HealthDay News

2024年06月06日

インスリン依存状態の患者は摂食障害を伴いやすい

 インスリン依存状態にある糖尿病患者の4人に1人が摂食障害の症状を抱えているとするデータが報告された。

 東フィンランド大学のPia Niemelä氏らの研究によるもので、詳細は「Eating Behaviors」4月号に掲載された。

 研究者らは、糖尿病と摂食障害を併発している患者の一部は、スリムな体型維持のために意図的にインスリン注射をスキップすることがあるとし、「そのような患者では、血糖コントロールの悪化や合併症リスクの上昇が生じる」と懸念をあらわしている。

 インスリン依存状態とは、生存のためにインスリン療法が欠かせない状態のこと。その多くは、膵臓にあるインスリン産生細胞が免疫システムの異常などによって破壊され、インスリンの自己分泌が途絶えてしまう1型糖尿病発症とともに生ずる。

 インスリン依存状態では食事負荷による血糖値への影響が大きいため、食事療法の遵守がとくに重要となる。

 このような背景から、1型糖尿病患者を中心とするインスリン依存状態にある患者は摂食障害のリスクが高いと考えられ、これまでにもその有病率を検討した複数の研究結果が報告されてきている。

 今回、Niemelä氏らは、それらの研究報告を対象とするシステマティックレビューとメタ解析を実施し、その実態の総括を試みた。

 この研究では、PubMedやEmbaseなどの文献データベースを用いて、16歳以上のインスリン依存状態の患者における摂食障害症状の有病率を英語で報告している論文を検索。インスリン依存状態の可能性のある全ての患者を含めるため、1型糖尿病に限らず2型糖尿病患者を対象とした研究もレビューの対象とした。

 最終的に45件の報告(患者数の合計1万1,592人)をメタ解析の対象として抽出。それらの報告にもとづき算出された、インスリン依存状態の患者における摂食障害症状の有病率は、24%(95%信頼区間21~28)となった。

 それぞれの研究に含まれる女性患者の割合が高いほど、摂食障害症状の有病率が高いことも明らかになった。具体的には、女性の割合が58%以下の研究での有病率は18%(同14~22)であるのに対して、58%超の研究では30%(26~34)だった。一方、年齢は摂食障害症状の有病率に大きな影響を及ぼしていなかった。

 Niemelä氏は、「摂食障害は未成年や若年成人に多いと考えられているが、われわれのメタ解析では成人も摂食障害の症状に苦しんでいることが示された。だからこそ、成人糖尿病患者を診る医療者も、摂食障害の患者を見つけ出すスキルを身に付けなくてはいけない」と語っている。

 この研究では、必要とされるインスリンよりも少ない量を注射する、または注射そのものを行わないといった行為を、21%(13~33)の患者が行っていることも明らかになった。

 この結果についてNiemelä氏は、「意図的にインスリンの単位数を減らしたりスキップしたりすると、確かに体重は減る。しかし高血糖状態が続くことになり、糖尿病の管理が悪化する」と、大学発のリリースの中で警鐘を鳴らしている。

[HealthDay News 2024年5月9日]

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[ Terahata ]

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