ニュース
2021年09月02日
【新型コロナ】糖尿病の人はコロナワクチンの接種を 感染したときの「シックデイ」の対処法は?
日本でも新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進行しており、1回以上接種した人の数が7,200万人を超えた。
糖尿病ともに生きる人は、新型コロナに対しとくに注意が必要だ。コロナワクチンの接種は必ず受けた方が良い。
新型コロナに感染した場合は、「シックデイ・ルール」に従うことも非常に重要となる。「シックデイ」のポイントを解説する。
糖尿病ともに生きる人は、新型コロナに対しとくに注意が必要だ。コロナワクチンの接種は必ず受けた方が良い。
新型コロナに感染した場合は、「シックデイ・ルール」に従うことも非常に重要となる。「シックデイ」のポイントを解説する。
新型コロナは糖尿病患者にどう影響するか?
糖尿病ともに生きる人は、1型糖尿病や2型糖尿病などの糖尿病のタイプに関係なく、糖尿病でない人に比べ、新型コロナに感染する可能性がとくに高いということはない。また、新型コロナに感染して発症しても、多くは軽度の症状で済んでおり、入院する必要のない人も多い。
ただし、1型、2型、妊娠糖尿病などの糖尿病では、新型コロナに感染すると、一部の人は重症化しやすいことが知られている。その影響は人によって異なる。
一般的に、成人の多くでは新型コロナは軽度の病気であり、子供は新型コロナが重症化する危険性は低い。しかし、一部の人では新型コロナは重症化し、最悪の場合は死亡してしまうこともあるので油断はできない。
これまでの調査研究で、「高齢」「血糖コントロールが悪い(HbA1cが高い)」「糖尿病合併症の病歴がある」など、糖尿病患者が新型コロナのリスクを高める危険因子が分かってきた。さらに、肥満があったり、年齢や民族などもリスクに影響を与えることが示されている。
これまでの調査で、新型コロナに感染し入院すると、糖尿病がある人では、糖尿病がない人に比べ、死亡リスクが高くなることが報告されている。しかし、そのリスクは糖尿病のある人すべてにとって同じではない。亡くなったのは高齢者が多く、50歳未満の死亡はごくわずかであることも示されている。
ワクチン接種は新型コロナのリスクを減らす確実な方法
各国の政府は、新型コロナの感染と、重症化するリスクを減らすために、次のことを呼びかけている。
- 新型コロナの予防ワクチンの接種を受けること。
- ワクチン接種後も、正しいマスクの装着や、適切な手洗いが必要になる。
- これまで通りに、屋内では十分に換気し、密集・密接・密閉をなるべく避ける。
「シックデイ」の対応を知っておくことが重要
「シックデイ・ルール」を知る
シックデイのケトアシドーシスにも注意
風邪、発熱、腹痛、吐き気、下痢などの病気にかかると、それは体にとってストレスになる。病気になると病気や感染症と戦うため、ストレスホルモンが分泌され、異常事態に対処しようとする。
しかしストレスホルモンは、血糖値を上げる作用もあり、糖尿病の人では血糖値が高くなりやすい。シックデイには、病気と戦うためより多くのブドウ糖が血流に放出され、インスリンの分泌や働きも悪くなりやすい。
米国糖尿病学会(ADA)によると、1型糖尿病の患者や、インスリン治療をしている2型糖尿病の患者では、「ケトアシドーシス」にも注意が必要になる。インスリンの作用が足りない時や、食事(炭水化物)の摂取量が少ないとき、体内では脂肪がエネルギー源として使われ、肝臓でケトン体という物質が作られ血液中にたまっていく。
ケトン体は酸性なので、その量が増えると血液が酸性になる。その状態がケトアシドーシスで、吐き気や腹痛などがあらわれ、進行すると意識障害や昏睡にいたることもあるので注意が必要だ。
英国糖尿病学会(Diabetes UK)は、ケトアシドーシスに対策するために、シックデイには「血糖値をチェックすること」「尿中ケトン体の測定を行うこと」を勧めている。症状が重篤な場合には、早く医師に連絡をして治療を受けることが大切になる。
また、新型コロナの感染者の一部はステロイド薬で治療を受けている。ステロイド薬には、抗炎症や免疫抑制の作用があるが、成分にインスリン拮抗ホルモンが含まれており、血糖値が高くなる場合もある。
糖尿病の人がステロイド薬を使用するときには、血糖値の上昇の可能性が高くなるので高血糖の是正に努めなければならない。
コロナワクチンナビ(厚生労働省) Diabetes and Coronavirus(COVID-19)(米国糖尿病学会)
Coronavirus And Diabetes(英国糖尿病学会) 一般社団法人 日本糖尿病学会
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
新型コロナと糖尿病の関連記事
- 【新型コロナ】ウォーキングなどの運動をしている人は重症化しにくい 運動する習慣は大切
- 糖尿病の人が新型コロナやインフルエンザに感染すると肺炎が重症化しやすい どうすれば防げる? 治療法を開発
- インフルエンザを防ぐ最善の方法は「ワクチン接種」を受けること 糖尿病のある人はとくに重要
- 「ビタミンD」が糖尿病リスクを低下 心臓病・認知症・新型コロナのリスクも低減 どんな食品に多い?
- 【新型コロナ】子供や若者の糖尿病が増加 コロナ禍での生活や環境の変化が影響?
- 糖尿病治療薬のメトホルミンに新型コロナの後遺症を防ぐ効果 リスクを最大で63%減少 認知症の予防にも
- 【新型コロナ】マスク着用やワクチン接種はいつまで必要? 糖尿病の人は重症化や死亡リスクが高い
- 【新型コロナ】糖尿病の人はワクチンの追加接種が必要 ワクチンはもっとも安全で効果的な方法
- 【新型コロナ】マスク着用が3月13日から緩和 何を止めて、何を残すべき? 糖尿病の人はどうすれば良い?
- 新型コロナが糖尿病リスクを高める インスリンを産生するβ細胞の死を誘発?