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2024年07月19日

夏野菜のトマトを糖尿病の人の食事に活用 トマトは血糖値を上げにくい低GI食 煮込み料理がおすすめ

 夏野菜の代表格といえば「トマト」。さんさんと輝く太陽のもとで育った真っ赤なトマトには、抗酸化作用に富むリコピンなどが豊富に含まれている。

 トマトは野菜のなかでも糖質は低めで、血糖値を上げにくい低GI食品だ。2型糖尿病の人の血糖管理でも、低GI食品は有効とされている。

 トマトを使った加熱料理は、心臓の健康に良く、脳卒中やがんのリスクも下げることも分かってきた。

 毎日の食事で、トマトを使った料理や、手軽に利用できる無塩トマトジュースを活用したい。

夏野菜のトマトは健康に良い野菜

 夏野菜の代表格といえば「トマト」。さんさんと輝く太陽のもとで育った真っ赤なトマトには、抗酸化作用に富むリコピンなどが豊富に含まれている。

 欧州には「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるほど、トマトは健康に良い野菜として知られている。

 トマトには、ビタミンA・ビタミンC・カリウムや、食物繊維などもバランス良く含まれている。トマトの赤色の色素成分であるリコピンは、抗酸化作用があることから注目されている。

 リコピンは、体のストレス応答を抑制し、糖尿病・心血管疾患・がん・認知症などから保護的に働くと考えられている。

 リコピンは熱に強く、脂溶性なので、油を使って加熱調理することで摂取効率が高まる。トマトの加熱料理は、一度にたくさん食べられるため栄養をとりやすい。

 ユネスコ無形文化遺産にも登録されている地中海式ダイエットは、トマトをふんだんに使った煮込み料理などがあることが、長寿食・健康食として高く評価されている理由のひとつだ。

トマトは血糖値を上げにくい低GI食品

 トマトには糖質も含まれるが、野菜のなかでも糖質は低めで、血糖値を上げにくい低GI食品だ。GI(グリセミック インデックス)は、糖質を含む食品を食べた場合の食後の血糖上昇を示す指標。

 オーストラリアのシドニー大学によると、GI値は食パンが95なのに対し、トマトは30と低い。2型糖尿病の人の血糖管理でも、低GI食品の活用は有効とされている。

トマトの加熱料理は心臓に良くがんのリスクも下げる

 トマトを使った加熱料理は、心臓の健康に良く、がんのリスクも下げると、米コーネル大学が発表している。

 加熱調理によって、ビタミンCは減ってしまうが、トマトの赤い色素成分であるリコピンが体に吸収されやすくなり、栄養価が向上するとしている。

 「トマトをスパゲッティソースなどに入れて調理すると、心臓に良く、抗ガン作用も高まります」と、同大学食品科学部のルイ ハイ リウ氏は言う。

 「加工食品のすべてが、野菜や果物などの新鮮な農産物に比べて栄養価が低いというわけではなく、上手に利用すると野菜の摂取量を増やせます」としている。

トマトを食べると脳卒中のリスクが低下

 米国神経学会(AAN)の発表によると、トマトやトマトベースの食品を食べることは、脳卒中のリスクを低下させることにも関連している。

 46歳~65歳のフィンランドの男性1,000人超を12年間追跡した調査では、リコピンの摂取量がもっとも多い人は、もっとも少ない人に比べて、脳卒中を発症する可能性が59%低かった。

 「野菜を多く食べることが、脳卒中のリスクの低下と関連していることが裏付けられました。トマトやトマトベースの食品をよく食べていると、血中のリコピン濃度が上昇します」と、東フィンランド大学公衆衛生・臨床栄養研究所のヨウニ カルピ氏は述べている。

トマトを食べると腸内細菌叢が健康に

 ヒトの腸には、約1,000種類の腸内細菌が棲みついていて、腸内細菌叢(腸内フローラ)と呼ばれている。腸内細菌が、2型糖尿病や肥満などのさまざまな疾患と関係があることが明らかになりつつある。

 米オハイオ州立大学の研究で、トマトを多く含む食事を2週間摂取すると、腸内細菌の多様性とバランスが良くなり、腸内細菌叢が健康になることが明らかになっている。

 「トマトは、腸内細菌叢のバランスを良くする可能性があります。健康を維持し、より証拠にもとづいた健康的な食事を勧められるようにするため、ヒトを対象とした研究を計画しています」と、同大学食品科学技術部のジェシカ クーパーストーン氏は述べている。

トマトジュースも栄養が豊富

 スペインのバルセロナ大学の研究では、トマトジュースにもポリフェノールが多く含まれることが示されている。

 とくに、有機栽培されたトマトが作られたジュースには、ポリフェノールが多く含まれるとしている。

 「トマトは、スペインを含む世界中で多く利用されています。これまで、カロテンやリコピンなど栄養価のある特定の栄養素に関する研究が多かったのですが、トマトに含まれるポリフェノールにも健康効果があります」と、同大学栄養学部のロサ ラムエラ氏は述べている。

 毎日の食事で、トマトを使った料理や、手軽に利用できる無塩トマトジュースを活用したい。

Glycemic Index Research (シドニー大学)
Cooking Tomatoes Boosts Disease-Fighting Power (コーネル大学 2002年4月23日)
Can Eating Tomatoes Lower the Risk of Stroke? (米国神経学会 2012年10月8日)
Serum lycopene decreases the risk of stroke in men: A population-based follow-up study (Neurology 2012年10月8日)
Tracing tomatoes' health benefits to gut microbes (オハイオ州立大学 2022年11月8日)
Short-Term Tomato Consumption Alters the Pig Gut Microbiome toward a More Favorable Profile (Microbiology Spectrum 2022年11月2日)
Organic tomato juice contains more beneficial phenolic components than juice from conventionally grown crops (バルセロナ大学 2011年9月27日)
Is there any difference between the phenolic content of organic and conventional tomato juices? (Food Chemistry 2012年1月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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