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2024年11月12日

【世界糖尿病デー】糖尿病を改善するための4つの生活スタイル 糖尿病をそのままにしない

 11月14日の世界糖尿病デー(World Diabetes Day)や11月の糖尿病月間に合せて、糖尿病を改善するための4つの生活スタイルを、米国のロマリンダ大学が発表した。

 健康的な生活スタイルにより、糖尿病が進展するのを防ぐことができる。血糖値が高くなっている糖尿病予備群の段階から、生活スタイルの改善は重要だ。

糖尿病は早期に発見して治療を開始することが大切

 11月14日の世界糖尿病デー(World Diabetes Day)や11月の糖尿病月間に合せて、糖尿病を改善するための4つの生活スタイルを、米国のロマリンダ大学が発表した。

 糖尿病は、インスリンが十分に働かないために、血液中を流れるブドウ糖(血糖)が増えてしまい、さまざまな障害を引き起こす慢性疾患。

 糖尿病には、主に1型糖尿病と2型糖尿病の2つのタイプがあり、いずれも血糖値を適切に管理することで、糖尿病のない人と同じように健康に生きられ、社会で活躍できると考えられている。

 1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンがほとんど出なくなるインスリン分泌低下により発症するタイプの糖尿病で、自分の細胞を誤って攻撃してしまう「自己免疫」が発症に関わっていると考えられている。

 1型糖尿病は、何歳でも発症する可能性はあるが、小児・若年期に発症する人が多い。生活習慣病とも呼ばれる2型糖尿病とは、原因や治療は大きく異なり、生きていくためにインスリンを注射などで補うことが必須になる。

 2型糖尿病は、成人に多くみられるタイプの糖尿病で、インスリンの働きが悪くなるインスリン抵抗性をともなうことが多い。膵臓はインスリンを分泌しているものの、それを効果的に使用できないか、十分なインスリンが生成されていないと、血糖値が高くなる。

 2型糖尿病を発症しても、自覚症状が乏しいので、自分が糖尿病であることに気が付かずに、何年も過ごしてしまうことがある。糖尿病は早期に発見して、治療を開始することが大切だが、いくつかの研究では、2型糖尿病のある人は診断された頃には、すでに体の細胞の機能が最大50%低下していることが示されている。

11月の糖尿病月間に合せて米国糖尿病学会(ADA)が公開しているビデオ

糖尿病予備群の段階から動脈硬化は進行

 「糖尿病は時間の経過とともに進行し、高血糖の状態が長く続くと、体の太い血管や細い血管に損傷を与えます」と、ロマリンダ大学保健医療センターの予防医学部門のカレン ステューダー氏は言う。

 「糖尿病の合併症には、細い血管が傷つけられて生じる神経障害、網膜症、腎臓病や、血糖が高いため血管がかたくなったり、せまくなったりする動脈硬化により引き起こされる心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患、足病変などがあります」。

 さらに、2型糖尿病と診断されるほどではなくとも、血糖値が正常よりも高くなっている糖尿病予備群(前糖尿病)も多い。とくに肥満のある人は、予備群の段階から、血管の老化である動脈硬化は進行しやすいと考えられている。

 「疾病管理予防センター(CDC)の報告によると、米国の成人の3人に1人以上が前糖尿病であり、そうした人の10人に8人以上は、自分が糖尿病のリスクが高いと知らないことが示されています」と、ステューダー氏は指摘する。

糖尿病を改善するための4つの生活スタイル

 糖尿病とともに生きる人々に対して、ステューダー氏は生活スタイルを見直すことを勧めている。

 健康的な生活スタイルにより、糖尿病が進展するのを防ぐことができる。血糖値が高くなっている糖尿病前症の段階から、生活スタイルの改善は重要だ。

1糖質の多い甘い食べものや飲みものを避ける

 血糖値を管理するうえで、もっとも早く効果があらわれるのは、食事で菓子パン・スナック菓子・ドーナツ・ポテトチップスなど、ジャンクフードや超加工食品、ジュースやコーラなどの清涼飲料など、糖質が多く含まれる甘い食べものや飲みものを減らすことだ。

 フルーツジュースのような健康に良さそうな飲みものでも、果物には含まれる食物繊維が少なく、糖質が濃縮されていて、血糖値が上昇しやすくなるおそれがある。

 「糖質が多く含まれる高カロリーの飲料の代わりに、水や無糖のコーヒーやお茶を飲みことをお勧めします」としている。

2食後に運動を行う

 ブドウ糖が細胞に取り込まれるために、インスリンが必要になるが、ウォーキングなどの運動や身体活動を行うことも効果がある。

 とくに食後の血糖値の上昇を抑えるために、運動を行うのは効果的だ。食後に軽い運動をすると、細胞にブドウ糖が入り込まれるようになる。

 糖尿病のある人や、糖尿病予備群と指摘された人は、ウォーキングなどの有酸素運動や、筋力トレーニングなどを習慣として行うことで、インスリンの効果が高まり、血糖値は低下しやすくなる。

 「運動を続けて筋肉が増えると、インスリン抵抗性が改善し、血糖値が下がりやすい体に変わっていきます。とくに食後に軽いウォーキングなどの運動をすることを習慣とすることをお勧めします」と、ステューダー氏は述べている。

3食事では体に悪い飽和脂肪酸や加工食品を減らす

 赤身肉や加工肉、揚げ物などには、体に悪い飽和脂肪酸が多く含まれる。肉類は貴重なタンパク源にもなるが、これらの食品を食べすぎないようにしたい。

 糖尿病の人を対象に行われた研究では、総脂肪や飽和脂肪酸の摂取量が多い人は、コレステロールなどの脂質の値が上昇しやすく、糖尿病や糖尿病の合併症の有病率が高いことが報告されている。

 一方、食事で体に良い不飽和脂肪酸を多くとっている人は、糖代謝異常が少ないという報告もある。不飽和脂肪酸は、魚の油などに多く含まれるn-3系脂肪酸や、リノール酸やリノレン酸などの植物由来のn-6系脂肪酸がある。

 また、菓子パン・スナック菓子・ドーナツ・ポテトチップスなど、ジャンクフードや超加工食品にも、体の吸収の早い糖質や脂肪が多く含まれ、食べすぎると血糖値を安定的に維持するのが難しくなる。

 「全粒穀物や野菜など、加工度の少ないなるべく自然に近い食品を十分に食べることをお勧めします。植物性食品が中心の食事スタイルにより、インスリン感受性と血糖管理が改善しやすくなるという研究も発表されています。こうした食事スタイルは、糖尿病予備群の方にも勧められます」と、ステューダー氏はアドバイスしている。

4夜遅くに食べない 食事はなるべく早い時間帯に

 ステューダー氏は、1日のなかでカロリーのある食べものや飲みものをとる時間帯を限定することを勧めている。とくに夜遅くに高カロリーの食事をとると、糖尿病や肥満に悪い影響があらわれやすい。

 朝食を午前8時より前に食べ、夜の遅い時間帯には食べないようにし、食事を朝型にしたら、糖尿病のリスクが減少したという報告もある。

 「食事のタイミングは、体の概日リズムにも影響します。1日の早い時間にウエイトをおいた食事スタイルにより、概日リズムは整いやすくなり、体の代謝にも好ましい影響があらわれる可能性があります」としている。

 ヒトの体には、地球の自転周期に合わせて約24時間周期のリズム(概日リズム)がそなわっている。エネルギー代謝、ホルモン分泌、睡眠、覚醒、体温なども、概日リズムの影響を受けている。

 「糖尿病の人の生活スタイル改善は、健康的な食事、運動不足の解消、アルコールを飲みすぎないこと、禁煙など、修正可能な危険因子と関連したものが多くあります」と、ステューダー氏は言う。

 最近は、食事や糖尿病の管理に利用できるスマートフォンのアプリが増えている。そうしたアプリを利用することで、食事などが改善したという人もいる。

 「なお、インスリンや血糖値を下げる薬を利用している人は、事前にかかりつけの医師や栄養士に相談して、ご自分の食事スタイルが適切であるかを確認し、アドバイスをもらうことをお勧めします」としている。

Top 4 lifestyle changes for managing diabetes effectively (ロマリンダ大学 2024年11月8日)
American Diabetes Month (米国糖尿病学会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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