース記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲