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2010年01月15日

生活習慣を改善すると脳卒中が減少 厚労省研究班調査

 2型糖尿病患者が生活習慣改善により積極的に取り組むと、通常の治療を続けた患者に比べ脳卒中の発症が少なくなることが、約2000人の患者を8年にわたり調査した厚生労働省研究班(主任研究者:山田信博・筑波大学長)の「JDC Study」であきらかになった。欧州糖尿病学会(EASD)の学会誌「Diabetologia」オンライン版に発表された。

 「JDC Study(糖尿病における血管合併症の発症予防と進展抑制に関する臨床調査)」は、糖尿病合併症の予防に対する生活習慣改善の効果を長期に検討する臨床調査。生活習慣改善に焦点をおき、いかにして糖尿病患者が糖尿病合併症を予防するかを重要な課題のひとつにしている。
生活習慣改善で脳卒中が4割減
 研究は1995年〜96年に全国の59ヵ所の医療機関に通院していた40歳から70歳の2型糖尿病患者2033人を対象に行われた。参加した患者は、通常の外来治療を継続する「従来治療群」(CON)と、生活習慣病改善をさらに強化する「介入群」(INT)に無作為に分けられた。

 介入群では、通常の治療に加え、電話によるカウンセリングや外来診療で、食習慣や運動などの生活習慣の改善により積極的に取り組んでもらった。ベースライン時の参加者の平均年齢は58.6歳で、HbA1c値の平均は従来治療群で7.9%、介入群で7.8%、BMI(体格指数)の平均はそれぞれ23だった。1996年から約8年間追跡して調査した。

 その結果、心疾患の危険因子をみるときに重要なコントロール指標となる体重、血糖、血清脂質、血圧については期間中、両群で有意差がみられなかったが、脳卒中の発症率は、従来治療群に比べ介入群では著しく低下した。脳卒中の発症率は1000人当たり従来治療群では9.52、介入群では5.48となり、生活習慣改善に取り組んだ群で発症率が6割にとどまった。一方、網膜症や心筋梗塞など他の合併症の発症率に差はなかった。

 これまでの研究で、薬物療法などを行い検査値を改善すると合併症の発症を抑えられることは分かっていたが、糖尿病患者が生活習慣を改善することで合併症の抑制につながることを直接示した研究は少ない。

 脳卒中は日本人の死亡原因の第3位になっており、糖尿病患者では脳卒中で死亡する率が正常な人の2〜3倍になる。脳卒中を予防するために大切なのは、血糖コントロールに加え、高血圧を防ぐこと。その他にも、飲酒、喫煙、肥満、運動不足などが危険因子になる。

 研究者らは「2型糖尿病患者の生活習慣改善では、特に体重管理(減量)に着目されることが多かったが、心疾患などを予防するために、血糖など他のコントロール指標についても注意する必要がある」と述べた上で、今回の研究について(1)生活習慣改善が糖尿病の血管性の合併症にもらたす影響に着目した初めての研究であり、(2)糖尿病専門家によって行われた質の高い研究だと評価している。

Long-term lifestyle intervention lowers the incidence of stroke in Japanese patients with type 2 diabetes: a nationwide multicentre randomised controlled(Diabetologia)

関連情報
「生活を楽しむ意識」が高いと、循環器病のリスクが低くなる 厚労省研究班(糖尿病NET)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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