ニュース
2022年06月08日
糖尿病の人はストレスの管理も必要 野菜を食べている人はストレスが少ない?
2型糖尿病の人や糖尿病予備群は、悲しみ・不安・怒りといったネガティブな感情を抱くことが日常生活で多い傾向があると言われている。
これは、脳の血糖の調節がうまくいっていないと、ストレスや感情的反応に影響がでてくることがあるからだと考えられている。
血糖コントロールを改善すれば、こうしたネガティブな感情を抑えやすくなる可能性がある。
野菜を十分に食べている人は、ストレスレベルが低く抑えられているという調査結果も発表された。
ホウレンソウ・レタス・リーフレタス・キャベツ・ブロッコリーなどの葉物野菜を食べていると、心臓病や脳卒中の発症が少ないことも分かった。
「野菜はどんなサプリメントよりも効果があります」と、研究者は述べている。
野菜を食べている人はストレスが少ない
オーストラリアのエディスコーワン大学栄養健康イノベーション研究所の研究では、野菜を十分に食べている人は、ストレスレベルが低く抑えられている傾向があることも示された。 研究グループは、「オーストラリア糖尿病・肥満・ライフスタイル研究」に参加した25~91歳のオーストラリア人8,600人以上を対象に、野菜や果物の摂取量とストレスレベルとの関係を調べた。 その結果、野菜や果物を毎日470g以上食べていた人は、230g未満しか食べていない人にくらべ、ストレスレベルが10%低いことが分かった。 「野菜や果物には、炎症や酸化ストレスを軽減するビタミン、ミネラル、フラボノイド、カロテノイドなどの重要な栄養素が含まれます。これらがメンタルの健康を改善するのに役立っている可能性があります」と、同研究所のシモーヌ ラダベリ-バガティニ氏は言う。 「ストレスを管理していない状態が長期間に及ぶと、心臓病、2型糖尿病、肥満、うつ病、不安神経症などのさまざまな健康問題が引き起こされます。メンタルヘルスの問題に対処し、ストレスを軽減する方法を開発する必要があります」としている。 オーストラリアで野菜の推奨量を毎日摂っている成人は10人に1人程度、果物については2人に1人程度だという。 関連情報野菜はどんなサプリメントよりも効果がある
同大学の別の研究では、ホウレンソウ・レタス・リーフレタス・キャベツ・ブロッコリーなどの葉物野菜を、毎日1カップ(200~300g)以上食べている人は、心臓発作・心不全・脳卒中・末梢動脈疾患などの発症が少ないことも分かった。 研究グループは、デンマークで実施されている大規模調査「デンマーク食事・がん・健康研究」に参加した5万人以上を対象に調査した。野菜の摂取量を知るために、葉物野菜に多く含まれる硝酸塩の量を測定。ホウレンソウ300gに含まれる硝酸塩は0.6g程度だ。 「野菜を毎日食べることは、心臓病の予防など、健康に利益をもたらします。野菜を十分に食べていれば、ビタミン・ミネラルなどの入ったサプリメントは必要ないでしょう」と、同研究所のキャサリン ボンドンノ氏は言う。 ただし、人気の高い野菜ジュースやフルーツジュース、バナナ・ベリー・ホウレンソウなどの市販されているスムージーは、糖質を加え飲むやすくしてあるものがあり、さらに果肉や食物繊維が取り除かれているものも多いので、あまり勧められないという。糖尿病の人はストレスの管理も必要
血糖値が高いと、病気のことや自身について否定的になる
ストレスを受けやすいと、血糖値がさらに上昇
「血糖値が高く、肥満があり、インスリン抵抗性が強くあらわれている人は、刺激の強い否定的な写真に強く反応する傾向がみられました。そうした人は、人生の否定的な事柄に強く反応してしまい、ストレスを受けやすい可能性があります」と、同大学心理学部のオーリエル ウィレット氏は言う。 研究グループは、脳波検査(EEG)の結果も調べた。血糖値が高くなっている人は、脳の右側がより多くの活動を示す傾向がみられた。一般的に、右脳は感覚・感情・直感などに関わっていると考えられている。 「ストレスが多いと、血糖値が高くなりやすくなり、それがネガティブな感情を引き起こし、治療がより困難になるという悪循環を生みだすおそれがあります」と、ウィレット氏は指摘している。 「血糖値が高くなっている人は、ストレスを管理し、血糖コントロールを良好にして、健康的な体重を維持することで、こうした悪循環を断ち切れる可能性があります」としている。Fruit And Vegetable Intake Is Inversely Associated With Perceived Stress Across The Adult Lifespan(Clinical Nutrition 2021年4月9日)
One Cup Of Leafy Green Vegetables A Day Lowers Risk Of Heart Disease(エディスコーワン大学 2021年5月4日)
Vegetable Nitrate Intake, Blood Pressure And Incident Cardiovascular Disease: Danish Diet, Cancer, And Health Study(European Journal of Epidemiology 2021年4月21日)
Brain activity helps explain diabetics' negative feelings, risk for depression (アイオワ州立大学 2018年5月7日)
Neural, Hormonal, and Cognitive Correlates of Metabolic Dysfunction and Emotional Reactivity (Psychosomatic Medicine 2018年6月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
メンタルヘルスの関連記事
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事は脳の健康にも良い 糖尿病の人は認知症リスクが高い
- 糖尿病の人のメンタルヘルスを改善 手軽にできる3つのストレス解消法 心と体をケア
- 夕方から夜のウォーキングが血糖値を下げる 糖尿病や肥満のある人に運動がおすすめ 睡眠も改善
- どんな食事スタイルの人が糖尿病リスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 「糖尿病とともに生活する人々の声をきく」開催報告を公開 医療従事者と患者が活発に対話 日本糖尿病学会
- 1型糖尿病の人の4人に1人が摂食障害? 注射のスキップなど 若年だけでなく成人もケアが必要
- 掃除や買い物などの家事も立派な運動? わずか20分の活動が糖尿病を改善 「座っている時間」を中断して体を動かす習慣を
- 今年も猛暑に 「良い睡眠」で対策 睡眠不足は糖尿病を悪化 暑い夏の夜でもぐっすり眠る3つの方法
- 植物性食品が中心の食事スタイルが糖尿病リスクを低下 心臓血管病・がん・うつ病のリスクも減少
- 自然豊かな環境で運動すると糖尿病やうつ病のリスクが減少 緑の環境が運動を楽しくする