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2010年04月05日

「野菜を1日に350g食べよう」日本栄養士会がキャンペーン

 現代の日本には野菜不足をまねきやすい食生活スタイルが蔓延している。日本栄養士会は、広く野菜の1日の必要量を知ってもらい、生活習慣病予防と、野菜の摂取拡大・消費拡大につなげるキャンペーン「野菜を食べようメタボ撲滅」を実施している。

 日本栄養士会では、脂質異常症や2型糖尿病などの生活習慣病の予防・対策として、野菜を食べることを勧めている。野菜で低エネルギーなので、食べすぎを気にして量を計算しなくても済む。体に必要なビタミン、ミネラル、食物繊維などもたっぷり含まれる。
野菜が生活習慣病全体の予防・対策に
野菜の1/3以上は緑黄色野菜で

 日常で食べる機会の多い野菜(トマト、アスパラガス、ピーマン、ブロッコリー、ほうれん草、さやいんげん、おくら、こまつな、にんじん、パセリ、にら、芽キャベツ)はカロテンが多く含まれる「緑黄色野菜」。

 緑黄色野菜以外は、淡色野菜、その他の野菜と呼ばれる。野菜の1/3以上は、緑黄色野菜でとりたい。

野菜の目安量

  • 緑黄色野菜:目標
    1日合計120g〜160g
ほうれん草 1/2把(150〜200g)
こまつな 1/2把(150〜200g)
ブロッコリー 大3房(100g)
にんじん 中1/2本(100g)
トマト 2/3〜1/2個(100g)
さやえんどう 10〜12本(100g)

  • その他の野菜:目標
    1日合計240g〜280g
はくさい 葉1枚(100g)
大根 厚さ3〜4?p(100g)
キャベツ 葉2枚(100g)
かぶ 1個強(100g)
たまねぎ 中1/2(100g)
もやし 1/2袋(100g)

かぼちゃも緑黄色野菜だが、野菜の中では炭水化物が多いので、注意が必要。
 日本栄養士会は1日350g以上の野菜をとることを推奨しているが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」では、60歳代を除く全ての世代で1日350g未満という結果になった。

 特に20歳代から40歳代で、男女ともに300gを大きく下回っている。

 また、政府が主導する「健康日本21」では野菜の摂取目標量を1日350gとしているが、2007年の中間評価では267gで、策定時のベースライン値の292gより減少した。

 そこで食に関する専門職である「管理栄養士・栄養士」によって組織される日本栄養士会は、「野菜の摂取量を増加させることが、生活習慣病全体の予防・対策に大きく関わる」として、野菜の摂取量の増加に焦点を絞り、2008年度から「野菜を食べよう」キャンペーン活動を開始した。

 野菜の摂取量を増やすことで、

  1. エネルギーの少ない野菜の摂取量を増やすことが、肥満や2型糖尿病の予防・対策になる
  2. 野菜にはカリウム、食物繊維、抗酸化ビタミン類、各種抗がん成分なども含まれる。脳卒中、高血圧、がんの予防にも有用
  3. カルシウムの摂取量を増加させることで、骨粗鬆症を予防する
などの効果を期待できるとしている。

 キャンペーンは昨年4月に開始し、2011年の3月まで実施する。野菜の摂取の重要性と1日の望ましい摂取量を理解してもらい、野菜を摂取することで生活習慣病を予防できるという認識を普及させる狙いがある。さらに実際の野菜の摂取量増加につなげる。厚生労働省や農林水産省などの協力を受け、関係団体、企業などにも働きかける。

(社)日本栄養士会 キャンペーン「野菜を食べよう―メタボ撲滅
  • 野菜の日である8月31日がある8月をキャンペーン強化月間として、事業を集中して実施。農林水産省が実施している「夏ベジプロジェクト」にも参加。
  • 全国で管理栄養士による「栄養相談・食生活相談」事業を、キャンペーン強化月間である8月に、14都府県栄養士会の協力を得て実施。
  • 野菜の機能性を盛り込んだ「ヘルシーダイアリー」を作成。
  • 野菜の日である8月31日に“野菜を食べよう―メタボ撲滅シンポジウム”を、東京で一般対象に開催。
  • ステートメントを策定し、親しみやすいキャッチフレーズも作成。8月のシンポジウムで発表。
(社)日本栄養士会
収穫を待つ春キャベツ

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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