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2021年12月21日
やせていても「少食で運動不足」だと糖尿病リスクが高い 若い女性も気をつけたい糖尿病 順天堂大
順天堂大学は、少食・運動不足でやせている若年女性が抱える糖尿病リスクを啓発する動画「順天堂大学の医師が伝える健康のハナシ」の公開を開始した。
動画は、同大学医学研究科代謝内分泌内科学・スポートロジーセンターの研究グループによる研究成果をもとに制作したもの。
女性が抱える健康リスクを、スポーツ健康科学のアプローチで解消することを目指したエクササイズ動画の公開も開始した。
「やせるために食べる量を減らす」「運動不足でも、やせているから大丈夫」はNG
日本では、やせ型(BMI 18.5未満)の女性の比率が先進国のなかでもっとも高く、とくに20歳代の若い女性では、やせの割合が約20%と極めて高い状態にある(2019年国民健康・栄養調査)。 肥満が世界各国に共通する大きな健康課題となっており、やせていることは「健康的で良いこと」と思われがちだが、これまでの研究から、少食・運動不足でやせている若い女性は、肥満の女性と同じように、2型糖尿病の発症リスクが高いことが分かってきた。 「やせているのは良いこと」という意識をもってしまう背景として、「やせるために食べる量を減らす」「運動不足でも、やせているから大丈夫」と考えてしまう若い女性が多いことが考えられる。 研究グループのこれまでの研究で、食後高血糖となる「耐糖能異常」はやせた若年女性にも多いことが分かってきた。やせていても、「インスリン抵抗性」や「脂肪組織の異常」が起きており、肥満者と同様の体質になっている場合があるという。 研究グループは、日本では、やせた若年女性に対しても、十分な栄養を摂り、運動により筋肉量を増やすなど、生活習慣病の発症予防への取組みが必要だと示している。「エネルギー低回転タイプ」は運動量と筋肉が低下しやすい
そこで公開を開始した動画では、同大学のこれまでの研究で得られた知見をもとに、少食・運動不足による「やせ」がはらむ健康リスクと健康的な体づくりについて、分かりやすく訴求している。 動画の監修は、糖尿病専門医の田村好史氏(順天堂大学国際教養学部教授・大学院医学研究科スポーツ医学・スポートロジー 先任准教授/代謝内分泌内科学 准教授)が行っている。 「若いやせた女性は標準体重の女性に比べて、食べる量が少ない、運動量が少ない、筋肉量が少ないといった特徴があることも分かりました。(中略)エネルギー低回転タイプの女性が、筋肉の"量"と"質"を改善し、糖尿病になるリスクを下げるためには、まずは体をしっかり動かし、お腹を空かせて、適切な量の栄養バランスの良い食事を摂るという生活習慣に変えていくことが重要と考えられます。たくさんエネルギーを回転させればさせるほど、健康になれる。そんなイメージを、みなさんに持っていただきたいと思っています」と、田村教授は述べている。女性のためのエクササイズ動画も公開
順天堂大学スポーツ健康科学部は、少食・運動不足でやせている若年女性が抱える健康リスクに対し、スポーツ健康科学のアプローチで解消することを目指したエクササイズ動画も作成し公開を開始した。
これまでにあまり運動習慣がなかった女性をターゲットに、自らもトップアスリートであり、女性アスリートの健康に関心を寄せてきた同学部の室伏由佳准教授と、アスレティックトレーナーとしてアスリートの身体に向き合ってきた門屋悠香助教が、自宅で気軽に取り組むことができるエクササイズを提案している。
エクササイズプログラムでは、エクササイズを始める前に、自分の身体の状態を把握するため、しゃがみこんだり、腕を上げ下げするような基本的な動作がスムーズに行えるか(身体の機能性)を確認する「チェック編」動画も公開。
(1)ゆったりとした強度で"しなやかな筋肉づくり"を目的した「ノビノビ・エクササイズ」、(2)ほどよい強度で"キレイに鍛える"ことを目的とした「ニコニコ・エクササイズ」、(3)しっかりした強度で"じっくり鍛える"ことを目的とした「ドキドキ・エクササイズ」で構成されている(今後も随時公開予定)。
女性の抱える健康リスクの解消を目指して、順天堂大学スポーツ健康科学部の室伏由佳准教授と門屋悠香助教が作成したエクササイズプログラム。
チェック編の動画を通して自分の体の状態をチェックし、今の自分に必要なエクササイズをチョイスすることができる。自宅にいながら気軽に取り組めるメニューとなっている。
チェック編の動画を通して自分の体の状態をチェックし、今の自分に必要なエクササイズをチョイスすることができる。自宅にいながら気軽に取り組めるメニューとなっている。
自分の身体の変化を感じられるように、エクササイズを続けながら定期的なチェックを行うことを勧めている
順天堂大学医学研究科 スポートロジーセンター 順天堂大学が公開している関連情報
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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