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2021年11月19日
糖尿病の食事に「グリセミック・インデックス」を取り入れる 「全粒穀物」で糖尿病リスクを低下
「グリセミック・インデックス(GI)」は、食後血糖値の上昇度を示す指数のこと。GIの高い食事をしていると、血糖値が短時間で上昇しやすくなる。
GIが低い食事をしていると、とくに⼼筋梗塞や脳梗塞などの循環器疾患のリスクが低下するという研究が発表された。
食事のGIを低くし、血糖値が上がりにくくするために、食物繊維が豊富に含まれる「全粒穀物」を利用する方法がある。
全粒穀物を食べると、2型糖尿病のリスクが大幅に減少するという研究も発表された。
糖質や食物繊維により血糖値の上がりやすさに違いが
グリセミック・インデックス
数値が低いほど食後の血糖値が上がりにくい
数値が低いほど食後の血糖値が上がりにくい
炭水化物は大切な栄養素 でも急な血糖上昇には注意が必要
グリセミック・インデックス(GI)が低いと死亡リスクは低下
研究グループは、調査の参加者にアンケートに答えてもらい、食事のGIとGLを算出した。 GIと死亡リスクの関係を解析した結果、GIが高いほど全死亡リスクは高く、GIがもっとも低いグループに比べ、GIがもっとも高いグループの全死亡リスクは14%高いことが分かった。 さらに、死因別では、GIがもっとも低いグループに比べ、GIがもっとも高いグループの死亡リスクは、循環器疾患で28%、心疾患で33%、脳血管疾患で32%、呼吸器疾患で45%、それぞれ上昇した。これらの死因についても、GIが高いほど死亡リスクが高いことが明らかになった。 一方、GLについては、全死亡リスクとの関連はみられなかったが、死因別の死亡リスクでは、循環器疾患と脳血管疾患で、GLが高いほど死亡リスクが高くなった。 GLがもっとも低いグループに比べ、GLがもっとも高いグループの死因別死亡リスクは、循環器疾患で24%、脳血管疾患で34%、呼吸器疾患で35%、それぞれ上昇した。 男女別に行った解析でも、同様の結果になった。
グリセミック・インデックス(GI)と死亡原因別の死亡リスク
GIが高くなると死亡リスクが上昇した グリセミック・ロード(GL)と死亡原因別の死亡リスク
GLが高くなると死因別の死亡リスクが上昇した
GIが高くなると死亡リスクが上昇した グリセミック・ロード(GL)と死亡原因別の死亡リスク
GLが高くなると死因別の死亡リスクが上昇した
出典:国立がん研究センター、2021年
高インスリン血症が循環器疾患の発症に大きく影響
GIやGLについての研究は、ほとんどが欧米人を対象としており、食習慣や死因となる疾病が異なる日本人で、GIやGLと死亡リスクとの関連について調べた研究はこれまでなかった。 これまでの研究でも、GIとGLの値が高いと、ともに全死亡のリスクが高いという結果が報告されている。今回の研究では、GIの値が高いと全死亡のリスクが高く、GLの値とは関係がみられなかった。 これについては、GIとGLを割り当てた成分表の違いや、食品ごとに割り当てられている値が国ごとに異なることが、結果の違いにつながった可能性があるという。 また、今回の研究では、GIとGLの値が高いと、とくに循環器疾患死亡リスクが高いという結果になった。これまでの14件の研究をまとめたメタ解析でも、GIとGLが高いと循環器疾患のリスクが高いことが報告されている。 このことは、食後の血糖値の上昇と、血糖値を下げる働きをもつホルモンであるインスリンが多く分泌された状態である高インスリン血症が、循環器疾患の発症に重要な役割を果たしていることを示している。GI値が高い食事は、血管内の血栓の形成や血管内皮の炎症につながることも報告されている。 高血糖と高インスリン血症があると、中性脂肪や悪玉のLDLコレステロールの値が高くなり、また、収縮期血圧(最高血圧)が上昇するという報告もある。 「これらのメカニズムにより、循環器疾患や心疾患、脳血管疾患のリスクが高まると考えられます。また、高血糖が身体内の炎症や酸化ストレスを誘発し、呼吸器の機能低下につながる可能性も考えられます」と、研究グループでは述べている。「全粒穀物」が糖尿病リスクを減少 医療費も削減できる
全粒穀物を活用しグリセミック・インデックスを下げる
食事に全粒穀物を取り入れると糖尿病リスクが減少
東フィンランド大学とフィンランド保健福祉研究所の研究によると、全粒穀物を食べると、2型糖尿病のリスクが大幅に減少する可能性がある。 研究グループは、フィンランドで実施された全国的な追跡調査の結果を利用して、全粒穀物食品の摂取量の増加が2型糖尿病の予防にもたらす影響について調査した。 毎日の食事で1食に全粒穀物を取り入れただけでも、2型糖尿病の発生リスクは減少し、その結果、糖尿病に関連する医療費などの直接的なコストも削減できるという。 「毎日の食事に全粒穀物を取り入れることで得られる、社会全体の今後10年間の削減コストは、3億ユーロ(390億円、マイナス3.3%)から10億ユーロ(1,300億円、マイナス12.2%)と推定されます。個人レベルでも健康的に生きられる年数の延長を期待できます」と、東フィンランド大学健康科学部のヤンネ マルチカイネン教授は言う。3分の2は食物繊維が足りていない
2型糖尿病は世界中で増えており、フィンランドでも急速に増えている。全粒穀物は体重コントロールにも役立つ可能性があり、2型糖尿病を予防・改善するためのカギになるとしている。 「しかし実際には、フィンランド人の3分の1は、毎日1回も全粒穀物を食べておらず、3分の2は食物繊維の摂取量が少な過ぎます。食物繊維を毎日摂ることと糖尿病リスクの低下との関連は、多くの研究で実証されています」と、フィンランド保健福祉研究所のヤアナ リンドストローム氏は述べている。Dietary glycemic index, glycemic load and mortality: Japan Public Health Center-based prospective study(European Journal of Nutrition 2021年6月22日)
Increased consumption of whole grains could significantly reduce the economic impact of type 2 diabetes(東フィンランド大学 2021年10月25日)
Type 2 Diabetes-Related Health Economic Impact Associated with Increased Whole Grains Consumption among Adults in Finland(Nutrients 2021年10月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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