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2024年11月19日
植物ベースの食事により糖尿病リスクが減少 腸内細菌も改善 健康的な食事による体重管理は魅力的

野菜・全粒穀物・大豆・豆類・海藻・イモ・ナッツ・キノコ・果物などの植物性食品は、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれており、2型糖尿病のリスクを減らすのに役立つことが発表されている。
食物繊維の多い植物性食品を取り入れた食事スタイルにより、腸内細菌を改善できることも示されている。健康な腸内細菌叢は、2型糖尿病、肥満やメタボリックシンドロームのある人にとっても重要だ。
薬物を使った治療による減量よりも、健康的な食事による体重管理の方が魅力的と感じている人が多いという調査結果も発表された。
植物ベースの食事により糖尿病リスクが減少
野菜・全粒穀物・大豆・豆類・海藻・イモ・ナッツ・キノコ・果物などの植物性食品は、食物繊維・ビタミン・ミネラルなどが豊富に含まれており、2型糖尿病のリスクを減らすのに役立つことが明らかになっている。 研究は、欧州糖尿病学会(EASD)が発表したもの。ハーバード公衆衛生大学院の栄養学部のフランク フー教授らは、米国で実施されている3件の前向きコホート研究(看護師健康調査、看護師健康調査II、医療従事者追跡調査)に参加した計1万684人の成人を調査した。 その結果、植物性食品を取り入れた食事をしており、代謝プロファイルの良い人は、2型糖尿病の発症リスクが19%少なく、もっとも健康的な食事スタイルをもつ人は23%少ないことが示された。 米国栄養学会誌に発表された研究でも、植物性食品を十分に食べる食事スタイルは、体重・体脂肪、インスリン感受性、コレステロール値などが良好であることと関連していると示されている。 「2型糖尿病の発症には、体質など遺伝的な因子も大きく関わっていますが、健康的な食事や、適度な運動、過体重・肥満の解消など、生活スタイルの改善により糖尿病のリスクを減らせます」と、フー教授は言う。 「糖尿病を放置していると、心血管疾患や脳卒中などの大血管症や、腎臓・眼・神経などに障害をもたらす細小血管症といった糖尿病合併症のリスクが高まります。植物性食品も取り入れたバランスの良い健康的な食事をお勧めします」としている。植物ベースの食事により腸内細菌が改善

肉類は食べない方が良い? バランスの良い食事が大切
一方で、鶏肉・豚肉・牛肉などの肉類は、タンパク質を多く含む食品で、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、必須アミノ酸がバランスよく含まれている。肉類を食べるのは良くないのだろうか? イタリアのボローニャ大学の研究グループは、2000~2023年に発表された、植物性食品をとる食事スタイルの健康への影響を調べた48件の研究を解析した。 「20年にわたる研究を調査した結果、やはり植物ベースの食事は全体的に、大きな健康上のベネフィットをもたらすことが確認されました」と、同大学生物医学・神経運動科学部のアンジェロ カポディチ氏は言う。 「ただし、植物性食品のみを食べていると、人によってはタンパク質、ビタミン、ミネラルなどの不足を引き起こすことがあることも分かりました」。 「食べすぎには注意が必要になるものの、乳製品や卵、肉類などの動物性食品も含め、バランスの良い食事をとることが大切です」としている。植物性食品を取り入れた健康的な食事による体重管理は魅力的
2型糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬は、肥満症にも効能や効果のある薬剤として、利用が増えている。
米国の全国調査で、GLP-1受容体作動薬などの薬物を使った減量よりも、健康的な食事による体重管理の方が魅力的と感じている人が多いことが示された。調査は、米ワシントンを拠点に活動している「責任ある医療のための医師委員会(PCRM)」によるもの。
「植物性食品を中心とした食事により体重を減らせるとしたら、短期間でも試してみたいと思いますか?」という質問に対しては、回答者の3分の2にあたる68%が「関心がある」と回答した。調査は、米国の2,205人の成人を対象に行われた。
「この調査結果は、米国人の多くは減量を望んでいるものの、ほとんどの人は薬による治療に頼るより前に、食事を改善することが望ましいと考えていることを示すものです」と、同委員会のニール バーナード会長は述べている。
GLP-1受容体作動薬は、血糖値が高くなったときのみインスリンの分泌を促進し、単独で使用する場合には低血糖を生じるリスクは少ない。摂取した食物の胃からの排出を遅らせる作用や、食欲を抑える作用などもある。
日本では日本肥満症学会が、昨年11月に「肥満症治療薬の安全・適正使用に関するステートメント」を発表し、「GLP-1受容体作動薬は、健康障害をともなわない(したがって肥満症とは診断されない)肥満に用いるべきではなく、また低体重や普通体重など適応外の体重者に対し、美容・痩身・ダイエットなどの目的で用いる薬剤ではない」と注意を呼びかけている。
Plasma metabolite profiles related to plant-based diets and the risk of type 2 diabetes (Diabetologia 2022年4月8日)
A Mediterranean Diet and Low-Fat Vegan Diet to Improve Body Weight and Cardiometabolic Risk Factors: A Randomized, Cross-over Trial (Journal of the American College of Nutrition 2021年2月5日)
Short-term study suggests vegan diet can boost gut microbes related to body weight, body composition and blood sugar control (Diabetologia 2019年9月16日)
Two decades of studies suggest health benefits associated with plant-based diets (PLOS 2024年5月15日)
Cardiovascular health and cancer risk associated with plant based diets: An umbrella review (PLOS ONE 2024年5月15日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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