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2021年05月19日

糖尿病の人は過度のエネルギー制限にも注意 筋肉が減少するおそれが 日本人糖尿病患者を調査

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 日本人2型糖尿病患者で摂取エネルギー量と筋肉量の変化について調べた研究で、とくに高齢患者で摂取エネルギー量が少ないと筋肉量が減少しやすいことが明らかになった。
 「糖尿病の人は、適切なエネルギーを摂取することが重要ですが、近年増加しており高齢2型糖尿病患者で課題となっているサルコペニアを予防するために、筋肉が減らないようすることも重要です。過度のエネルギー制限をしないようにすることが必要です」と、研究者は述べている。
糖尿病の人はサルコペニアに注意 筋肉の減少を防ぐ必要が
 サルコペニアとは、加齢や運動不足などの影響で、筋肉が急激に減ってしまう状態。「サルコ」は筋肉、「ペニア」は減少という意味だ。運動不足で筋肉を使わないでいると、筋肉は衰えて細くなっていくだけでなく、寝たきりの原因にもなる。

 サルコペニアになると、2型糖尿病や高血圧などのリスクが上昇するのに加え、「歩く速度が低下する」「転倒・骨折のリスクが増加する」「着替えや入浴などの日常生活の動作が困難になる」「死亡率が上昇する」など、さまざまな影響が出てくる。

 京都府立医科大学は、日本人2型糖尿病患者で摂取エネルギー量と筋肉量の変化について検討し、とくに高齢患者で摂取エネルギー量が少ないと筋肉量が減少することを明らかにした。

 サルコペニアは、2型糖尿病患者で加齢にともない増える。高齢2型糖尿病患者では、健常者と比較して、サルコペニアの有病率が高いことが報告されており、サルコペニアの予防・改善が喫緊の課題となっている。

出典:京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学、2021年
摂取エネルギー量が少な過ぎるとサルコペニアのリスクが上昇
 骨格筋量は高齢者では年間0.5~2%低下し、骨格筋量の維持には運動やタンパク質摂取が重要であることはよく知られているが、摂取エネルギー量も重要な要素となる。

 研究グループはこれまで、サルコペニア合併高齢2型糖尿病ではそうでない高齢者に比べ、摂取エネルギー量が少ないことを、横断研究で明らかにしてきた。

 しかし、2型糖尿病での摂取エネルギー量が骨格筋量の変化に与える影響については明らかになっていなかった。

 そこで、京都府立医科大学内分泌・代謝内科で実施しているコホート研究「KAMOGAWA-DMコホート」を用いて、摂取エネルギー量と骨格筋量の変化について調査を行った。

 研究は、京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学の橋本善隆病院助教、福井道明教授らの研究グループによるもの。研究成果は、科学誌「Clinical Nutrition」に掲載された。

関連情報
日本人2型糖尿病患者290人を調査
 対象となったのは、非高齢者2型糖尿病患者93名と高齢2型糖尿病患者197名。研究グループは、これらのデータを用いて前向き観察研究を実施した。

 簡易型自記式食事歴法質問票を用いて、摂取エネルギー量、タンパク質摂取量などのデータを、生体電気インピーダンス分析法の体成分分析装置を用いて、骨格筋量のデータをそれぞれ収集。

 BMIや四肢骨格筋肉量(SMI)を算出した。SMIは、四肢の筋肉量の合計(kg)を身長の2乗(m²)で割った値で、筋肉量の指標として用いられている。

 SMIの変化量から年間筋量低下率を算出し、年間0.5%以上の低下を示したものを筋量低下群と定義した。
高齢糖尿病患者の58.9%が筋量低下
 その結果、非高齢者では平均16.3ヵ月のフォローアップで54.8%に筋量低下を、高齢者では平均18.1ヵ月のフォローで58.9%に筋量低下が認められた。

 非高齢者、高齢者に関わらず、筋量低下群では非低下群と比較すると、摂取エネルギー量が少ないことが明らかになった。

 さらに、高齢者ではHbA1c、喫煙習慣、運動習慣、アルコール摂取習慣、インスリン使用、SGLT2阻害薬使用、GLP-1使用、腎不全、タンパク質摂取といったさまざまな筋量低下に関連する因子で調整した後も、摂取エネルギーが少ないことが筋量低下に関連することが示された。

 さらに、高齢2型患者ではインスリン治療を受けている群、血糖コントロール不良(HbA1c7%以上)群、運動習慣を有する群、喫煙習慣を有する群、肥満を有する(BMI25以上)群でも、摂取エネルギー量が少ないことと筋量低下に関連があることが示された。
過度にエネルギー制限をしないことも必要
 今回の研究で、高齢2型糖尿病患者では摂取エネルギー量が少ないと筋量低下をきたすことが明らかになった。

 「糖尿病の人は、適切なエネルギーを摂取することが重要ですが、近年増加している高齢2型糖尿病患者で課題となっているサルコペニアの予防の観点からは、筋量維持のためにしっかりとエネルギーを摂取することを医療者が意識して治療を行うこと、患者さんも過度にエネルギーを制限しないようにすることが必要とみられます」と、研究者は述べている。

出典:京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学、2021年

京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科学
Short energy intake is associated with muscle mass loss in older patients with type 2 diabetes: A prospective study of the KAMOGAWA-DM cohort(Clinical Nutrition 2021年4月1日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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