ニュース

2024年11月28日

脳卒中や心臓病の予防のために半数近くが生活改善を開始 内閣府調査 働き続けるために「健康な体が必要」

 半数近くの人は、脳卒中や心臓病などを予防するために、生活習慣の改善をはじめていることが、内閣府の「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」により明らかになった。

 その一方で、脳卒中や心臓病について「現代の日本の社会が、発症した後にも働き続けられる環境だと思わない」という人はおよそ7割に上った。

 「職場の環境が整っていない」「業務への配置転換が難しい」「仕事との両立が体力的に困難」「精神的に困難」と考えている人が多いことが示された。

 働いている人を対象とした別の調査では、働き続けるために「健康な体が必要」だと思っている人が8割以上に上ることも示された。

3分の2の人は生活習慣の改善を「すでにはじめている」「やるつもり」

 糖尿病とともに生きる人が、血糖値が高い状態が続くと、血管が傷ついて、脳卒中や心臓病などの合併症が引き起こされる。

 脳卒中や心臓病は、日本人の死因の上位に入っていて、後遺症を残すことが少なくなく、合併症を有することもあり深刻だ。

 糖尿病の治療を続けて、血糖値を目標の値に管理し、血圧やコレステロールなども望ましい範囲に管理することで、糖尿病の合併症を予防できると考えられている。食事や運動などの生活習慣を改善することも重要だ。

 内閣府は、「脳卒中や心臓病等に関する世論調査」の結果を発表した。調査は、全国の18歳以上の日本人3,000人を対象に、2024年7月~9月に実施したもの。

 その結果、「脳卒中や心臓病などの予防のために、生活習慣の改善をしようと思っていますか?」という問いに対して、「すでに改善をはじめている」と答えた人が45%、「改善をしようと思っている」という人が21%に上った。

 脳卒中や心臓病などの予防のために、ふだんの生活で心がけていることは、「野菜をたくさん食べる」(55%)、「体を動かす」(49%)、「食塩をとりすぎない」(49%)、「睡眠を十分にとる」(38%)、「糖分をとりすぎない」(37%)が多かった。

生活習慣の改善に取り組めない人の理由は?

 一方で、「生活習慣を改善しようと思っていない」という人も32%に上った。その理由は、「病気の自覚症状がない」(52%)、「時間的なゆとりがない」(30%)、「経済的なゆとりがない」(23%)、「ストレスになる」(22%)が多かった。

 脳卒中や心臓病などの主な危険因子として、高血圧症、脂質異常症、糖尿病、心房細動などの不整脈、慢性腎臓病などがある。

 「予防を目的として病院を選ぶ際、どこから情報を入手しますか?」という問いに対しては、「かかりつけ医からの紹介」「病院のホームページ」「家族・友人・知人からの紹介」と答えた人が多かった。

脳卒中や心臓病を発症すると働き続けるのは難しくなる?

 一方で調査では、脳卒中について「現代の日本の社会が、発症した後にも働き続けられる環境だと思いますか?」という問いに対して、77%が「そう思わない」と答えた。

 働き続けることを難しくさせている理由は、「後遺症のために日常生活における動作などが変化したことに対する職場の環境が整っていない」(76%)、「仕事との両立が体力的に困難」(55%)、「精神的に困難」(50%)が多かった。

 心臓病についても、「発症した後にも働き続けられる環境だと思わない」という人が68%に上った。

 働き続けることを難しくさせている理由は、「身体に過度な負担がかからないような業務への配置転換が難しい」(61%)、「仕事との両立が体力的に困難」(60%)、「精神的に困難」(53%)が多かった。

働き続けるために「健康な体が必要」という人が8割以上

 オムロン ヘルスケアが、勤労感謝の日に合わせて、働いている人を対象に実施した別の調査では、働き続けるために「健康な体が必要」だと思っている人が8割以上に上ることが示された。年代別にみると、とくに60代~70代で高くなった。

 現在の健康に対する不安は、「視力低下」(29%)、「腰痛」(26%)、「肩こり」(26%)、「肥満」(17%)、「高血圧」(17%)、「記憶力の低下」(16%)が多かった。

健康についての悩みや不安に対して行っている対策は、「適度な運動」(38%)、「通院」(32%)、「休養・睡眠をとる」(27%)、「服薬」(26%)、「栄養バランスのとれた食事」(22%)が多かった。

 「70歳以上まで働きたい」という人は3割で、働き続けたいと思う理由は、「生活維持のための収入を得るため」(59%)、「就労することで健康を維持したい」(48%)が多かった。年代別にみると、70代は「就労することで健康を維持したい」という人が7割近くに上った。

 また、8割以上の人が、「健康診断を定期的に受けている」と回答。とくに「職場で実施される健康診断」を活用していると答えたのは6割以上に上った。

 調査は、30代~70代の就業者1,000人を対象に、2024年10月に実施されたもの。

脳卒中や心臓病等に関する世論調査(令和6年7月調査) (内閣府)
30代から70代の就業者1000人を対象に勤労に関する意識・健康調査を実施 (オムロン ヘルスケア 2024年11月22日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲