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2021年02月24日
果糖の摂り過ぎが糖尿病や肥満の原因に 新型コロナなど「感染症」を悪化させる原因にも

清涼飲料や菓子類などを食べ過ぎて、「フルクトース」(果糖)を過剰に摂取すると、免疫系の機能に障害が起こり、感染症を発症したり重症化しやすくなることが明らかになった。
新型コロナウイル感染症などに対策するためにも、バランスの良い食事が提案されている。
新型コロナウイル感染症などに対策するためにも、バランスの良い食事が提案されている。
フルクトース(果糖)は多くの加工食品に含まれる
清涼飲料や菓子類などの加工食品に含まれる「フルクトース」(果糖)は、食品のカロリーを高めるだけでなく、2型糖尿病や肥満、心血管疾患、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の発症リスクも高めることが知られている。
フルクトースは果物や野菜、フルーツジュース、ハチミツなど、さまざまな天然の食品に含まれているが、多くはコーラやジュースなどの清涼飲料や、お菓子やスイーツなどの加工食品から摂取されている。
ジュースやコーラなど清涼飲料や菓子類などの甘味の強い加工食品の多くに「果糖ブドウ糖液糖」や「ブドウ糖果糖液糖」が甘味料として使われている。
コーンスターチ(トウモロコシから作られたデンプン)などから製造される「果糖ブドウ糖液糖」は、果糖(フルクトース)とブドウ糖(グルコース)を主成分とする異性化糖。工業的に安定して生産でき、価格が安いので、多くの食品に利用されている。
米国などの食事ガイドラインは、甘い清涼飲料やお菓子などからフルクトースを摂り過ぎないよう推奨しているが、どの食品にフルクトースが含まれているかを判別するのは容易ではない。
「加工食品を利用するときには、栄養成分表示をよく見ることが大切です。健康に良いと思われている野菜ジュースやフルーツジュースなどにも、意外に糖類が多く添加されている例があります」と、英国のスウォンジー大学医学部のニック ジョーンズ氏は言う。
【特集】新型コロナウイルス感染症
免疫力を高めるためにバランスの良い食事を

フルクトースが腸バリアを維持するタンパク質を減らす
米カリフォルニア大学の研究によると、フルクトース(果糖)を過剰に摂取すると、腸バリアを維持するタンパク質の産生が減少し、感染症が悪化する原因になるという。
フルクトースは、肝臓と腸で産生されるフルクトキナーゼという酵素によって代謝されるが、フルクトースが過剰になると、腸で腸バリアを維持するタンパク質の生産が減少する。粘膜で覆われた上皮細胞は、細菌やエンドトキシンなどの細菌生成物が血液中に流出するのを防いでいる。
血液に入った細菌生成物は肝臓に到達し、炎症性サイトカインの生産を刺激し、肝臓でグルコースからの脂肪の生産・沈着を引き起こし、肥満や糖尿病が悪化しやすくなる原因にもなるという。
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の原因になる脂肪肝を引き起こす危険性は、フルクトースはグルコースより2〜3倍高いことが分かってきた。
「米国の若者は、ハンバーガーやフライドポテトなどの高カロリーの食品と組み合わせて、1日のカロリーの最大21.5%をフルクトースから摂取しているという報告があります。高果糖コーンシロップ(HFCS)を多く含む甘い清涼飲料やお菓子などを摂り過ぎないようにするべきです」と、カリフォルニア大学サンディエゴ校のマイケル カリン教授は言う。
日本栄養士会の「予防めし」
新型コロナウイル感染症などに対策するためにも、バランスの良い食事は大切だ。日本栄養士会は、栄養の日・栄養週間に合わせて、管理栄養士・栄養士が提案する「予防めし」をサイトで公開している。
「予防めし」は、バランス良く食べるための献立情報に、レシピや食材、しっかりとれる栄養素や栄養価も含めることで、食と栄養の専門職ならではの内容となっている。
Fructose reprogrammes glutamine-dependent oxidative metabolism to support LPS-induced inflammation(ネイチャー コミュニケーションズ 2021年2月22日)
Excessive fructose consumption may cause a leaky gut, leading to fatty liver disease(University of California 2020年8月24日)
Fructose stimulated de novo lipogenesis is promoted by inflammation(ネイチャー メタボリズム 2020年8月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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