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2020年12月25日
糖尿病の人は「アルコール」に注意 年末年始に飲み過ぎないための7ヵ条
アルコールは適量を飲むと、ストレスを解消できる効果を期待できるが、量が増えると、心と体の健康を損なう原因になる。
適度な飲酒は、むしろ糖尿病リスクの低下につながるという研究も報告されているが、糖尿病のある人は、アルコールを少し飲み過ぎだたけでダメージを受けやすいことが分かっている。
米国糖尿病学会(ADA)などは、アルコールとの「上手な付き合い方」を紹介している。
適度な飲酒は、むしろ糖尿病リスクの低下につながるという研究も報告されているが、糖尿病のある人は、アルコールを少し飲み過ぎだたけでダメージを受けやすいことが分かっている。
米国糖尿病学会(ADA)などは、アルコールとの「上手な付き合い方」を紹介している。
適度な飲酒は糖尿病リスクの低下につながる?
日本人を対象とした大規模調査「NIPPON DATA」で、2型糖尿病では、適度な飲酒をする習慣のある人は、まったく飲まない人に比べ、心血管疾患などの死亡リスクはむしろ低いという結果が報告されている。
海外の研究でも、アルコール摂取量と糖尿病や関連する疾患のリスクは、「Uカーブ」の関係にあることが示されている。つまり適度な飲酒をしていると、血糖コントロールの状態はむしろ良くなり、糖尿病合併症も減ると報告されている。
ただし、注意しなければならないのは、アルコールを飲み過ぎてしまうと、その健康効果はすぐに打ち消されてしまうことだ。
アルコールを飲み過ぎると、インスリンが十分に働かなくなるインスリン抵抗性の原因になり、糖尿病のコントロールが乱れ、高血圧や肥満のリスクも上昇する。肝臓病や脳卒中、がんなどのリスクも高くなる。
アルコールを大量に飲むと健康効果は打ち消される
カナダのトロント大学などの研究では、アルコール(純アルコール量)を1日に25~30g程度摂取していると、糖尿病の発症リスクは低くなることが分かった。しかし、アルコールを飲み過ぎて、1日に50gを超えると、その効果はすぐに打ち消されてしまう。
日本人では「適度な飲酒」は、男性でアルコール量が1日に20gぐらいまでだと考えられている。
これは、ビール(中びん)1本(500mL)、チューハイ レギュラー缶1本(350mL)、日本酒1合(180mL)、焼酎1杯(100mL)、ワイン2杯(120mL)、ウイスキー2杯(60mL)に相当する。
缶ビールの2本目を飲む前にご注意を
糖尿病の人がアルコールを飲み過ぎないための7ヵ条
休日が続くと、アルコールを飲み過ぎてしまいがちになる。米メイヨー クリニックや米国糖尿病学会(ADA)などは、休日が続くときの、アルコールとの「上手な付き合い方」を紹介している。
「アルコールにはリラックス効果があり、ストレスの軽減を期待できますが、飲み過ぎには注意が必要です。安全な飲酒の方法を知っておくことが必要です」と、メイヨー クリニックのテリー シュニークロス氏は言う。
<< アルコールを飲み過ぎないための7ヵ条 >>
- アルコールを飲むときでも、食事は3食をきちんととることが大切。アルコールはアルコールそのものの作用やアルコールの代謝により血糖値に影響を与える。アルコールを飲むからといって、食事を抜くのは危険がともなう。
- 空腹の状態でお酒を飲むと、胃から小腸へのアルコールの吸収が速く、すぐに酔いが回ってしまう。空腹時にはなるべく飲まないようにする。
- とくにインスリンや、SU薬などの経口血糖降下剤で薬物治療をしている人は、アルコールの急性効果として低血糖を起こしやすくなる。食事量が低下することで、肝臓のグリコーゲンが減少し、さらにアルコールの代謝にともなう代謝経路の変化により、糖新生(肝臓での糖の産生)が抑制されるからだ。食事をとらずに飲酒するのは避けるべきだ。
- 飲むときは、良質のタンパク質が多く含まれる魚や肉、大豆製品、ミネラルや食物繊維を多く含む野菜、とくに緑黄色野菜、海藻、キノコなどを食べることが勧められる。
- アルコールには利尿作用がありトイレが近くなる。排出された水分を補わないと脱水状態になりやすい。そのため、お酒を飲むときは、脱水を防ぐために水も飲むようにする。
- 2型糖尿病の治療に広く用いられているビグアナイド薬(メトホルミン)は、アルコールを過度に飲むと、副作用である乳酸アシドーシスが起こりやすくなる。とくに過度の飲酒を続けている人では、肝臓での乳酸の代謝能が低下しているおそれがあるので注意が必要だ。吐気・嘔吐・腹痛などの胃腸症状や過呼吸などがある場合は医師に相談する。
- SGLT2阻害薬は、血液中の糖を尿中に排出させることで血糖値を下げるタイプの治療薬。過度のアルコールを摂取したり、感染症にかかったり、脱水の状態にあると副作用が起こりやすくなる。このタイプの薬を飲んでいるときにも、アルコールの飲み過ぎには注意が必要だ。
- お酒を控えていたり、飲めない体質の人は、周囲の人に「自分はお酒を飲めない」ことを事前に伝えておく。とくに日本人は半数はお酒に弱い遺伝子をもっているとされる。
- 会席やパーティーでは、ビールやウイスキーの水割りの代わりに、色が似ているウーロン茶やノンアルコール飲料を上手に利用する。下戸にとっては宴席で何を飲むかというのは切実な問題だ。
「糖質ゼロ」でもカロリーは「ゼロ」ではない
お酒以外のリラックス方法をみつけることも大切
「過度の飲酒をしないで、ほどほどで切り上げることができれば、あるいは飲酒による健康への悪影響がなければ、お酒を飲んではいけないということはありません。しかし、食事ガイドラインに合わせて、飲む量を減らすよう努めることをお勧めします。そうすることが、長期的に健康を守ることにつながります」と、メイヨー クリニックのテリー シュニークロス氏は述べている。
「アルコールにはストレス解消の効果もありますが、体や心をコントロールするための手段として飲み過ぎるのは、健康的ではありません。もしもあなたがストレスや不安を感じているのなら、体を動かしてアクティブになったり、趣味や話の合う友達をみつけたり、読書や音楽、入浴などでリラックスする方法をみつけることが役に立ちます」。
「糖尿病とともに生きる人々を支える心理的・社会的なサポートも必要です。医師や医療スタッフは、糖尿病患者のストレスを軽減し、効果的にサポートするために対策する必要があります」と指摘している。
NIPPON DATAAlcohol intake and 19-year mortality in diabetic men: NIPPON DATA80(Alcohol 2009日12月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes:A systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes:the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry(Journal of General Internal Medicine 2008年3月1日)
More than 1 drink a day could raise blood pressure in adults with diabetes(米国心臓学会 2020年9月9日)
Association of Alcohol Intake With Hypertension in Type 2 Diabetes Mellitus: The ACCORD Trial(Journal of the American Heart Association 2020年9月9日)
Alcohol use: Weighing risks and benefit(メイヨー クリニック 2019年10月26日)
Drinking With Diabetes(米国糖尿病学会 2019年3月)
The relationship between alcohol consumption and glycemic control among patients with diabetes: the Kaiser Permanente Northern California Diabetes Registry(Journal of General Internal Medicine 2008年3月)
Alcohol as a risk factor for type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis(Diabetes Care 2009年11月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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