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2024年11月14日

【世界糖尿病デー】糖尿病の人の8割近くが不安やうつを経験 解決策は? 国際糖尿病連合

 糖尿病とともに生きる人の77%は、糖尿病が原因で、不安やうつなどのメンタルヘルス不調を経験していることが、世界糖尿病デー(World Diabetes Day)に合せて実施された世界調査で明らかになった。

 糖尿病のある人は、メンタルヘルス不調を経験する可能性が高いことが知られている。

 ストレスに対策し、「糖尿病の苦痛」を減らし、メンタルヘルスを改善する方法が提案されている。

糖尿病の人の77%がメンタルヘルス不調を経験

 糖尿病とともに生きる人の77%は、糖尿病が原因で、不安やうつなどのメンタルヘルス不調を経験していることが、国際糖尿病連合(IDF)が世界糖尿病デー(World Diabetes Day)に合せて実施した新たな世界調査で明らかになった。

 メンタルヘルスに影響を与えている要因は、「糖尿病の合併症の発症に対する恐怖」(83%)がもっとも多く、「糖尿病の日常的な管理の負担」(76%)、「糖尿病に対する偏見や差別」(58%)、「注射への恐怖」(55%)などが続いた。

 さらに、糖尿病とともに生きる人の4人に3人は、医療従事者からの感情や精神の健康のためのサポートを求めていることも示された。

燃え尽き症候群を経験している人も

 「糖尿病が、必ずしもメンタルヘルスの問題を引き起こすわけではありませんが、今回の調査の参加者の79%は、精神的なストレスと糖尿病の日常的な管理の必要性に苦しめられた経験をもつことが示されました」と、国際糖尿病連合(IDF)の理事長でドイツのドレスデン大学病院の糖尿病予防・ケア教授であるピーター シュワルツ氏は言う。

 「糖尿病による燃え尽き症候群(バーンアウト)を経験している人も多くいます。驚くべきことに、バーンアウトの影響を受けた人の4人に3人は、糖尿病によるストレスやプレッシャーのために、糖尿病の治療を中止あるいは中断したことがあると答えています」。

 燃え尽き症候群は、それまでモチベーションを高く保っていた人が、やる気を失ってしまった状態。がんばって努力をしても、それに見合った結果がでなかった場合などに起こりやすい。

世界糖尿病デー(World Diabetes Day)のブルーライトアップ

東京都庁・渋谷スクランブルスクエア・東京体育館

糖尿病は体と心の両方の健康に影響を与える

 世界では現在、5億人以上が糖尿病を発症し、2045年までに8人に1人が糖尿病に罹患すると推計されている。

 この予想から考えると、今回の調査結果は、世界の糖尿病とともに生きる4億人以上が、毎日の糖尿病の管理の負担により、メンタルヘルス不調のリスクを負っていることになる。

 「糖尿病は、身体および精神の両方の健康に影響を与えますが、医療機関で提供される糖尿病ケアは、血糖値の管理に焦点をあてることが多い現状があります。糖尿病の人の多くは糖尿病に圧倒されており、より良く糖尿病とともに生きるために、血糖値以外のことにも目を向ける必要があります」と、シュワルツ氏は指摘している。

 この調査は、ブラジル、インド、インドネシア、パキスタン、南アフリカ、スペイン、米国の7ヵ国で、2024年9月にオンラインで実施され、1,880人が回答した。

メンタルヘルスを改善する7つのヒント

糖尿病の人はメンタルヘルス不調を経験することが多い

 糖尿病のある人は、メンタルヘルス不調を経験する可能性が高いことが知られている。

 米国疾病予防管理センター(CDC)によると、糖尿病の人は、糖尿病のない人に比べて、うつ病になる可能性が2~3倍高い。

 うつ病は、悲しみの感情を引き起こす病気。以前は楽しんでいた活動への興味を失ったり、仕事や家庭にうまく適応できなくなることがある。

 糖尿病とともに生きるのは簡単なことではなく、毎日の生活で糖尿病を管理するのは、それ自体がストレスの原因になることがある。ときには落胆したり、心配したり、イライラしたり、疲れたりすることもある。

 一生懸命がんばっていても、思うような結果が出ず、糖尿病の管理が上手くいかなくなり、糖尿病に関連する健康上の問題を抱えてしまうこともある。

ストレスに対策し「糖尿病の苦痛」を軽減

 「糖尿病の苦痛」(Diabetes distress)として知られるこれらのネガティブな感情は、不健康な生活スタイルにおちいったり、血糖値のチェックをやめたり、糖尿病の治療薬を飲まなくなったり、医師による診察を拒んだりする原因になることがある。

 ストレスに対策し、「糖尿病の苦痛」を改善するために、英国糖尿病学会などは、以下のアプローチが効果的とアドバイスしている。

メンタルヘルスを改善する7つのヒント

  • 運動を行う習慣は、ストレスや不安の軽減につながる。少し歩くだけでも気持ちは落ち着きやすくなり、その効果は何時間も持続することがある。
  • ヨガや気功、瞑想などのリラクゼーションのためのエクササイズも効果を期待できる。
  • 自分のことを理解してくれる友人や知り合いに連絡をとったり話してみる。
  • 自分だけの時間を作る。仕事や学校、家庭などでも休憩をとるようにする。外に出る、楽しい気持ちになる本やビデオをみるなど、自分なりにエネルギーを回復させる方法をみつける。
  • 自分を大切にする。アルコールとカフェインのとりすぎを控え、健康的な食事をして、睡眠を十分にとるようにする。
  • すべてを完璧にやろうと考えると、自分にプレッシャーをかけすぎることになる。糖尿病のケアなどの行動はバランスが大切。完璧にやろうとは考えず、自分自身に優しくすることを忘れないようにする。
  • かかりつけの医師、糖尿病や内分泌代謝の専門医、糖尿病療養指導士に相談する。これらの専門家は、糖尿病がもたらす問題とその解決について、深い理解をもっている可能性がある。

Diabetes impacts the mental well-being of 3 in 4 people with the condition (国際糖尿病連合 2024年11月13日)
World Obesity Federation statement on WHO report Social Determinants of Health (国際糖尿病連合 2023年2月6日)
Diabetes and Mental Health (米国疾病予防管理センター 2024年5月15日)
Stress and diabetes (英国糖尿病学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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