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2025年04月25日
連休中は糖尿病の管理が難しい? 連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」

「連休中の健康管理はいつもより難しい」「連休は食事がうまくいかなくなる」と感じている人が多いことが調査で明らかになっている。
とくに、糖尿病とともに生きる人では、連休中に糖尿病の管理が難しくなると感じている人が多いことが示されている。
「達成が可能な小さな目標からはじめて、それを毎日の習慣に取り入れていくと成功しやすくなります。持続させようという熱意があれば、長続きする健康的な習慣につなげることは可能です」と、専門家はアドバイスしている。
連休を上手に乗り切るための「8つのヒント」をご紹介する。
連休中の糖尿病の管理は難しいと感じている人が多い
米国糖尿病学会(ADA)と米国心臓学会(AHA)が、2型糖尿病とともに生きる45歳以上の成人1,079人を対象に行った調査では、連休中には糖尿病の管理が難しくなると感じている人がほぼ半数(49%)に上ることが示された。
「食事の管理が上手にできている」と感じる人は、通常の日であればほぼ4分の3(73%)に上るが、連休中は半分の52%にまで下がってしまう。連休中に具体的にどうすれば良いのかが分からず戸惑っているという人も28%に上る。
糖尿病とともに生きる人々は、心臓病、脳卒中、腎臓病、網膜症などの深刻な合併症を予防するために、血糖値を良好に管理する必要がある。食事や運動を管理して、服薬をきちんと守るのは、1年間休むことなく続くハードワークのようなものだ。
「糖尿病とともに生きる人々にとって、連休をどのように過ごすかが、健康を維持するうえで課題になっています」と、内分泌学が専門の米コロラド大学医学部のロバート エッケル氏は言う。
「食事や運動、服薬など、糖尿病の管理は特別なことをしているわけではありせん。糖尿病の人にとって良い健康的な環境や生活スタイルは、友人やご家族など、周囲にいるすべての人にとっても大切なものです」としている。
英国糖尿病学会(Dibetes UK)、米国心臓学会(AHA)、米国疾病対策予防センター(CDC)などは、連休を健康的に過ごすために、次のことをアドバイスしている。
1 |
連休中をどう過ごすか計画をたてる |
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事前に「いつ・どこで・何をするか」という予定を、簡単にカレンダーやスマホアプリなどに書きとめておくと、健康的な食事や運動のために時間を確保しやすくなる。
2 |
生活リズムを乱さないように工夫を |
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概日リズムを調整している「体内時計」は、生活習慣から大きな影響を受けている。体内時計を乱さないために、次のような工夫が役立つ――。
▼なるべく毎日決まった時間に起床・就寝する、▼食事の時間はなるべく通常の生活に合わせる、▼散歩などリラックスできることをする、▼毎日一定の時間、屋外で過ごす、▼毎日同じ時間帯に運動する、▼十分な睡眠をとる、▼昼寝をする場合は30分以内にする。
3 |
スマホアプリを利用して食事・運動・血糖値を記録する |
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連休中は、体重管理が難しい時期だ。「食べすぎ」がもっとも起きやすいのがこの時期であることが、ハーバード公衆衛生大学院の調査で明らかになっている。
多くの人が連休中に体重を1.5kg以上増やすという。体重を増やさない人でも、ふだんは食べすぎないようにしても、連休中には食べすぎてしまい、食事の管理を相殺するというサイクルを繰り返すことがある。
その一方で、健康管理アプリを利用し、食事や歩数、体重、血糖値の変化などを記録し、それを見ながら自分の行動の振り返りをした人は、8割が連休太りを回避できたという報告もある。
食事や体重の記録を通して、食生活などの振り返りを行うことは、体重増加を防ぐ一定の効果がある。「少なくとも、今よりも体重を増やさないようにしよう」という気持ちを強くもつことが大切。
4 |
運動を続ける |
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30分の適度な運動を週に5日行うのが理想だが、それが難しい場合は、1日に10~15分のウォーキングなどの運動を1日に2~3回とりいれても良い。
ウォーキング以外でも、掃除などの家事、家族との散歩、ガーデニング、子供や孫と遊ぶなどの生活活動も運動になる。
運動を続けるために、いっしょに運動する仲間をつくり励ましあったり、家族とウォーキングなどを行うと効果的だ。
神経障害や網膜症など、糖尿病の合併症がある人は、運動をするときに注意が必要となる場合もある。どのように運動をしたら良いかを、事前にかかりつけの医師と相談しておくと良い。
5 |
宴会や会食で食べすぎないようにする |
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1日の食事で500kcal分を余計にとる生活が続くと、とりすぎたカロリーは1週間で3,500kcalになり、2週間で体重が1kg増える計算になる。増えすぎたカロリーを運動で燃焼するのは大変だ。
会食などの予定があるときは、食欲を管理しやすくするために、野菜や低糖質の食品などを軽く食べてから出かけるようにし、空腹の状態では行かないようにする。
朝食と昼食を抜かないようにし、ふだん通りに食べることも大切。バランスのとれた食事を、間隔をあけて食べるようにする。とくに血糖値を下げる薬を使っている人は、食事もきちんととることは大切だ。
6 |
自分が何を食べたいのか考えよう |
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料理を皿に盛るときはなるべく小さいお皿を選ぼう。皿が小さいと食事の量を抑えられ、満足感もえやすいという報告がある。
揚げ物やバターたっぷりの高カロリーの食品を避けて、肉や魚でも、できるだけシンプルに調理されたものを選ぼう。サラダはヘルシーと思いがちだが、油分たっぷりのドレッシングをかけると高カロリーになるので注意が必要になる。
パーティーなどの目的は、食べることだけではなく、人との会話や交流だ。そう意識していれば、食べすぎや飲みすぎを防ぎやすくなる。
7 |
野菜や食物繊維を十分にとる |
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野菜や、精製されていない全粒穀物を食べると、食物繊維が多く含まれるので、血糖値の上昇が抑制され、満腹感が続きやすいので、食べすぎを抑えられる。
8 |
ストレスをためない |
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連休中の休暇には、想定外の用事が入り忙しくなり、さらに生活が乱れやすくなる。この時期に外せない予定を作りすぎないようにし、余裕をもって計画をたてよう。
たとえ計画通りに1日を過ごせないときでも、くよくよと悩まないようにし、家族や仲間とともに過ごす時間を楽しもう。
睡眠を十分にとることも大切だ。睡眠不足になると、高脂肪・高糖質の食品を食べたくなり、血糖管理を良好に保つのが難しくなる。7~8時間の睡眠時間を目安に、余裕をもって1日をすごすことが大切。
Survey: Holidays Place Extra Stress on People Managing Type 2 Diabetes (米国糖尿病学会 2021年12月14日)
Ohio State survey finds Americans struggle to maintain healthy habits during the holiday season (オハイオ州立大学医療センター 2023年12月4日)
Healthy eating on holiday (英国糖尿病学会 2024年10月16日)
7 Tips to Stay on Track with Your Diabetes Management During the Holidays (米国糖尿病学会)
Healthy Eating and the Holidays (米国疾病予防管理センター 2024年5月15日)
Holiday planning when living with diabetes (ミシガン州立大学 2024年12月5日)
Diabetes control at the holidays: It's not about perfection (米国心臓学会 2023年12月12日)
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