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2011年12月05日

高カロリーの飲料の飲みすぎはキケン 女性は特に要注意

 高カロリーの清涼飲料を1日2本以上飲む女性は、体重増加がなくても2型糖尿病と心疾患の発症リスクが高まることが、米国の新しい研究で示された。

清涼飲料1本に角砂糖10個分のカロリー
 米国では砂糖入りの炭酸飲料や清涼飲料が、肥満の予防や改善に向けた闘いでしばしば標的とされる。清涼飲料を販売する大手メーカーも自主的に、学校の自動販売機でこうした飲料を販売しないなど、対策を行っている。

 今回の研究によると、これら飲料のもたらすリスクは男性よりも女性でより深刻で、体重増加とは独立したものだという。

 市販されている清涼飲料は、最近は甘味料を使用し低カロリーに抑えたものが増えているが、原材料として果糖ブドウ糖液糖や砂糖を使用した高カロリーの飲料はまだまだ多い。

 例えば、代表的な炭酸飲料であるコーラは100mL当り45kcalで、1本(350mL)は約150kcalになる。これを角砂糖に換算すると、約10個に相当する(1粒の角砂糖は3.7gで約15kcal)。缶コーヒー1本(190mL)のカロリーは50〜80kcal(角砂糖にすると3〜5個分)。

 この研究は米オーランドで開催された米国心臓学会(AHA)年次集会で発表された。オクラホマ大学の健康科学センターのChristina Shay博士ら研究チームは、さまざまな民族集団に属する45〜84歳の男女約4166人を対象に、質問表により清涼飲料の摂取習慣について調べた。

高カロリー飲料を飲みすぎると、腹部脂肪、高中性脂肪、
2型糖尿病の危険性が高まる
 研究では、2002年の研究開始時で心疾患と診断されていなかった男女を対象に、体重増加、ウエスト周囲径、HDLコレステロール、LDLコレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)、空腹時血糖値、2型糖尿病について、5年間にわたって3回の追跡検査を行った。

 その結果、中年女性で1日2本以上の砂糖入り飲料を飲む人は、1本未満の人に比べ、中性脂肪値が高値になるリスクや、空腹時血糖値が高くなる糖尿病前症(prediabetes)になるリスクが4倍であった。また、2本以上飲む女性では腹部脂肪の増加がみられたが、必ずしも体重増加はみられなかった。

 腹部に内臓脂肪が蓄積すると、脂肪細胞が肥大・増殖し、脂質代謝や糖代謝に影響を与えるアディポサイトカインの分泌異常が起こる。これが動脈硬化を促進し、糖尿病、高血圧、脂質異常症を発症させ、悪化させる原因となる。

 男性ではこうした影響はみられなかった。その理由について「女性は男性に比べ体が小さく、筋肉量も少ない。そのため、女性の食事のエネルギー摂取量は男性より少ない。女性において150kcalの清涼飲料が占める割合は、男性よりも大きい。一方で、女性で高カロリーの清涼飲料による心疾患の発症の危険性は、男性より高くなるともいえる」とShay博士は述べている。

 「高カロリーの飲料が高中性脂肪といった心臓血管の危険因子にどのように影響を及ぼすか、正確にはまだ分かっていない」としながらも、「高カロリーの清涼飲料が個人の肥満を増やし、心臓病と2型糖尿病の危険性を高めていると考える人は多い。研究では、女性で体重の増加が伴わない場合でも、心臓病と脳卒中の危険性が高まることが示された」とShay博士は付け加えている。

 「生活習慣を改善し食事を見直せば、高カロリーの清涼飲料の摂取を控えるのは難しいことではない。女性は家族全体の食事の選択をしていることが多いので、家族全体ではさらに影響が大きいだろう」と研究者らは指摘している。

Sugar-sweetened beverages may increase cardiovascular risk in women(米国心臓学会 2011年11月13日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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