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2012年03月07日
血管炎症を抑えインスリン抵抗性を抑制 東北大が発見
東北大学は3月7日、血管内皮細胞での炎症反応を抑制することにより、マウスの肥満に関する慢性炎症やインスリン抵抗性が抑制され、さらに老化を遅らせ健康的に寿命を延ばすことに成功したと発表した。
研究成果は、東北大学大学院医学系研究科代謝疾患医学コアセンターの片桐秀樹教授、同糖尿病代謝科の長谷川豊助教らの研究グループによるもので、研究内容は米専門誌「Circulation」に発表された。 肥満になると、程度は軽いものの慢性的な炎症が持続することが知られている。このことが、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」を引き起こし、糖尿病やメタボリックシンドロームのさまざまな病態につながると考えられている。 研究グループは2011年に、血管部位での炎症が動脈硬化の発症機序として重要であることを解明した。そこで今回の研究では、血管の中でも、血液と接する一層を形成する「血管内皮細胞」に着目。この細胞層でのみ炎症反応を起こりにくくしたマウスを作製した。 「サイトカイン」は、細胞同士の情報伝達に関わるさまざま生理活性をもつ蛋白質。このうち体内への病原体の侵入を受けて産生されるサイトカインは、生体防御の働きをし炎症反応を引き起こす。細胞が炎症反応を起こすときは、転写因子として働くタンパク質「NFκB」が活性化され、炎症物質が産生されると考えられている。 そこで、研究グループは、マウスの血管内皮細胞でNFκBの活性化を起こしにくくする蛋白を発現させてみた。そしてこのマウスを肥満にしたところ、肥満に特徴的な慢性炎症が抑えられ、インスリン抵抗性も抑制されることが確認された。このことから、肥満の際の慢性炎症に、血管内皮細胞が重要な役割を果たしていることがあきらかになった。 血管内皮細胞における炎症抑制は、このような肥満の病態を改善しただけでなく、標準飼育(肥満させない)状況下でも大きな改善をもたらした。老化の進展が抑えられ、活発に活動しつつ寿命が有意に長くなった。長寿に関係するとされてきた遺伝子「サーチュイン」の発現も増強していることが確認された。 今回の研究成果は、血管内皮細胞での炎症反応が、老化の進展や寿命の長さを規定していることをはじめて解明したもので、それを調節することで、老化を防ぎ健康的に長寿となるアンチエイジング療法の開発につながることが期待されると、研究グループは述べている。 抗老化・長寿マウスの作製に成功〜アンチエイジング療法に応用性〜(東北大学 2012年3月7日)
糖尿病と遺伝子
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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