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2026年05月12日
ポンプ機能保たれた心不全 〜高齢化により急増―専門医〜
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心疾患の2大死因は心不全と急性心筋梗塞だ。心筋梗塞による死亡が減少傾向にある一方で、心不全による死亡は増加している。日本心不全学会理事長の絹川弘一郎・富山大学教授は「心臓のポンプ機能(収縮機能)が保たれている心不全が急増している」とした上で、「背景にあるのは高齢化だ」と話す。

収縮機能が保たれた心不全が増えている
◇心筋梗塞死亡は減少
心筋梗塞を起こしたが、救命救急の専門病院にたどり着かなかった。あるいは病院に搬送されたが、心臓のカテーテル治療にまで至らなかった。過去には、そんなケースも少なくなかった。
「ここ20年ほど、医療機関同士の連携が進んだことや自動体外式除細動器(AED)の普及などのより、患者が直ちに亡くなることは減った」
絹川教授はそう話した上で、「急性心筋梗塞による死亡を免れても、高齢者の心不全患者は増えている」と付け加える。
◇ホルモンが関与
心筋梗塞が起こると、心筋肥大やアポトーシス(細胞死)、間質繊維化が進行。心臓の左室拡大と収縮機能(左室駆出率=LVEF)の低下を招き、心不全へとつながる。この過程では心機能や血圧を維持するために、レニンやアンジオテンシン、アルドステロンなどのホルモンが活性化し、血圧や心拍数の上昇、体液量増加を促す。これが心臓障害をさらに悪化させる。例えば、アルドステロンはミネラルコルチコイド受容体(MR)に結合することで、この悪循環に関与している。

収縮機能が保たれた心不全は左室が広がりにくく、小さいことに起因する
◇収縮機能が保たれた心不全
心機能の指標となるのがLVEFで、40%未満だと収縮機能が低下しているとされる。2004〜05年の心不全患者を対象にした研究では、LVEF 40%未満が58%、41〜49%が16%、50%以上が26%だった。収縮機能が低下した心不全(HFrEF)が多い。これに対し、2011〜15年の研究ではLVEF 40%未満が38%、41〜49%が16%、50%以上が46%と、収縮機能が保たれた心不全(HFpEF)が急増している。
この疾患は、2000年代に入り米国で急増したことから注目された。絹川教授は「左室の拡張が十分にできず、心臓に十分な血液が戻って来ないのではないかと考えられる。心内圧が上がりやすく、肺のうっ血がメインの症状だ」と話す。リスクの原因としては高齢であることをはじめ、高血圧症、糖尿病。肥満などが挙げられるという。
◇新治療薬に期待
LVEF 40%未満の心不全では予後の改善が見られることに対し、LVEF 40%以上では治療の選択肢が限られてきたという。一因には、治療薬がある。前者はβ遮断薬やACE阻害薬などがあり、幾つかの薬剤併用も有効とされている。一方、後者については、これまでSGLT2阻害薬しかなかった。
2025年12月、慢性腎臓病に用いるケレンディア(一般名フィネレノン)が、慢性心不全への適応も追加承認された。この薬剤はミネラルコルチコイド受容体の過剰な活性化を抑制する働きがある。学会のガイドラインで、推奨レベルは二番目の「投与を考慮する」とされている。絹川教授は「同じ作用機序(メカニズム)の薬が臨床試験で有効とされれば、推奨レベルは上がるだろう」と話す。(鈴木豊)
[時事通信社 2026年5月12日]
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