野菜や魚をよく食べている人は、新型コロナに感染しても重症化しにくいという調査結果を、米ジョンズホプキンス公衆衛生大学院が発表した。
野菜や魚を十分に摂る食事スタイルは健康的であることが知られており、そうした健康な食事が新型コロナに対しても利益をもたらしている可能性がある。
野菜や魚をよく食べている人は新型コロナが重症化しにくい
野菜や魚をよく食べている人は、新型コロナに感染しても重症化しにくいという調査結果を、米ジョンズホプキンス公衆衛生大学院が発表した。野菜をよく食べる食事スタイルをもつ人は、新型コロナが中等度から重度に進展するリスクが73%低かった。肉は食べないが魚は食べる菜食主義の食事スタイルの人でも、リスクは59%低かった。
「食事と新型コロナの重症度との因果関係を確認するには、さらなる検証が必要です。新型コロナの感染を恐れ、いますぐ食事スタイルを変えなければならないというわけではありませんが、野菜や魚を十分に摂る食事スタイルは健康的であることが知られており、そうした健康な食事が利益をもたらしている可能性があります」と、研究者は述べている。
研究グループは、米国、英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインの6ヵ国の、医療現場で新型コロナの治療にあたっている医師と看護師の計2,884人(うち感染者は568人)を対象に、2020年7月17日~9月25日に調査した。
研究グループは、新型コロナのパンデミックの前の1年間に、特定の食事療法を行ったかを質問した。選択肢は、▼植物性食品中心の食事、▼ケトン食、▼ベジタリアン、▼地中海食、▼ペスカタリアン(魚類は食べるが、肉は食べないベジタリアン)、パレオ食(旧石器時代食)、低脂肪食、低炭水化物食、高タンパク食など、11項目を用意した。
解析した結果、植物性食品中心の食生活(植物性食品中心+ベジタリアン)は、そうでない人に対して、新型コロナに感染して中等度から重度に進展するリスクが73%低かった(OR 0.27、95%CI 0.10~0.81)。また、これにペスカタリアンを追加すると、リスクは59%低下した(OR 0.41、95%CI 0.17~0.99)
一方、低炭水化物ダイエット(低炭水化物/高タンパク)の人では、植物性食品中心の食事スタイルの人に比べ、新型コロナの重症化リスクの上昇がみられた(OR 3.86、95%CI 1.13~13.24)。
健康的な生活スタイルは新型コロナに対しても有効
植物性食品中心またはペスカタリアンの食事スタイルをもつ人は、野菜、豆類、大豆、ナッツ類の摂取量が多く、赤身肉や加工肉の摂取量が少なかった。
研究者は、「今後はより大規模なランダム化比較試験で、さらなる検証をする必要があります」としながらも、「植物性食品や魚を多く摂る品質の高い健康的な食事が、新型コロナに感染した時の重症化予防のために効果的かもしれません」と結論している。
この調査について、英レディング大学栄養食品科学部のガンター クーヌル教授は、「野菜や魚をよく食べている人は、健康意識が高く、食事以外でも生活スタイルが健康的である可能性があります。運動習慣があるなど、食事以外の要因が影響している可能性もあります」と指摘している。
さらに、「今回の研究は規模が小さく、6ヵ国で行われています。たとえばドイツや英国では食事スタイルが大きく異なり、単純に比較はできません」としている。
「現時点では、運動をする習慣をもち、健康的な食事をし、体重増加を抑え肥満を予防することが、2型糖尿病やがんなどさまざまな健康問題に対して自分を守るのに役立つことが分かっています。こうした健康的な生活スタイルは、新型コロナに対しても有効である可能性があります」とまとめている。
ジョンズホプキンス公衆衛生大学院
Plant-based diets, pescatarian diets and COVID-19 severity: a population-based case-control study in six countries(BMJ Nutrition, Prevention & Health 2021年6月7日)
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]