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2023年08月23日

「1日2回の歯磨き」が糖尿病の血糖管理を改善 歯磨き習慣のある人はHbA1cや血糖値が低下

 2型糖尿病とともに生きる人は、歯磨きなどをより頻繁に行うと、HbA1cが低くなり、糖尿病の管理が改善する可能性がある。

 歯磨きの習慣があり、歯数を維持していることが、HbA1cや空腹時血糖値だけでなく、24時間の血糖変動の質の良さとも関係することが明らかになった。

 逆に、血糖管理がうまくいっていない患者ほど、歯の喪失リスクがより高まることも示されている。毎日きちんと歯磨きをすることが大切だ。

糖尿病の人は口の中の健康を良好に保つことも大切

 歯周病は、成人が歯を失う原因でもっとも多い。歯周病と糖尿病は、相互に悪い影響をおよぼしあい、糖尿病とともに生きる人は血糖管理が良好でないと、歯周病も悪化しやすくなることが知られている。

 歯周病があると糖尿病の血糖管理も難しくなる。さらには、歯周病の治療をきちんと行うと、血糖値も改善することも分かってきた。

 口の中の健康を良好に保ち、できるだけ歯を残すことも大切だ。自分の歯でよく噛んで食べられることは、食事の栄養バランスを良好にすることにもつながる。

 とくに食物繊維の多い野菜などは、健康な歯でしっかり噛まないと飲み込めない。さほど噛まなくても飲みこめるやわらかい食べ物ばかりを口にするようになると、炭水化物に偏るなど栄養バランスが乱れやすくなる。

歯磨きを積極的にしている人は血糖管理も良好

 2型糖尿病とともに生きる人は、歯磨きや歯間の清掃をより頻繁に行うと、HbA1cが低くなり、糖尿病の管理が改善する可能性があるという研究を、米国歯科医師会(ADA)などが発表した。

 より頻繁に歯磨きをしている2型糖尿病の人は、血糖管理がより良い傾向があり、その多くは歯科医院で歯や歯茎の口腔内の健康について、より良いケアを受けていることも分かった。

 「口腔内の健康について、歯科医や歯科衛生士などから、より良いケアを受けている人は、血糖管理も良好であることが分かりました。そうした人は、歯磨きなども積極的に行っている傾向があります」と、メドスター糖尿病研究所のミシェル マギー氏は言う。

 研究グループは、2型糖尿病と口腔ケアについて調べた11件研究をメタ解析した。その結果、2型糖尿病患者を対象としたほぼすべての観察研究で、より頻繁に歯磨きをしている人は、HbA1cや食後血糖値、空腹時血糖値が良好である傾向がみられた。

 「調査したほぼすべての研究で、歯磨きの頻度が高い人ほど、口腔内の健康も良好であることが示されました。また、歯科医などから口腔衛生や歯磨きなどのセルフケアについての指導を受けることと、糖尿病の管理の改善のあいだに関連がみられました」と、マギー氏は指摘している。

日本のサンスターが公開している動画

正しいハブラシの使い方

正しい歯間ブラシの使い方

歯磨き習慣があり、歯数の多い人は、血糖変動も良好

 南昌江内科クリニック/南糖尿病臨床研究センターとサンスターによる共同研究では、歯磨き習慣があり、歯数を維持していることが、HbA1cや空腹時血糖値だけでなく、24時間の血糖変動の質の良さとも関係することが明らかになった。

 研究グループは、通院中の2型糖尿病患者を対象に、口腔内の衛生と24時間の血糖変動などの血糖管理の指標の関連について調査した。

 これまでも糖尿病と歯周病は密接に関係し、2型糖尿病患者に歯周病治療を行うと血糖管理が改善されることが示されていたが、糖尿病患者の口腔衛生の習慣と血糖管理との関連はよく分かっていなかった。

 研究では、クリニックに通院中の2型糖尿病患者104人を対象に、横断的研究を実施。▼1日の歯みがき回数、▼デンタルフロスや歯間ブラシなどの使用による歯間清掃頻度、▼歯科通院頻度などについてアンケート調査を行った。

 その結果、歯磨きなどの習慣のある人や、歯数を20本以上維持している人は、平均グルコース値が低く、24時間の血糖変動の質も良い傾向があることが分かった。

 研究グループの別の研究では、歯の本数が減っていたり、歯茎の状態の良くない2型糖尿病の人は、食物繊維やビタミン、ミネラルなどの栄養素が不足しやすいことなども明らかになっている。

出典:サンスター、2023年

血糖管理の良くない人は歯の喪失リスクが高い

 滋賀医科大学とサンスターが共同で行ったビッグデータ分析でも、血糖管理がうまくいっていない患者ほど、歯の喪失リスクがより高まることが示されている。

 研究グループは、健康保険組合の定期健康診断を受診した20~74歳の男女23万3,567人のデータを解析した。

 その結果、30代以上の各年代で、HbA1cや空腹時血糖値が高い群ほど、歯の本数が少ないことが明らかになった。

 また40~60代では、糖尿病型(空腹時血糖値 126mg/dL以上)だけでなく、糖尿病予備群(空腹時血糖境界型 110~125mg/dL)も、正常血糖群に比べて、歯の数が少ないことなどが示された。

 「歯を失わないことは、生活の質を低下させないだけでなく、糖尿病の予防や管理にも深く影響していることが明らかになっています」と、研究グループでは述べている。

 「口の中のトラブルがあれば、すぐに歯科医院を受診しましょう。治療が必要な病変は、早めに発見して治療することが、重症化させないために重要です」。

 「歯科医院で、予防的なケアや専門的なアドバイスを受けることも効果的です。定期的なブラッシング指導を受ければ、自己流の間違ったブラッシングを改善することができます。かかりつけの歯科医院をつくり、年に1~2回のチェックとクリーニングを受けることも、将来の健康な生活につながります」としている。

出典:サンスター、2021年

A Scoping Review of the Relation Between Toothbrushing and Diabetes Knowledge, Glycemic Control, and Oral Health Outcomes in People With Type 2 Diabetes (Diabetes Spectrum 2023年6月5日)

2型糖尿病のある人の歯間清掃習慣や歯数が良好な24時間の血糖変動と関連 (サンスター 2023年6月6日)
2型糖尿病のある人の食物繊維、ビタミン、ミネラル不足の裏には歯の喪失やハグキの問題がかくれている可能性 (サンスター 2023年6月6日)
30代以上の血糖コントロール不良は歯の本数に影響 奥歯の損失に大きな差があると判明 (サンスター 2021年10月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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