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2022年10月13日

【世界糖尿病デー】糖尿病とともに生きる人は世界に5.4億人 「明日を守るための糖尿病教育」がテーマ

 「世界糖尿病デー」が、国際糖尿病連合(IDF)が中心となり、11月14日に開催される。

 世界160以上の国や地域の、10億人を超える糖尿病とともに生きる人々と医療従事者が対象となる。

 世界糖尿病デーの2022年のテーマは「明日を守るための糖尿病教育」だ。

11月14日は「世界糖尿病デー」

 世界糖尿病デー(WDD)は、糖尿病の脅威が世界的に拡大しているのを受け、世界規模で糖尿病に対する注意を喚起しようと、国際糖尿病連合(IDF)と 世界保健機関(WHO)によって1991年に開始され、2006年には国連の公式の日になった。

 11月14日は、1922年にチャールズ ベストとともにインスリンを発見したフレデリック バンティングの誕生日にあたる。インスリンの発見により、糖尿病治療は飛躍的な進歩をとげた。2021年はインスリン発見から100年目の記念すべき年だった。

 世界糖尿病デーのシンボルである「ブルーサークル」は、世界的に増加を続ける糖尿病に対する意識を高め、一致団結して対策していく必要性を呼びかけるために掲げられる。

 日本でも、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会が中心となり「世界糖尿病デー実行委員会」を設立し、さまざまな活動を展開している。

共通テーマは「糖尿病ケアへのアクセス」

 世界糖尿病デーの2021年~2023年の共通テーマは「糖尿病ケアへのアクセス (Access to Diabetes Care)」だ。

 世界で糖尿病とともに生きる人の数は5億3,700万人に達し、いまや世界の成人の10人に1人が糖尿病だ。

 世界の糖尿病人口は、2045年までに7億8,300万人に増加すると予測されている。

 糖尿病とともに生きる人々は、自分のコンディションを管理し、糖尿病の合併症を防ぐため、継続的なケアとサポートを必要としている。

 しかし、世界の数百万人は、必要な糖尿病の治療を受けられないでいる。糖尿病とともに生きる人のすべてが、必要とする医療、サポート、ケア、テクノロジーを利用できるようにすることが望まれる。

 糖尿病とともに生きる人々と、糖尿病の危機にさらされている多くの人々は、意味のある変化を必要としている。各国の政府や行政機関に、糖尿病の治療と予防を向上させるために、投資を増やすことを求めている。

世界糖尿病デーの2021年~2023年のテーマ
「糖尿病ケアへのアクセス」

行動を開始するときは今

世界糖尿病デー2022

「明日を守るための教育」で糖尿病医療の改善を促進

 世界糖尿病デーのキャンペーンの2年目のテーマは「明日を守るための教育 (Education to protect tomorrow)」。

 糖尿病とともに生きる人々は、自分の体の状態をよく理解し、健康を維持し、糖尿病合併症を予防するために、食事や運動などの生活スタイルを改善し、医師から処方された薬をきちんと服用するなど、毎日の自己管理が欠かせない。

 より良く糖尿病のマネジメントを続けるために、医師や医療従事者の支援やアドバイスが必要となる。

 医師や医療従事者には、糖尿病ともに生きる人々の体の状態を早期に理解し診断し、可能な限り最善の医療を提供できるよう、効果的な方法を開発することが求められている。

 糖尿病は初期の段階では、自覚症状が乏しいが、適切な治療を続けてないと、腎臓病、網膜症、脳卒中、心筋梗塞、認知症など、命にかかわる深刻な合併症が引き起こされる。

 糖尿病合併症を発症すると、医療費の負担は数倍にはねあがり、患者とその家族だけでなく、社会にとっても損失が大きく、国の医療体制にとって大きな負担になる。

 それを避けるために、日常でセルフケアを実行することが必要となる。そのために、継続的な教育と支援を提供できる体制を社会に整備することが重要となる。

 世界糖尿病デーのテーマである「明日を守るための教育」には、糖尿病とともに生きる人々やその家族だけでなく、糖尿病医療に携わるすべての医療従事者も、適切な学習機会を得ることで、糖尿病医療の改善を促進することが求められるという意味が込められている。

世界糖尿病デーのキャンペーンの2年目のテーマ
「明日を守る教育」

糖尿病の人が合併症を避けるために、毎日のセルフケアが不可欠
糖尿病患者と医療従事者の双方にとって、より良い教育に継続的なアクセスできる体制づくりは必要

無料の対話型のオンライン プラットフォームを提供

 国際糖尿病連合は、世界糖尿病デーに合わせて、糖尿病とともに生きる人々と、その家族や介護者のために、糖尿病のより良い管理を実現するのに役立つ、無料の対話型オンライン プラットフォームを開始した。

 糖尿病治療に携わる医療従事者や専門家向けには、糖尿病の治療と管理についてさまざまな側面で最新の情報を共有するために、無料のオンライン コースである「IDF School of Diabetes」を提供する。

 世界糖尿病デーに合わせて、糖尿病とともに生きる人々の社会的な地位を向上するために、アドボカシー活動や啓蒙活動に利用できる補足資料もダウンロードできるようにしたという。

糖尿病の世界統計 [2022年の最新データ]

  • 2021年の世界の糖尿病人口は5億3,700万人。成人の10人に1人(10.5%)が糖尿病に罹患している。
  • 世界の糖尿病人口は、2030年までに6億4,300万人に、2045年までに7億8,300万人に、それぞれ増加すると予測されている。
  • 世界の5億4,100万人(成人の10.6%)が、耐糖能異常(IGT)のある糖尿病予備群で、将来に2型糖尿病を発症するリスクが高い。
  • 糖尿病とともに生きる成人の2人に1人近く(44.7%、2億4,000万人)は、糖尿病と診断されていない。その4人に3人以上(81%)は、低中所得国に住んでいる。
  • 世界の1型糖尿病の0~19歳の小児と若年者の数は120万人以上。
  • 出生児の6人に1人(2,100万人)が、母親の妊娠中の高血糖の影響を受けている。
  • 糖尿病と糖尿病合併症により、2021年には世界の670万人が死亡したと推定されている。5秒に1人が糖尿病のために亡くなっている。
  • 糖尿病は2021年に140兆(9,660億ドル)の医療費負担の原因となり、世界の医療費総額の9%を占める。糖尿病による医療費負担は、過去15年間で3倍以上に増加している。

世界糖尿病連合 (IDF)
世界糖尿病デー (World Diabetes Day)
IDF糖尿病アトラス (Diabetes Atlas)(世界糖尿病連合)
世界糖尿病デー (世界糖尿病デー実行委員会)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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