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2022年11月09日
糖尿病の人は腎臓病にも注意 検査で腎臓の働きをチェック 検査結果に載っている「GFR」とは何?

NPO法人 日本腎臓病協会などは、新たな国民病のひとつとも言われる「慢性腎臓病(CKD)」の啓発活動に取り組んでおり、慢性腎臓病で重要な指標とされている「GFR(糸球体濾過量)」の値への注意喚起・呼びかけをしている。
「GFR値59以下の方は、お医者さんにご相談を」というメッセージをテレビCMなどで発信している。10月には東京で「慢性腎臓病 啓発イベント」も開催し、活動のアンバサダーとして女優・檀れいさんが登壇した。
腎臓病が進展すると正常に戻すのは難しい 早期発見・治療が大切
腎臓は主に、血液をろ過して、身体に必要なものを再吸収し、不要な老廃物を尿として排出する働きなどをしている。 「慢性腎臓病(CKD)」は、腎臓が何らかの原因で障害され、その働きが低下し、血液をろ過する機能が落ちてしまう、あるいはタンパク尿が漏れでている状態の総称だ。 腎臓は"沈黙の臓器"とも言われており、腎臓病を発症しても、早期の段階では自覚症状が乏しい。しかし、進行すると体の余分な水分や老廃物を尿として排泄する機能が弱まることで、体がむくんだり、気分が悪くなったりするなど、さまざまな症状を引き起こされる。 早期の腎臓病であれば、治療で回復を期待できるが、腎臓が壊れて機能があるレベルまで悪くなってしまうと、正常に戻すのは難しくなる。そのため、検査を定期的に受け、早期発見・治療を行うことが重要になる。 世界糖尿病デー2022「GFR値59以下の方は、お医者さんにご相談を」と呼びかけ
GFR値(糸球体濾過量)は、ろ過の働きを示す数値で、血液検査をすれば簡単に推算できる。 日本腎臓病協会などは、「GFR値59以下の方は、お医者さんにご相談を」というメッセージを広め、「早期発見し、早期に治療をはじめることで、進行を防ぐことが期待されます。まずはご自身の腎機能が正常なのかどうかを知ることが第一歩です」と呼びかけている。 GFR値が低いほど、腎臓の働きが低下していることを示しており、「GFR値90以上」であれば腎機能は正常だが、「GFR値59以下」になると慢性腎臓病(CKD)の疑いがあり、治療を開始する必要が出てくる。さらに、「GFR値15未満」であると腎臓の働きがかなり低下しており、透析療法を検討する必要が出てくる。 なお、GFR値(糸球体濾過量)を直接測定すると身体への負担が大きいため、通常は、血清クレアチニン値と年齢、性別にもとづいて推算される。こうして算出された値は、推算GFR(eGFR)値とされている。 このうち、クレアチニンは腎臓の機能を示す物質で、腎臓が正常の場合には尿に出るが、腎臓の働きが低下すると十分に排泄されず、血液にとどまる量が増える。
「血液検査を受けましょう!」CKD啓発動画 血液検査ver.
NPO法人 日本腎臓病協会
「尿検査を受けましょう!」CKD啓発動画 尿検査ver.
NPO法人 日本腎臓病協会
NPO法人 日本腎臓病協会
NPO法人 日本腎臓病協会
腎臓病は脳卒中や心筋梗塞などのリスクも高める

腎臓病を防ぐために早期発見・治療が重要
腎臓病を防ぐためになによりも大切なのは、血圧・血糖・コレステロールなどの脂質を良好に管理すること。なるべく早期に開始することが大切となる。 日本腎臓病協会とアストラゼネカは、慢性腎臓病啓発活動の取り組みの一環として、10月に東京で「慢性腎臓病 啓発イベント」を開催した。イベントには、特別ゲストとして女優の檀れいさんが登場。 大阪大学の猪阪善隆先生は、「慢性腎臓病は、自覚症状がないため、ほとんどの方は治療を受けておられません。吐き気や息切れなどの症状があらわれるころはかなり進行した段階といえるでしょう。我々専門医にも多くの患者さんが紹介されてきますが、腎機能がかなり落ちた段階で来院される方が多いです」とコメント。 眞仁会横須賀クリニックの内田啓子先生は、「腎臓の異変にいち早く気付くためには血液検査表のGFR値を確認してください。健康診断などでも血液検査でクレアチニンを検査していれば結果が掲載されているので、探してみてはいかがでしょうか」と述べている。糖尿病が原因で起こる「糖尿病性腎症」
国をあげて糖尿病性腎症に対策
糖尿病が原因で起こる腎臓病は、「糖尿病性腎症」と呼ばれており、糖尿病の深刻な合併症のひとつだ。透析の原因となる疾患のうち、糖尿病性腎症がもっとも多い状況が続いており、国をあげて糖尿病性腎症の重症化予防に取り組んでいる。 腎臓病は、糖尿病が発症してすぐに生じるわけではなく、高血糖の状態が長く続いた場合に、腎臓が傷んでしまうことで発症する。 腎臓病が進展するのを防ぐためには、血糖コントロールを良好にし、血圧やコレステロールなどの脂質も管理することが大切になる。治療は早くはじめるほど良い効果を期待できる。加えて、肥満のある人は体重を減らす、タバコを吸う習慣のある人は禁煙をするなど、生活スタイル改善も必要になる。 良い知らせもある。糖尿病の治療は進歩しており、血糖値を下げる薬のなかには、腎臓の機能低下の抑制が期待できるものも出ている。気になる人は、かかりつけの医師に相談してみよう。「微量アルブミン尿」の検査で糖尿病性腎症を早期発見できる
糖尿病性腎症は、eGFRを調べる血液検査だけでは十分に早期発見ができないので、通院して治療を受けている人では、尿検査が行われることもある。 糖尿病のある人では、タンパク尿が検出される以前から、血液をろ過し尿のもとをつくる糸球体が壊れはじめることがある。糸球体には、毛細血管と呼ばれる細い血管が集まっており、高血糖の影響を受けやすい。 早期の段階で、タンパクの主成分であるアルブミンがごくわずか尿に混じる。その「微量アルブミン尿」の検査により、糖尿病性腎症を早期発見できる。アルブミンが尿中に30mg/gCr以上検出(微量アルブミン尿)されると、早期の糖尿病性腎症と診断される。 糖尿病の人は、血液検査とともに、アルブミン尿の検査を年に1回以上受けることが勧められている。通常の健康診断では検査されないことが多いので、気になる人は医師などに相談することが大切だ。[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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