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2019年07月25日

集中治療領域における急性腎障害マーカーL-FABPの有用性と課題

第46回 日本集中治療医学会 学術集会 教育セミナー(ランチョン)8より

 集中治療領域では急性腎障害(acute kidney injury : AKI)が高頻度に発症し、AKIが予後不良の大きな一因となっている。AKIの早期診断が強く求められる中、尿細管機能障害をより早期かつ高い特異性で予測し得るマーカーとして尿中L-FABPの有用性が注目されている。本講演では、豊富な臨床経験に基づく多数のデータ・症例をご紹介いただきながら、集中治療領域における急性腎障害マーカーL-FABPの有用性について、新松戸中央総合病院腎臓内科・血液浄化センターの佐藤英一先生に解説していただいた。

演者:佐藤 英一 先生(新松戸中央総合病院 腎臓内科 部長 血液浄化センター長)

演者:佐藤 英一 先生(新松戸中央総合病院 腎臓内科 部長, 血液浄化センター長)

座長:松田 兼一 先生(山梨大学医学部 救急集中治療医学講座 教授)

座長:松田 兼一 先生(山梨大学医学部 救急集中治療医学講座 教授)

ICU症例におけるAKI早期発見の重要性

 尿中L-FABPは2011年に保険収載され、算定上の主な対象は①eGFR≧60mL/min/1.73m2の断続的に治療を受けている糖尿病患者、糸球体腎炎などの慢性腎臓病が疑われる患者、②急性腎障害が確立されていない、薬剤性腎障害、敗血症または多臓器不全等の患者、である。前者は糖尿病性腎症の病期進行リスクの判別、治療効果の判定、後者は治療転帰を含めた重症化リスクを判別することで、血液浄化療法などの適応判断に利用の可能性があるとされている。本講演では、後者に該当する集中治療領域を中心に、尿中L-FABPの有用性を考察してみたい。

 ICU症例では急性腎不全が高頻度に認められ、予後不良の一因とされる1)。本研究では、集中治療を要する29,269例のうち1,738例(5.7%)がAKIを発症し、AKI発症例の院内死亡率は60.3%に達することが示されている。また、AKI発症例の3割はICU入室以前から腎機能障害が存在していた。ICU症例におけるAKIは多臓器障害の端緒となることが少なくないため、早期発見がきわめて重要であることは明白と言える。

次は...
L-FABPは尿細管機能障害をより早期かつ高い特異性で予測し得る

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日本医療・健康情報研究所

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