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2026年04月06日

「多臓器老化」の解明進む ~老化遅延の治療の可能性も(国立循環器病研究センター研究所 清水逸平部長)~

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時事通信社

 老化は避けられないという思い込みを覆す研究が進んでいる。加齢に伴いさまざまな臓器で機能低下が生じる「多臓器老化」のメカニズムについて、国立循環器病研究センター研究所(大阪府吹田市)心血管老化制御部の清水逸平部長に聞いた。

多臓器老化

多臓器老化

 ◇静かに進行する

 生活習慣の改善に加え、老化そのものを遅らせ若さを取り戻す方法があれば、健康寿命はさらに延びる。

 清水部長らは最近、「老化により細胞の機能が低下したり、炎症、酸化ストレス、微小血管障害などを介し、さまざまな臓器の機能が低下する。そうした臓器は互いに悪影響を及ぼし、心臓を含む各臓器がほぼ同時期に機能低下する『多臓器老化』という現象を起こす」と国際論文に発表した。多臓器老化は、症状が出る前から静かに進行しており、「老化や多臓器障害の進行にブレーキをかける治療の開発が期待されています」。

 ◇老化細胞を除去する治療も

 老化した細胞から分泌される物質は、心臓や腎臓の線維化(硬い組織に変化する現象)を促し、機能障害を引き起こす。老化に伴う抗老化タンパク質の減少も心臓や腎臓の機能障害の原因となり、互いに悪影響を及ぼしながら悪化していく。

 加齢に伴う骨格筋の老化は、筋力が低下する「サルコペニア」という状態をもたらし、全身の脂肪蓄積や炎症により心血管疾患のリスクを高める。サルコペニアでは、筋肉から出る心臓保護物質が減るため、心臓の機能が低下する。逆に、心臓病があると炎症や活動量低下で筋量が減少し、サルコペニアを悪化させる。肝臓、脂肪組織、腸、脳でも、それぞれの機能低下と心臓の機能低下が互いに悪影響を及ぼし合う。

 「加齢に伴うさまざまな臓器の機能低下を、老化という共通の根本的原因を標的とすることで、心臓病や他の疾患も同時に予防・治療できる可能性が期待されます」

 具体的な取り組みとして、老化を遅らせる可能性が指摘される糖尿病治療薬について、心不全や認知機能低下、サルコペニアなどの加齢関連疾患に効果があるかを検証する臨床試験が国内外で行われている。さらに、「老化細胞を除去するセノリティクスというアプローチは、心機能を改善させ、動脈硬化を抑制する効果がマウス実験で確認されています」と清水部長は説明する。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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