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2022年11月11日
【世界糖尿病デー】インスリン治療を続けて50年 第20回「リリー インスリン50年賞」受賞者発表
はじめてのインスリン製剤から100年 インスリンはミラクル(奇跡の薬)
「リリー インスリン50年賞」とは、インスリン治療を50年以上継続している糖尿病とともに歩む人々の長年の努力をたたえることを目的に、1974年に米国で始められた。糖尿病臨床の父とも称されるジョスリン博士が創設したジョスリン糖尿病センターの賞をモデルにしている。 日本でも2003年に表彰が開始され、第20回を迎えた今年を含め、これまでに219人が同賞を受賞している。 インスリンは、100年前の1921年にカナダ人医師であるフレデリック バンティングにより発見された。翌年の1922年に、イーライリリーとトロント大学が共同開発を開始し、1922年に高濃度インスリン溶液の製剤化に成功。イーライリリー・アンド・カンパニーが1923年に、世界ではじめてインスリン製剤の大量生産を実現、販売を開始した。 糖尿病はかつては不治の病だったが、インスリンの発見により治療が飛躍的に進歩した。それまで1型糖尿病患者の主な治療は、食事を極端に制限し、血糖値の上昇を抑える方法だった。インスリンにより血糖コントロールができるようになり、食事は家族や友人と一緒に楽しむものへと一変した。さらには、患者は年相応のみずみずしい肉体を取り戻すことができた。インスリンは「ミラクル(奇跡の薬)」と呼ばれた。 世界糖尿病デー2022インスリン治療は100年でめざましい進歩を遂げた
はじめてのインスリン製剤化の成功から100年が経過した今日では、世界中の多くの患者がインスリンの恩恵を受けている。「リリー インスリン50年賞」は、インスリンの100年の歴史のうち、50年以上にわたりインスリンによる治療を継続している人に贈られる。 インスリン製剤はめざましく進歩し、現在は患者の病態や治療に合わせて、作用の現れる時間や持続する時間の異なるさまざまなタイプのインスリン製剤が使われている。注入器や注射針も改良が重ねられ、患者の負担を軽くし、痛みの少ないものが使われている。 イーライリリーは1996年に、遺伝子変異を導入しタンパク質を改変する技術を用いた、世界初の超速効型インスリンアナログ製剤「ヒューマログ」を発売。さらに2020年には、新しい超速効型インスリン「ルムジェブ」を発売し、食事開始時(食事開始前の2分以内)の注射が可能になった。患者が食事内容を確認したうえで投与することが容易になり、現在では生活リズムを大きく変える必要がなくなるまで改善されている。 インスリン療法の考え方は、インスリン注射などによって体の外からインスリンを補って、健康な人の血中インスリンの変動をできるだけ忠実に再現すること。患者の病態や生活スタイルなどさまざまな状況を考慮した治療が行われており、治療を開始・継続する患者の負担を軽くするよう工夫されている。インスリン治療を50年以上継続している患者を表彰
第20回「リリー インスリン50年賞」の受賞者は21人。受賞者には名前を刻印したトロフィーが贈られ、通院のタイミングに合わせてそれぞれの施設で祝えるよう、表彰サポートセットが用意された。 「本賞を通して、受賞者の方の声や医療従事者の皆さまとの二人三脚で歩まれてきた道のりを、他の糖尿病とともに生きる多くの方へ、20年間継続してお伝えすることができたことを大変嬉しく思います。世界ではじめてインスリンを一般販売した企業の日本法人として、今後も糖尿病とともに生きる1人ひとりに寄り添い、継続的なサポートを提供してまいります」と、日本イーライリリーでは述べている。
表彰サポートセット
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記念品:トロフィー
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糖尿病とともに歩む人々への励ましのメッセージ
「インスリン50年賞」には、インスリン治療を継続するすべての糖尿病患者に勇気と希望を与え、治療に前向きに取り組むうえでの目標になりたいという願いが込められている。 受賞者は、その道のりを振り返りながら、家族や医療従事者など周囲の人々への想いや、他の糖尿病とともに歩む人々への励ましのメッセージをあらわした。第20回「リリー インスリン50年賞」 受賞者のプロフィール (一部抜粋)
「インスリン50年賞」についてや受賞者のプロフィールやコメントは、下記サイトで詳しく紹介されています。
◆ 木村康弘 さん
50年前のインスリン治療はガラス管注射器でした。現在はペン型になり日常の業務や出張、運転にも支障はありません。しかし、どんな時も運動と血糖値の管理は徹底していました。現在測定器は超小型化されており自己管理さえ徹底すれば、糖尿病のない人と変わらずに暮らせるようになりました。
◆ 田沢紘一郎 さん
治療を始めたばかりの方には「糖尿病を悲しむのでなく、趣味と友人をたくさん持って人生を大いに楽しんでください」とお伝えしたいです。
◆K.K. さん
改めて振り返って浮かぶのは「一病息災」という言葉です。正常な血糖値を維持したい思いがあったことで、無事に生活を続けられたと実感しています。
◆ 駒崎宏一 さん
小学3年生で診断を受けた当時、小児糖尿病は百万人に1人と聞かされ「なんで自分が」という気持ちでした。高校卒業までは、父親の運転で東京の病院に月1回通い、母親に会計をまかせて遅刻することなく学校へ。両親に支えられて治療生活を送りました。
◆ 山崎 浩 さん
インスリン治療に関して不安がある方にお伝えしたいのは「主治医に勧められているなら、先延ばしにせず始めてほしい」ということ。インスリン治療は特別なことではなく、自分の一部であると理解できれば、普通の生活がきっと送れます。
◆ 山本芳郎 さん
人生を振り返り、家族を始め、お世話になった方々のお力添えもあり、病気のせいで出来なかったことはなかったと実感しています。
◆ I.智子 さん
昨今は、1型糖尿病の認知度も高まってきているので、治療中で迷っている人には、胸を張って話してほしいなと思っています。
◆ 川内文子 さん
インスリン治療もどんどん便利になり、主治医の先生のアドバイスを守り無理をしないよう心がければ、糖尿病のない人と変わらない生活が送れると思います。
◆ 齋藤紀子 さん
1日何回も注入器と針を熱湯消毒していた当時を思えば、治療はめざましい進歩を遂げたと思います。注入器などは改良され、作用が現れる時間や持続する時間が異なるインスリンの開発によって、私の負担は軽くなりました。
◆ W. 多津子 さん
これまで病気のことはあまり考えず、くよくよしていなかったことが、長生きの秘訣かもしれませんね。今では医療が発達し、ほとんど痛みなくインスリン注射ができますし、甘いものも食べられて幸せです。
◆ A.F. さん
私がとくに注意すべきは、食事だったのだと思います。30代で眼底出血をしたことをきっかけに、栄養について学び生活に取り入れました。
◆ 渡辺真佐子 さん
高校1年生の夏休みに突然倒れて昏睡状態となり、若年性糖尿病と診断されました。自暴自棄な時期を乗り越え、その後は病気に理解のある夫と結婚、二人の子供を授かりました。
◆ T.U. さん
人生で大切なことは、何でもやろうという気持ちと行動力。たとえ成功しなかったとしても「自分にとって良い経験だった」と思えることが大切だと思います。
◆ T.A. さん
仕事先からの外来通院、注入器の煮沸消毒、周囲に隠れながらのインスリン治療といった日常の変化、さらに第2子の誕生も重なり、大変悩みました。ここまで支え続けてくれ、低血糖時に救ってくれた家族の力に感謝するばかりです。
◆ S.Y. さん
これから治療をする方々には、主治医の先生の助言を守り、糖尿病教室などにも参加し、食事管理や運動の習慣を身につけ、快適な生活を送っていただきたく思います。
◆ 上野真恵子 さん
勉強の管理も、血糖管理も、自律が大事という意味では同じだと感じています。「糖尿病だから◯◯が出来ない」ということはとくになかったし、就職・転職する際は、糖尿病だと告げてきました。
◆ H.S. さん
意識してきたのは、実際の血糖値と、自身の頭で予測する血糖値に誤差がないよう感覚を磨くこと。絶えず動いて試して、気づきを重ねて感覚を磨く。これを繰り返すことによって、変化を自覚する力が自然と身に付き、「インスリン治療は難しくない」と、感じられるようになると思います。
◆ 荒川 功 さん
中学3年生で発症し、周囲に知られるのが嫌で精神的に孤立した時期もありました。でも体験は人を変えてくれます。職場では、事情を説明し理解してもらうよう努めました。
「リリー インスリン50年賞」についての詳しい情報と、インスリン治療の進歩について、日本イーライリリーのサイトで詳しく紹介されています。
日本イーライリリー
知りたい! 糖尿病
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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