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2020年11月12日
世界糖尿病デー 1型糖尿病とともに生きる人々の願いをひとつに JDRFがキャンペーンを開始

1型糖尿病の研究を支援する活動を世界的に展開している「JDRF」は、11月14日の世界糖尿病デーに合わせて、「Power of Us」というキャンペーンを開始した。
世界中の1型糖尿病のコミュニティに向けて、「私たちの力をともに高めよう」と呼びかけている。
世界中の1型糖尿病のコミュニティに向けて、「私たちの力をともに高めよう」と呼びかけている。
すべての1型糖尿病の人が健康に生きられる世界を実現するために
11月は「全国糖尿病啓発月間」(National Diabetes Awareness Month)だ。JDRFはこれに合わせて、1型糖尿病のコミュニティの力を高めるために、「Power of Us」というキャンペーンを展開している。
JDRFは1970年の設立以来、1型糖尿病の治療を促進する研究を支援する活動を世界的に展開している。
JDRFは、かつては「若年性糖尿病研究財団」(Juvenile Diabetes Research Foundation)と呼ばれていたが、1型糖尿病が子供だけでなく成人が発症することも多いことが分かってきたことから、すべての1型糖尿病の人が健康を維持しながら長生きできる社会の実現を目指し、名称を「JDRF」に変更した。
11月1日には、そのキックオフとなる「JDRF One Walk」というイベントをオンラインで開催した。これは、1型糖尿病とともに生きる米国の160万人がともに、160万マイル(256キロメートル)を歩くというもの。寄付金を集め、1型糖尿病の治療のための研究を支援することも目的のひとつだ。
自身が1型糖尿病の人気女優のブレック バッシンガーさんや、やはり俳優で1型糖尿病のキャメロン ゲルマンさんらが、このイベントに参加した。
2020年 世界糖尿病デー
1型糖尿病とともに生きる人々の体験を共有
1型糖尿病は、インスリンを産生する膵臓のβ細胞が攻撃・破壊されることで発症する疾患。生命を維持するために、現在の医療では、生涯にわたり毎日4~5回の注射、またはインスリンポンプによるインスリン補充が必要となる。
糖尿病の大半を占め生活習慣病と言われる2型糖尿病と異なり、1型糖尿病は主に自己免疫によって発症すると考えられている。1型糖尿病と2型糖尿病とでは、原因や治療が大きく異なる。
「今年の11月の糖尿病月間は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な拡大を受けて、かつてないものになりました。1型糖尿病とともに生きる人々が、この病気のコントロールする力を高め、支援するためのシステムを強化するめに、ともに祝いたいと思います」と、JDRF理事長のアーロン J コワルスキー氏は言う。
JDRFはこの1ヵ月に、Instagram、Facebook、TikTok、TwitterといったSNSを使い、1型糖尿病とともに生きる人々の体験を共有するために、「#SeeMeandMyT1D」というハッシュタグを入れて投稿するように呼び掛けている。
1型糖尿病の研究の資金を集めるために、自転車で一定のコースを走り、マイレージの目標を達成すると寄付が行われる「JDRF Ride」というキャンペーンも展開している。寄付を集められるだけでなく、運動をする機会の提供にもなっている。
1型糖尿病の研究を世界中で支援
「私たちは離れて暮らしているかもしれませんが、同じ使命をともにしています。私たちの挑戦は、究極の目標を達成するまで止まりません。それは、1型糖尿病のない世界を実現することです」と、コワルスキー氏は言う。
JDRFは50年以上の間、1型糖尿病のコミュニティをつなげる触媒として働き、1型糖尿病の治療の進歩を促進する仕事をしてきた。これまでに25億ドル(2,600億円)以上の寄付を集め、世界中で研究資金として提供している。
1型糖尿病の発症や進行を抑える治療、寛解する治療、自己免疫の抑制、インスリン療法の進歩、ケトアシドーシスや重症低血糖の予防、人工膵臓の開発、インスリンを分泌するβ細胞の再生、1型糖尿病患者のためのアドボカシー活動など、JDRFがこれまで投資してきた研究は広範囲に及ぶ。
JDRF - National Diabetes Awareness Month 2020JDRF One Walk
JDRF My Ride
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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