ニュース

2019年07月25日

循環器領域におけるバイオマーカーとしての尿中L-FABPの有用性と可能性

Discussion ―フロアとの質疑応答―

――循環器内科で急性冠症候群などを治療しています。患者さんの多くは血行動態が非常に不安定で、また経皮的冠動脈形成術や造影剤投与、RA系阻害薬による治療を受けている方もいます。こうした患者さんで尿中L-FABPを測定する場合、尿中Cr補正は行うべきでしょうか。

木村先生 Cr補正に関してはいくつか議論があり、「アルブミンといった糸球体から漏れているものに関しては補正すべきだが、近位尿細管から漏れてくるものを補正するのは意味があるのか」ということが言われています。最終的な尿の濃度だけでみると、濃縮尿ではアルブミン量が上がり希釈尿では下がるというように、影響はかなり多く出ます。したがって、私自身はできれば尿中Cr補正はした方がいいと考えています。ただし、臨床現場でCr補正が難しい場合は、次善の策で尿中L-FABPを測定するだけでも十分意義があると思います。

文献

1) AKI(急性腎障害)診療ガイドライン2016、東京医学社、2016
2) Manabe K, et al. Eur J Clin Invest 42 : 557-563, 2012
3) Hishikari K, et al. Cardiorenal Med 7 : 267-275, 2017
4) Naruse H, et al. Crit Care 22 : 197, 2018
5) Sato E, et al. Renal Replacement Therapy 3: 26, 2017
6) Asada T, et al. Sci Rep 6:33077, 2016
7) Portilla D, et al. Kidney Int 73 : 465-472, 2008
8) Mishra J, et al. Lancet 365 : 1231-1238, 2005
9) Kamijo-Ikemori A, et al. Diabetes Care 34 : 691-696, 2011
10) Araki S, et al.Diabetes Care 36 : 1248-1253, 2013
11) Kamijo-Ikemori A, et al. Int J Nephrol Renovasc Dis 8 : 91-99, 2015

初 出

第83回 日本循環器学会学術集会 ランチョンセミナー48 会議センター315 (パシフィコ横浜)

演題:循環器領域におけるバイオマーカーとしての尿中L-FABPの有用性と可能性

座長:山口 修 先生(愛媛大学大学院医学系研究科 循環器・呼吸器・腎高血圧内科学講座 教授)

演者:木村 健二郎 先生(独立行政法人 地域医療機能推進機構 東京高輪病院 院長)

共催:シミックホールディングス株式会社、積水メディカル株式会社

[ DM-NET ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲