ニュース
2021年08月02日
果物は糖尿病の人の味方 カラフルな果物を食べると糖尿病リスクが減少 認知機能の低下も抑制

ブルーベリー、オレンジ、ブドウ、リンゴなどカラフルな果物を食べていると、糖尿病リスクが低下するという研究が発表された。
果物を毎日食べていると、認知機能が低下するリスクが20%低下するという研究も報告されている。
果物を食べるときは、できれば皮や芯まで含めて果物全体を食べるのが良いという。また、フルーツジュースは、100%果汁のものであっても、飲み過ぎは勧められない。
果物を毎日食べていると、認知機能が低下するリスクが20%低下するという研究も報告されている。
果物を食べるときは、できれば皮や芯まで含めて果物全体を食べるのが良いという。また、フルーツジュースは、100%果汁のものであっても、飲み過ぎは勧められない。
果物を食べると糖尿病リスクが低下
果物を食べると糖尿病リスクが低下することが、多くの研究で明らかになっている。果物や緑黄色野菜には、ビタミンA(βカロテン)やビタミンC、カリウムなどのミネラル、フラボノイドが多く含まれる。これらには抗酸化作用があり、動脈硬化を予防する効果があると考えられている。
果物には果糖や食物繊維が含まれており、血糖を比較的上げにくいことが知られており、糖尿病の食事療法でも勧められている。とくにブルーベリー、ブドウ、リンゴを食べると、糖尿病の発症リスクが低下するという報告がある。
ただし、果糖を摂り過ぎると、血中の中性脂肪や体重の増加をまねくおそれがあるので、果物の食べ過ぎにも注意が必要だ。

カラフルな果物を毎日食べると認知機能の低下を防げる
厚生労働省・農林水産省が作成した「食事バランスガイド」では、1日に野菜を350g、果物を200g摂取することが目標とされている。しかし、日本人は実際にはこれより少ない量しか食べていない。
とくに最近の果物は甘いものが多い。果物には「太りそう」なイメージもあるため、敬遠している人もいるかもしれない。
しかし、果物には野菜とはまた別の健康効果があることが、最近の研究で分かってきた。果物には大切な栄養素が豊富に含まれている。
ブルーベリー、オレンジ、ブドウ、リンゴなどのフラボノイドを多く含むカラフルな果物を、毎日0.5サービング以上食べていると、認知機能が低下するリスクが20%低下するという研究を、米ハーバード大学が発表した。中くらいのリンゴ1個を食べると、だいたい1サービングになるという。
フラボノイドは、野菜や果物に含まれる天然の化合物で、強力な抗酸化作用がある。抗酸化作用が少ない食品ばかりを食べていると、加齢とともに認知機能が低下するリスクが高くなるとみられている。
研究チームは、開始時に平均年齢が48歳だった女性4万9,493人と、平均年齢が51歳だった男性2万7,842人を対象に調査した。20年以上の追跡期間に、健康診断をするとともに、どのような食品を食べているかについてもアンケート調査を行った。
フラボノイドの摂取量がもっとも多いグループは1日に約600mgを摂っており、もっとも少ないグループは約150mgを摂っていた。フラボノイドは、たとえばブルーベリーには100gあたり約180mg含まれており、リンゴには約113mg含まれているという。
解析した結果、フラボノイドをもっとも多く摂取していたグループは、もっとも少なかったグループに比べて、認知機能が低下するリスクが20%低いことが明らかになった。
「フラボノイド、とくにフラボンとアントシアニンが豊富に含まれるカラフルな野菜や果物を食べると、脳の健康を促すのに効果的である可能性があります。最近になって果物を食べはじめたという人でも、こうした保護効果がみられました」と、ハーバード大学公衆衛生大学院のウォルター ウィレット教授は述べている。
果物を含む食事は糖尿病リスクを下げる

肥満やメタボの人にも果物は勧められる 食べ過ぎには注意
インスリンは、血糖をエネルギー源として利用する際に必要なホルモン。インスリン感受性が高く、インスリンの効きが良くなっている状態では、血糖値が上がりにくく、少ないインスリンで血糖をコントロールできる。反対にインスリン感受性が低いと、血糖値を下げるために多くのインスリンが分泌されてしまう。
「血液中のインスリンレベルが高い"高インスリン血症"は、血管にダメージを与える可能性があります。高インスリン血症は、糖尿病だけでなく、高血圧、肥満、心臓病などにも関連しています」と、ボンドンノ氏は言う。
今回の研究では、フルーツジュースは、インスリン感受性の改善や糖尿病リスクの低下との関連がみられないことも分かった。これについては、「フルーツジュースは、100%果汁のものであっても、植物繊維やビタミンなどが低下しており、果物そのものよりも糖質が多く含まれることが多いからだろう」と説明している。
Fructose consumption and consequences for glycation, plasma triacylglycerol, and body weight: meta-analyses and meta-regression models of intervention studies(American Journal of Clinical Nutrition 2008年11月1日)Study: Adding color to your plate may lower risk of cognitive decline(米国神経学会 2021年7月28日)
Long-term Dietary Flavonoid Intake and Subjective Cognitive Decline in US Men and Women(Neurology 2021年7月28日)
People who eat a healthy diet including whole fruits may be less likely to develop diabetes(米国内分泌学会 2021年6月2日)
Associations between fruit intake and risk of diabetes in the AusDiab cohort(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism 2021年6月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- ニンジンやカボチャが血糖値の上昇を抑制 糖尿病の人が食べたい野菜 どう食べると良い?
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 糖質の多い甘い飲料が糖尿病や心臓病のリスクを上昇 高カロリーの飲み物を減らす2つの方法
- 糖尿病が認知症リスクを高める 野菜を食べている人は認知症リスクが低い 中年期の生活改善によりリスク低下
- 糖尿病の人は大腸がんリスクが高い 大腸がんは50歳未満の若い人でも増加 予防に役立つ3つの食品とは?
- 大豆を食べると糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中も減少 大豆タンパクは腸内細菌にも良い
- 早い時間に食事をとると糖尿病リスクは減少 「何を食べるか」だけでなく「いつ食べるか」も重要
- 糖尿病ネットワーク【1年間に多く読まれたニュース トップ10】
- 年末年始は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」