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2012年02月23日
エレベーターではなく階段を 簡単な工夫で行動変容
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エレベーターを使わず、階段を使う人を増やすための工夫は実はとてもシンプル――ニューヨーク市は市民の身体活動や運動を増やすため、とてもユニークな対策を都市計画に織り込んでいる。

そのポスター表示は、階段を上る人のアイコンと「電気を使わず、カロリーを燃やそう、階段を使おう(Burn Calories, Not Electricity)」というコピーが書かれてあるシンプルなもの。エレベーターの横に貼り、どれだけの人が階段を利用するようになるかを調査した。
市の依頼を受けアメリカ建築家協会のDavid Burney氏が考案したのは、市民の行動変容を促すために、「エレベーターではなく階段を使おう」というメッセージを、大胆に表示したアイコンだった。
研究によると、視覚的に分かりやすく表示したり、エレベーターホールなど目立つ所に設置することで、階段を使う人が50%以上も上昇したという。
市では身体活動や運動を増やす必要性を説明するために、次のような注意書きを添えた。
- エレベーターの代わりに階段を使うことで、身体活動量は7倍に上昇する。
- 毎日にたった2分間を階段上りに費やすだけで体脂肪を燃焼し、約0.5kg(1ポンド)の体重増加を防ぐことができる。
- 1日3階分の階段を上ることを1週間続けると、全死因による脳卒中の死亡リスクを20%下げることができる。
- 階段を上ると善玉コレステロールが増え、心臓血管が健康になる。
- 体を使って階段の昇降を行うことは、個々の健康増進に役立つだけでなく、省エネルギーにもつながる。
1日24時間、週に7日間稼働しているエスカレーターが消費するエネルギーは約2万8000kw。これは二酸化炭素の量に換算すると2万kgで、1台の乗用車の排出量の約3倍に相当する。
この調査の成功を受けて、ニューヨーク保健衛生局は市全域にポスターを表示することを決定したという。市の都市建設部は、市民の身体活動や運動を増やす工夫を、都市デザインに積極的に取り込む政策も打ち出している。そのコンセプトとなるのは次の事柄だ――
- 階段を目立つようにして、利用しやすく、楽しい雰囲気にする。
階段を分かりやすい場所に置き、容易にアクセスできるようにすれば、市民は積極的に階段を使うようになる。アート作品を置いたり音楽を流せばより効果的。 - 身体活動や運動に取り組みやすくする。
職場や住宅からアクセスしやすい場所に運動スペースや運動施設を設ける。週に3日以上の運動をすることを奨励する。 - 歩道を清潔で安全に。
歩道を明るく、安全にすれば、歩行者の自転車の数が増える。歩道と車道、自転車道をはっきりと分け、街路樹も植えて美観を整備する。 - 住宅・商業・教育・娯楽施設を集中する。
街を地区ごとに機能的に整備すれば、市民は空間移動を自分の足を使って行うようになる。
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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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