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2024年07月09日

コーヒーを飲むと糖尿病リスクが低下 座っている時間が長い人に効果 コーヒーの安全な飲み方

 コーヒーを1日に1杯多く飲むだけで、2型糖尿病のリスクが低下するという調査結果が報告されている。

 コーヒーを飲む習慣があると、とくに1日に座ったまま過ごす時間の長い人は、心血管疾患が少なく、死亡リスクを抑えるのにつながるという別の研究も発表された。

 コーヒーに含まれる成分として、まっさきに思い浮かぶのはカフェインだ。コーヒーの安全な飲み方について、専門家が指摘している。

コーヒーを飲んでいる人は糖尿病リスクが低い

 コーヒーを1日に1杯多く飲むだけで、2型糖尿病のリスクが低下するという調査結果を、オランダのロッテルダム大学医療センターなどが発表した。

 これまでも、コーヒーを飲む習慣が、糖尿病リスク低下と関連していることを示した研究が発表されており、今回の研究はそれを裏付けるものだ。研究成果は、「Clinical Nutrition」に掲載された。

 研究グループは、「英国バイオバンク」に参加した14万5,368人と、「ロッテルダム研究」に参加した7,111人のそれぞれのデータを解析した。

 その結果、コーヒーを飲む量を1日に1杯増やすことは、2型糖尿病の発症リスクが4~6%低下することと関連しているが示された。

 さらに、コーヒーを飲んでいる人は、インスリン抵抗性が低下し、CRPが低下(炎症の低下)、レプチンが低下、アディポネクチン濃度が上昇している傾向がみられた。

 コーヒーにはカフェインが含まれる。欧州食品安全機関(EFSA)は、コーヒーを1日に3~5杯飲む習慣は、ほとんどの成人にとって安全としている。3~5杯のコーヒーに、カフェインはおよそ400mg含まれる。

コーヒーはとくに座っている時間が長い人に効果がある

 コーヒーを飲む習慣があると、とくに1日に座ったまま過ごす時間の長い人は、心血管疾患が少なく、死亡リスクを抑えるのにつながるという別の研究を、台湾の東呉大学が発表した。

 研究グループは、毎日座ったまま過ごす時間とコーヒーを飲む量という2つの因子に着目し、「米国国民健康栄養調査(NHANES)」に参加した1万639人のデータを解析した。参加者を最大で13年間追跡して調査した。

 その結果、1日に8時間以上座っている人は、1日に4時間未満しか座っていない人に比べて、あらゆる原因で死亡するリスクは46%高く、心血管疾患で死亡するリスクは79%高かった。座ったまま過ごす時間の長い生活スタイルは、健康リスクを高めることが示された。

 しかし、コーヒーを1日に3〜4杯飲んでいる人は、座ったままの時間が長くとも死亡リスクは上昇しないことが分かった。

 コーヒーを多く飲んでいる人は、飲まない人に比べて、あらゆる原因で死亡するリスクは33%低く、心血管疾患で死亡するリスクは54%低かった。

 さらに、コーヒーを飲まない人が1日に6時間以上座ったまま過ごしていると、コーヒーを飲む人が6時間未満しか座っていないのに比べ、あらゆる原因で死亡するリスクが58%高くなった。

 「長時間座っていることがもたらす死亡リスクの上昇は、コーヒーを飲む習慣のある人ではあまりみられないことが分かりました」と、同大学栄養・食品衛生学部のビンヤン リーは述べている。

コーヒーはほんとうに体に良い?
飲みすぎると気分や体調に影響があらわれることも

 コーヒーに含まれる成分として、まっさきに思い浮かぶのはカフェインだ。カフェインには覚醒作用があり、脳を刺激して眠気やだるさを解消する。また、腎臓に作用して尿の量を増加させたり、心臓を刺激して心拍数を増加させる効果などがある。

 ただし、カフェインを過剰に摂取し、脳への刺激が増強されると、眠れなくなるだけでなく、イライラして落ち着かくなったり、筋肉がこわばったり、手足が震えることもある。ひどい場合には頭痛や耳鳴りがし、吐き気がして嘔吐することもある。

 コーヒーは体に良いのだろうか、それとも悪いのだろうか? これに対して、米カリフォルニア大学などの研究者は、「カフェイン入りのコーヒーには、精神を活性化する向精神作用があります。これは人によって、良く働くこともあれば、悪く働くこともあると考えられます」と答えている。

 「コーヒーが健康にどのような影響を与えるかは難しい問題です。それぞれの人の遺伝的な因子や、コーヒーの飲み方なども影響しています」と、同大学精神科のサンドラ サンチェス ロイジ氏は言う。

 研究グループは、米国を拠点に実施されている遺伝子研究である「23andMe」に参加した13万153人と、英国で実施されている「UKバイオバンク」に参加した33万4,649人のデータをそれぞれ解析して比較した。

 その結果、米国のデータと英国のデータとでは、コーヒー摂取と不安障害や双極性障害、うつ病などとの関連ではそれぞれ逆のパターンが示された。米国のデータでは、コーヒーの多量の摂取と精神疾患とのあいだに正の相関関係がみられた。

 ただし、2つの研究では調査方法が異なり、カフェイン抜きのコーヒーを含んでいたり、コーヒーの種類や、インスタントコーヒーやドリップコーヒーの違いがあったり、砂糖を入れて飲むかブラックで飲むかなど飲み方も多様であり、単純には比較できないとしている。

 「コーヒーを飲む習慣にはリラックス効果もあります。コーヒーブレイクとして休憩時間にコーヒーを飲むくらいなら、ほとんどの人には問題はないとみられます。しかし、コーヒーに依存してしまい飲みすぎると、気分や体調に悪影響があらわれる可能性もあります」と、サンチェス ロイジ氏は指摘している。

 「体質に合わないカフェインの摂取は勧められません。コーヒーを飲んだときのご自分の体調の変化に注意を向けることをお勧めします」としている。

New research reveals a potential mechanism for how coffee may reduce the risk of type 2 diabetes (コーヒー科学情報研究所 2023年3月22日)
C-reactive protein partially mediates the inverse association between coffee consumption and risk of type 2 diabetes: The UK Biobank and the Rotterdam study cohorts (Clinical Nutrition 2023年3月7日)
Association of daily sitting time and coffee consumption with the risk of all-cause and cardiovascular disease mortality among US adults (BMC Public Health 2024年4月17日)
Is Coffee Good for You or Bad for You? (カリフォルニア大学サンディエゴ校 2024年6月18日)
Genome-wide association studies of coffee intake in UK/US participants of European ancestry uncover cohort-specific genetic associations (Neuropsychopharmacology 2024年6月11日)
Is coffee good or bad for your health? (ハーバード大学 2021年4月6日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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