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2012年02月21日
肥満や糖尿病の原因遺伝子「GPR120」を解明 京大チーム
特定の遺伝子が損なわれると、脂肪のとりすぎによる肥満リスクが高まることを京都大学の研究チームが突き止めた。「GPR120」という遺伝子が欠損していたり、変異があると、インスリン分泌を促したり、食欲を抑えたりする働きに影響があらわれ、肥満や2型糖尿病が増える。遺伝的に太りやすい人の診断や、新たな治療法の開発につながる発見だという。
研究は、京都大学薬学研究科の辻本豪三教授らの研究グループが、フランスを中心とする欧州のゲノム解析センターと共同で行ったもので、科学誌「Nature」オンライン速報版に2月19日に発表された。
脂肪肝や2型糖尿病の原因遺伝子を発見
肥満や肥満にともなう脂肪肝や2型糖尿病などは、世界的に大きな健康上の問題となっている。主な原因は、カロリー過剰摂取になりがちな先進国の食生活が定着し、高脂肪食に偏っていること。一方で、遺伝的な要因も大きく関わっていると考えられているが、これまで原因遺伝子はみつかっていなかった。
そこで研究グループは、2005年にヒトゲノムデータベースにより発見されていたGRP120受容体に着目した。同受容体を壊したマウスモデルをつくり、生理機能の解析を行った。この遺伝子を壊したマウスと通常のマウスそれぞれ数十匹ずつに低脂肪(13%)と、高脂肪(60%)の2種類の餌を与え、16週間飼育して比較した。
具体的には、「遺伝子改変マウスでの肥満、代謝疾患(逆遺伝学研究)」。GPR120遺伝子を欠損したマウスは、高脂肪食負荷により肥満、糖尿病、脂肪肝の代謝異常を発症した。さらに、その種々の代謝異常は、GPR120遺伝子を欠損した脂肪組織ではその分化が遅延し、さらに脂肪酸合成の低下をきたすことによることをあきらかにした。
もうひとつは、「ヒトでの肥満との関連(前向き遺伝学研究)」。ヒトのGPR120のアミノ酸配列に1ヵ所変異が入った変異受容体では、センサー機能に異常が起こることを発見した。欧州の約2万人の肥満患者の遺伝子解析より、この変異のある人では、特に欧州の高脂肪食環境下で食事性肥満を発症する可能性が高いことをあきらかにした。
研究者らは「今回の成果は、GPR120が食事性の肥満に強く関与することを示している。今後、肥満や糖尿病に代表される代謝疾患に対して、GPR120を標的とした予防・治療薬への応用の可能性が期待される」と述べている。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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