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2026年04月07日

1型と2型のどちらの糖尿病も認知症リスクを高める

 糖尿病は1型か2型かにかかわらず、認知症のリスクを高めることを示すデータが報告された。
糖尿病ではない人に比べて1型糖尿病では約3倍、2型糖尿病では約2倍リスクが高いという。米ボストン大学のJennifer Weuve氏らの研究によるもので、詳細は「Neurology」に3月18日掲載された。


 著者らによると今回の研究は、認知症と1型糖尿病との関連性を示した、初期の主要な研究の一つだという。論文の上席著者であるWeuve氏は、「2型糖尿病が認知症のリスク増大と関連していることは以前から知られていた。医療の進歩によって1型糖尿病患者の寿命が延びたことで、1型糖尿病と認知症のリスクとの関連性を理解することの重要性も高まっている」と研究の背景を解説。その上で、「今回の新たな研究によると、残念ながら1型糖尿病は認知症との関連が、より強い可能性のあることが示唆された」と述べている。

 一般的に、糖尿病患者の大半は2型糖尿病であり、1型糖尿病は約5%程度とされている。どちらも血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用が不足するために高血糖になる病気だが、2型糖尿病はインスリン抵抗性の関与が大きい。インスリン抵抗性とは、体内でインスリンは産生されるもののその働きが低下してしまう状態を指す。それに対して、1型糖尿病は、インスリンそのものを産生できなくなる病気で、多くは自己免疫疾患(本来は体内に侵入した有害な異物を排除する免疫システムが誤って自分の体を攻撃してしまう病気)として発症する。

 Weuve氏らは、平均64.6歳の成人約28万4,000人を追跡調査した。そのうち、5,442人が1型糖尿病、5万1,511人が2型糖尿病だった。2年以上にわたる追跡の結果、1型糖尿病患者の約3%、2型糖尿病患者の約2%が認知症を発症した。解析の結果、糖尿病でない人に比べて1型糖尿病患者は認知症を発症するリスクが2.8倍高く、2型糖尿病患者は2倍高いことが分かった。Weuve氏によると、今回の研究に参加した1型糖尿病患者における認知症のうち、約65%は1型糖尿病そのものに起因する認知症の可能性があるという。

 Weuve氏は、「1型糖尿病はまれな病気であるため、認知症の症例全体に占める割合はごくわずかだ。しかし、65歳以上の1型糖尿病患者が増加している現状において、今回明らかになったデータは、1型糖尿病が認知症のリスクにどのように影響するのかを理解し、認知症の予防や発症を遅らせる手段の探索が、喫緊の課題であることを示している」と本研究の意義を強調している。

 なお、糖尿病が認知症リスクを高める理由として研究者らは、高血糖による脳細胞の損傷、アルツハイマー病に関連する有害なタンパク質の脳内への蓄積、脳卒中につながることのある血管のダメージなどの機序が考えられるとしている。

(HealthDay News 2026年3月19日)

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