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2024年07月11日
ハムやソーセージなどの「加工肉」が糖尿病リスクを上昇 人気の高い「植物肉」で健康改善 地球温暖化にも対策
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- 糖尿病と肥満 糖尿病の検査(HbA1c 他) 食事療法

ハム・ソーセージ・ベーコンなどの「加工肉」を食べる量を減らすと、2型糖尿病などのリスクを減らせるという研究が発表された。
加工肉の摂取量を30%減らすと、米国で10年間に35万件以上の糖尿病を予防できる可能性があるという。
大豆などから作った「プラントベースミート(植物肉)」は、動物性の肉に代わるもので、健康増進に役立つだけでなく、環境保全の点でも優れていると関心が高まっている。
ハムやソーセージなどの加工肉が糖尿病リスクを高めている
ハム・ソーセージ・ベーコンなどの「加工肉」を食べる量を減らすと、2型糖尿病などのリスクを減らせると、英国のエディンバラ大学や米国のノースカロライナ大学が発表した。 加工肉は、スーパーやコンビニなどで手に入りやすく、手軽に調理でき、価格も安いので、忙しい朝などに利用している人は多い。肉製品にタンパク質が多く含まれていることも魅力がある。 しかし加工肉は、長期間保存できるように添加物を加えてあったり、塩分や脂肪などを加えたものも多い。加工肉の色や風味を高めるために使用されている添加物が、2型糖尿病のリスクを高めているという報告もある。 そこで研究グループは、加工肉の大量摂取と糖尿病や肥満症などの慢性疾患との関連を調べるため、米国国民健康調査(NHANES)に参加した8,665人のデータを解析し、米国成人2億4,000万人超に相当するシミュレーションを行った。加工肉を減らすと糖尿病リスクが減少 環境負荷も減らせる
その結果、加工肉を食べる量を減らすと、さまざまな健康上のメリットがもたらされることが明らかになった。米国人はとくに加工肉を多く食べている。 加工肉の摂取量を30%減らすと、米国で10年間に35万件以上の糖尿病を予防できる可能性があることが示された。さらに、心筋梗塞などの心血管疾患の発症を9万2,500人、大腸がんの発症を5万3,300人減らせるとしている。 「加工肉の生産や製造の過程で、二酸化炭素などの温室効果ガスが多く排出されています。その消費量を減らすことは、温室効果ガスの排出を減らすことにもつながります」と、エディンバラ大学グローバルヘルス栄養学部のリンゼイ ジャックス教授は言う。 「食生活に少しの変化を加えることで、大きな健康効果を得られる可能性があり、さらには地球温暖化の対策にもつながります。人々と地球の双方にとって利益をもたらします」としている。大豆などから作った「プラントベースミート」の人気が上昇
植物から作った肉は動物の肉と味・食感は同じ

動物肉を植物肉に置き換えるのは良い選択
「肉の摂取量を減らしたい、とくに赤身の肉を控えたいという人にとって、プラントベースミートに置き換えることは、健康のために良い選択である可能性があります」と、同大学内分泌・代謝学部のエフード ウル教授は言う。 「プラントベースミートは、植物性のタンパク質も含まれており、すでに肉の摂取量を制限している人が、健康的な食生活に取り入れられるものです」。 しかし、「プラントベースミートを購入するときは栄養表示も見て、体に悪い飽和脂肪酸やナトリウムの少ないものを選ぶことも必要です」としている。 「プラントベースミートについては、ランダム化比較試験も行われていますが、2023年の時点で心血管疾患との関連を調べた研究は不足しています」と、カナダのバンクーバーのクリニックで植物性食品を取り入れた食事支援をしているマシュー ナグラ氏は指摘している。 「プラントベースミートの消費量は増加しています。そうした製品が健康にどのような影響を与えるかについて、より詳細な研究が必要とされています」としている。Estimated effects of reductions in processed meat consumption and unprocessed red meat consumption on occurrences of type 2 diabetes, cardiovascular disease, colorectal cancer, and mortality in the USA: a microsimulation study (Lancet Planetary 2024年7月)
"A Hearty Debate" Concludes Plant-Based Meat Alternatives Are Healthier for Your Heart than Meat (Elsevier 2024年6月26日)
Animal vs Plant-Based Meat: A Hearty Debate (Canadian Journal of Cardiology 2024年6月25日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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