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2012年04月16日
運動に積極的に取り組むコツ 日本健康運動研究所
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身体活動や運動の量の多い人は、そうでない人に比べ、循環器疾患などの発症リスクが低いことは、さまざまな研究で確かめられている。世界保健機構(WHO)は、高血圧、喫煙、高血糖に次いで、運動不足を死亡の危険因子の第4位に定めた。その対策として、「健康のための身体活動に関する国際勧告」を2010年に発表した。運動不足は高齢者の認知機能や運動器機能の低下などの低下と関連があることもあきらかになっている。
運動不足から引き起こされる健康問題を解消するためには、運動習慣を生活に取り入れることが重要だ。厚生労働省の「健康づくりのための運動指針2006(エクササイズガイド2006)」では、生活習慣病予防のために“週23メッツ・時”の運動を推奨している。これは日常での歩数に換算すると1日8,000〜1万歩以上に相当する。
しかし、日本人の現状は遠く及んでいない。国民健康栄養調査によると、1日の平均歩数は1997年には男性8,202歩だったのが、2009年には7,243歩に減少した。女性でも7,282歩から6,431歩と、約1,000歩減少した。1日1,000歩は約10分の運動に相当する。
国が進める国民健康づくり運動「健康日本21」の最終評価では、30分・週2回の運動を1年以上継続している人の割合は、男性では28.6%(1997年)から32.2%(2009年)に、女性では24.6%(同)から27.0%(同)にそれぞれ微増した。しかし、60歳未満では増加しておらず、特に女性では減少がみられる。
日本健康運動研究所代表の菅野隆氏は「運動に対しきつい、苦しい、時間がない、面倒、疲れる、苦手といった否定的なイメージをもつ人が多くみられます。運動は本来は毎日の生活そのもので、通勤したり、家事をしたり、暮らしの中で体を動かす身体活動すべてが“運動”になります。それらを積極的に実践するだけでも十分に健康増進効果が得られます」と話している。
高齢者の歩行速度は、65歳以降、ゆるやかに直線的に低下する。日本整形外科学会などが提唱する「ロコモティブ シンドローム」は、運動器の障害のために自立度が低下し、介護が必要となる危険性の高い状態をさす。
「歩行機能の維持向上のためには、高齢者での運動器の健康維持はとりわけ重要です。健康増進や体力向上など、目的や意図をもって余暇時間に運動に取り組むことで、1人ひとりの抱える個別の健康問題を効率的に改善することができます。ぜひ運動に積極的に取り組んで欲しい」と菅野氏はアドバイスしている。
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