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2021年08月02日

【新型コロナ】糖尿病の人はアルコールの飲み過ぎにも注意 飲酒で74万人ががんを発症

 アルコールの飲み過ぎは、乳がん、大腸がん、肝臓がん、口腔がんなど、さまざまながんのリスクを大幅に高める。このほど、アルコールの飲み過ぎにより、2020年に世界で74万人以上が新たにがんを発症したという研究結果が発表された。
 「アルコールががんのリスクを高めるという情報を多くの人に知ってほしい。アルコールの飲み過ぎを防ぐための効果的な政策と介入も必要です」と、研究者は述べている。
アルコールとがんの関連について多くの人に知ってほしい
 アルコールの飲み過ぎにより、2020年に世界で74万人以上ががんを発症したことが、新たな研究で明らかになった。これは、世界で新たに発症したがんの4%に相当する。

 中程度の飲酒量は、純アルコールに換算して20gぐらい。これは、ビールはロング缶1本(500mL)、ウイスキーはダブル1杯(60mL)、ワインはグラス2杯(200mL)に相当する。この程度の中程度の飲酒であっても、毎日飲んでいるとがんのリスクを高めるという。

 研究は、世界保健機関(WHO)のがん対策組織である「国際がん研究機関(IARC)」によるもの。詳細は、医学誌「Lancet Oncology」に掲載された。

 「アルコールの飲み過ぎががんのリスクを高めるという情報は、まだ十分に広く知られていません。アルコールとがんのリスクの関連について、もっと多くの人に認識してもらうことが大切です。がんを予防するために、アルコールの飲み過ぎを防ぐための効果的な政策と介入も必要とされています」と、IARCのがん調査部のイザベル ソエルジャーマテレム氏は述べている。
適量であれば血糖コントロールが良好という報告も
 「酒は百薬の長」ということわざがある通り、適度なアルコールは健康に良いことを示した研究もあるが、実はアルコールの重大な健康リスクを示した研究の方が多い。

 アルコール摂取量と糖尿病などのリスクはJカーブの関係にあるとされる。血糖コントロールは、アルコールの摂取量が適量であると良好で、飲み過ぎると悪化するという、Jカーブ現象が報告されている。

 アルコール摂取と糖尿病の発症リスクを調べた研究でも、純アルコール量で約20~25g程度の飲酒によりリスクが低下し、それより大量に飲むとその効果は打ち消られることが示された。

 アルコールにはストレス解消や、人間関係を円滑にするなどメリットがある一方で、過剰な飲酒は確実に体にダメージを与える。飲酒は血液中の中性脂肪を増加させ、脂質異常症や脂肪肝の原因になる。飲酒により食欲が増し、食事の量が増え、脂肪の多い食事も増えがちになる。

 アルコールを飲める人でも、肥満や2型糖尿病を予防・改善するために、飲み過ぎは控えるべきだ。また、お酒を飲むときは、食事の量(カロリー)や内容にも注意することも重要となる。

 糖尿病がある人は、血糖コントロールが不良の状態が続くと、がんリスクも上昇することが、国内外の研究で報告されている。加えてアルコールを飲み過ぎていると、がんを発症するリスクは相乗的に高まることが懸念される。
少し飲み過ぎただけでがんリスクは上昇する
 「アルコールの摂取量にかかわりなく、すべての飲酒は発がんリスクと関連していることを知っておくべきです」と、今回の調査に協力したカナダ中毒・精神衛生センター(CAMH)のメンタルヘルス政策研究所のユルゲン レーム氏は言う。

 「たとえば、ワインを1日に1杯しか飲んでいなかった女性でも、乳がんを発症するリスクは、まったく飲まない女性に比べ6%高くなることが分かりました」としている。

 カナダでは、アルコール摂取は2020年に7,000件の新たながん発症と関連していることが分かった。飲酒は、乳がんの24%、結腸がんの20%、直腸がんの15%、口腔がんと肝臓がんの13%に関連しているという。
コロナ禍で飲酒量を増やした人が多い がんの増加につながると懸念
 新型コロナのパンデミックにより、多くの人が飲酒量を増やしているという調査結果も示された。

 コロナ禍により、都市閉鎖や外出自粛、さまざまな行動制限を強いられた人が多く、心理面にも大きな影響がもたらされた。仕事や生活に不安やストレスを感じている人も多い。

 アルコールにはストレスや不安を抑えつける作用がある。アルコールには興奮を鎮める働きをになう「GABA(ギャバ)」と呼ばれる物質を活発にする効果などがある。

 ただし、強いストレスを感じているときに、アルコールで解消しようとすると逆効果になる。飲酒量が増えることは、うつ病に向かって突き進んでいるのと同じだ。

 「アルコール摂取によるがん発症リスクの上昇は、個人レベルではまだそれほど目立ったものではありませんが、社会全体でみればがん患者の増加につながるだろうと考えられます」と、CAMHの主任研究者であるレスリー バックリー氏は言う。

 研究グループは、世界のほとんどの国でのアルコール消費に関するデータを集め、がんの相対リスクを推定する調査も行っている。「アルコールの飲み過ぎは、がん、脂肪肝などの肝疾患、メンタルヘルスの不調など、長期的にさまざまな問題を引き起こす可能性があります」としている。
アルコールの飲み過ぎを防ぐ政策が必要
 アルコールががんを引き起こすメカニズムは、主にDNA修復の障害により説明できる。さらには、慢性的なアルコール摂取により、脂肪肝になり肝硬変のリスクが上昇したり、性ホルモンの調節がうまくいかなくなり、乳がんなどのリスクも高めると考えられている。

 アルコール代謝産物であるアセトアルデヒドには毒性があり、食道がんや口腔・咽頭がんのリスクを高める。さらには、大量に飲酒している人は喫煙率も高く、喫煙と飲酒が合わさるとがんのリスクは相乗的に上昇する。

 軽度から中等度の飲酒とがん発症との関連に関する研究は最近はじめられたもので、公共政策に反映されるまでにまだ時間がかかるとみられている。

 「アルコール飲料のテレビ・コマーシャルなどを制限したり、アルコール飲料にラベルを貼り、がんのリスクを含むアルコール摂取に関連する健康と安全のリスクについての情報を表示することを製造業者に求めるなど、アルコールの飲み過ぎを防ぐ政策が求められています」と、メンタルヘルス政策研究所のケビン シールド氏は述べている。

アルコール(米国糖尿病学会 2017年10月16日)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes: the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry(Journal of General Internal Medicine 2008年3月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
New study links moderate alcohol use with higher cancer risk(カナダ中毒・精神衛生センター 2021年7月14日)
Global burden of cancer in 2020 attributable to alcohol consumption: a population-based study(Lancet Oncology 2021年7月13日)
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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