ニュース
2021年11月18日
【新型コロナ】5~11歳児のコロナワクチン接種について親が知っておくべきこと
- キーワード
- HealthDay News 新型コロナと糖尿病
このページの記事は、米国心臓学会(AHA)が公開している記事を翻訳したもので、新型コロナウイルス感染症のワクチンの承認についての記述は米国の状況を反映しています。
日本での新型コロナのワクチン接種についての最新情報は、厚生労働省のホームページをご覧ください。
5~11歳児のコロナワクチン接種について親が知っておくべきこと
5~11歳児用のワクチンは、2020年12月から成人に投与されている米ファイザー社製のワクチンの用量を3分の1にしたもの。米食品医薬品局(FDA)に提出されたデータによると、このワクチンの5~11歳児におけるCOVID-19の発症予防効果は90.7%と示されている。大人や青年と同様に、5~11歳児でも、1回目の接種から3週間後に2回目の接種が必要である。
● 5~11歳児にワクチン接種は必要なのか
Curtis氏は、「われわれは、小児をハイリスク集団とは考えていない」と述べながらも、米疾病対策センター(CDC)のデータでは、2021年10月10日の時点で、5~11歳の約200万人がCOVID-19に罹患し、94人が死亡していると指摘する。また、COVID-19は多系統炎症性症候群(MIS-C)とも関連付けられている。
CDCによると、10月初旬の時点で5,200人以上の小児がMIS-Cの診断を受け、46人が死亡しているという。こうした事実に言及したうえで同氏は、「ワクチンは小児を感染から守るだけではない。家族をはじめ、小児の周りにいる人々に対する感染拡大を防ぐことにもつながる」と主張している。
● ワクチン接種によりどんな副反応が現れるのか
CDCによると、10月初旬の時点で5,200人以上の小児がMIS-Cの診断を受け、46人が死亡しているという。こうした事実に言及したうえで同氏は、「ワクチンは小児を感染から守るだけではない。家族をはじめ、小児の周りにいる人々に対する感染拡大を防ぐことにもつながる」と主張している。
頻発する副反応は、注射部位の痛み、発赤、腫れなど。一部の小児には、発熱、倦怠感、体の痛み、頭痛、悪寒、リンパ節の腫脹など、成人に生じた症状と同様のものも認められた。ただしFDAは、5~11歳児3,109人を対象にした臨床試験で、ファイザー社製のワクチン接種により深刻な副反応が生じた対象者はいなかったとしている。
● 心筋炎や心膜炎などの心臓にかかわる問題のリスクはないのか
臨床試験では、心臓にかかわる有害事象は認められていない。FDAは、統計モデルを用いて5~11歳児での心臓の炎症リスクを予測したうえで、ワクチン接種により得られるベネフィットはリスクをはるかに上回ると結論付けている。
Curtis氏は、「親として、子どもの心臓の炎症を恐れる気持ちは理解できる。しかし、一般的に心臓の炎症は軽度から中等度の疾患であり、通常、長期的な問題となることはない。また、心筋炎の発症リスクは、COVID-19に罹患した場合の方がはるかに高い」と述べている。
● COVID-19の罹患歴があってもワクチン接種は必要か
Curtis氏は、「親として、子どもの心臓の炎症を恐れる気持ちは理解できる。しかし、一般的に心臓の炎症は軽度から中等度の疾患であり、通常、長期的な問題となることはない。また、心筋炎の発症リスクは、COVID-19に罹患した場合の方がはるかに高い」と述べている。
罹患歴があっても接種が推奨されている。Curtis氏は、「免疫力は時間の経過とともに衰えると言われるが、新型コロナウイルスの感染状況をみると、それが如実に示されている。ワクチン接種により免疫応答を高め、感染を予防する必要がある」と主張する。
● 子どものクラスメートの多くがワクチンを接種済みなので、集団免疫をあてにすることはできるか
「そのような考え方は危険だ」とCurtis氏は警鐘を鳴らす。ワクチンを接種することにより、感染や重症化のリスクは下げられるものの、感染の可能性がゼロになるわけではない。また、ワクチン未接種の小児は、学校以外の場所で新型コロナウイルスに感染するおそれがあるからだ。
● 5歳未満の子どもを守るためにできることは何か
Curtis氏は、「家族や子どもの面倒をみる人など、子どもにかかわる全ての人がワクチンを接種することだ」と断言する。その他にも、ソーシャルディスタンシングや、2歳以上の小児の公共の場でのマスク着用、感染リスクの高い場所を避けることなどの予防措置を講じることも重要だとしている。
最後に、子どものワクチン接種について前向きに捉えるべきかどうかの判断がつかない親に対して、自身も9歳と11歳の子どもをもつCurtis氏は、「私は、この年齢層に対するワクチン接種を長い間、待ち望んでいた。ついに承認が下りたことに対して心から喜んでいる」と語っている。
同氏はさらに、この年齢層でもCOVID-19が重症化するおそれのあることを指摘し、「私にとって、ワクチン接種は、子どもがCOVID-19に罹患するよりもはるかに安全な選択肢であることがはっきりしている。また、ワクチン接種は、子どもの友人や家族など周りの人々を守るための方法でもある」と話している。
[American Heart Association News 2021年11月5日]
American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.Photo Credit: kali9/E+, Getty Images
【特集】新型コロナウイルス感染症
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
HealthDay Newsの関連記事
- 糖尿病は治る病気? 減量で糖尿病が寛解すると心臓病と腎臓病のリスクが低下
- 「血糖値も測れる」とうたうスマートウォッチなどの使用に米FDAが注意喚起
- キムチが肥満予防に役立つ? キムチを食べている男性は肥満リスクが10%以上減少
- 1型糖尿病の新しい治療法を開発 インスリンを産生する膵臓のβ細胞を保護
- 年末年始は宴席やイベントの誘いが増える 実は誘いを断っても人間関係への影響は少ない
- 1型糖尿病の小児患者のインスリン分泌能の低下を抑制 インスリンを産生するβ細胞を保護
- 1型糖尿病患者の半数以上が20歳以降に発症 1型糖尿病の発症パターンは多様 米国で調査
- 幹細胞由来膵島療法により1型糖尿病患者がインスリン不要に 新たな治療法の可能性
- 54歳で脳卒中を発症 妻の迅速な対応で回復 「脳卒中の兆候を見逃さないで」
- ダンスを糧に脊髄梗塞の困難を乗り越える 自分のありのままの人生を受け入れる