ニュース
2020年02月13日
糖尿病予防のための「5つの生活スタイル」とは? 50歳までに実行すると寿命が延びる
5つの健康的な生活スタイルを維持することで、2型糖尿病、心血管疾患、がんといった慢性疾患を発症しないでいられる期間を延長できることが、米国の研究で明らかになった。5つの生活スタイルを実行することで、平均余命は女性で10年以上、男性では8年近く長くなるという。
5つの生活スタイルを実行すると寿命が延びる
ハーバード大学公衆衛生大学院が提唱する「5つの健康的な生活スタイル」とは、▼健康的な食事を摂ること、▼運動を習慣として行うこと、▼健康的な体重を維持すること、▼アルコールを飲み過ぎないこと、▼喫煙しないこと。
こうした生活スタイルを中年期に実行することで、2型糖尿病、心血管疾患、がんの発症リスクを低下できることが確かめられている。
研究チームが2018年に発表した研究では、5つの健康的な生活スタイルを実行することで、約30年間の研究期間中に、心血管疾患で死亡する割合が82%低下し、がんで死亡する割合が65%低下したことが明らかになった。
5つの健康的な生活スタイルをすべて実行している人は、まったく実行していない人に比べ、期間中に死亡する可能性が74%低く、平均余命が男性で平均12年、女性で平均14年、それぞれ延長するという結果になった。
糖尿病、心臓病、がんの発症を遅らせることができる
「これまでの研究で、健康的な生活スタイルにより慢性疾患のリスクが低下し、平均余命が延びることは分かっていましたが、生活スタイルが病気のない期間にどう影響するかを研究はほとんどありませんでした」と、ハーバード大学公衆衛生大学院の栄養学部の上級研究員であるヤンピン リー氏は言う。
そこで、研究チームは今回の研究で、健康的な生活スタイルを続けると、糖尿病、心血管疾患、がんとった慢性疾患を発症することなく、健康に生きられる期間を延長できるかを検証した。
研究チームは、「看護師健康研究(Nurses' Health Study)」に参加した7万3,196人の女性を平均34年、「医療者追跡研究(Health Professionals Follow-up Study)」に参加した3万8,366人の男性を平均28年、それぞれ追跡した調査した。
健康的な食事は「代替健康的な食事指数(Alternate Healthy Eating Index)」の得点で判定。運動については、中等度から活発な運動を1日に30分以上行っている場合を運動習慣ありと判定した。
体重については、体格指数(BMI)が18.5~24.9の場合を健康的な体重と判定。アルコールについては、男性は1日に2ドリンクまで、女性は1ドリンクまでを飲んでいる場合に適度な飲酒と判定した。
余命に女性で10年以上、男性では8年近くの差が
その結果、50歳で健康的な生活スタイルを1つも実行していない人は、平均余命が、男性は23.5年、女性は23.7年だったのに対し、4~5つ実施していると、男性は31.1年、女性は34.4年に延長されることが分かった。
一方、もっとも平均余命が短かったのは、ヘビースモーカーで肥満のある男女だった。
「糖尿病、心血管疾患、がんとった慢性疾患は、高い医療費が必要となるだけでなく、患者の生活の質(QOL)を低下します。生活スタイルを改善し、健康的な食事や運動を続ければ、QOLが向上し、医療費も削減できます」と、ハーバード大学公衆衛生大学院栄養学部のフランク フー教授は言う。
「これまで以上に健康的な生活スタイルを促進する公共政策を推し進めるべきです」と、フー教授は指摘している。「米国人は健康的な生活を送ることに関心をあまり払わない傾向があります。健康的な食品の流通を増やし、都市計画を立案し、社会環境を整備するために、より多くの注力が必要です」。
Following healthy lifestyle habits at middle age may increase years lived free of chronic diseases(ハーバード大学公衆衛生大学院 2020年1月8日)Healthy lifestyle and life expectancy free of cancer, cardiovascular disease, and type 2 diabetes: prospective cohort study(BMJ 2020年1月8日)
Following five healthy lifestyle habits may increase life expectancy by decade or more(ハーバード大学公衆衛生大学院 2018年4月30日)
Impact of Healthy Lifestyle Factors on Life Expectancies in the US Population(Circulation 2018年4月30日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病予備群の関連記事
- 日本人がどれだけ運動・身体活動をしているかを調査 若年・中年・女性は運動不足が多い
- 子供の頃から肥満対策が必要 学校で座りっぱなしの時間が減ると子供の肥満は改善 糖尿病を予防
- 「低カロリー甘味料」が過体重や肥満の人の体重管理を改善 糖尿病リスクも高めない 欧州肥満学会議が発表
- 「ヨーグルト」が糖尿病リスクを減らす ジャンクフードから置き換えると糖尿病リスクは低下
- 子供の肥満は成長してから糖尿病などのリスクに スマホのスクリーンタイムが長い子供は高リスク
- 若いときの強いストレスは年齢を重ねてから糖尿病や肥満のリスクを高める 軽い運動をするとリスクは減少
- 糖尿病の人に「糖質制限ダイエット」は良い? 植物性食品を取り入れると成功しやすいことが判明
- 中年期に肥満・メタボがあると認知症リスクが上昇 "隠れメタボ"の人も糖尿病リスクが高い 体重の3%減少を目標に
- 【世界糖尿病デー】2型糖尿病リスクは35歳から急激に上昇 運動は「万病の薬」 歩くことからはじめてみよう
- 糖質量からお店や商品が探せるアプリ「ドコカボ」〜開発者の赤坂さん夫妻に聞く[PR]