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2010年04月05日
「アディポネクチン」が運動と同じ効果をもたらす 東大チームが解明
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脂肪燃焼や糖の取り込みを促すホルモン「アディポネクチン」とその受容体を活性化することで、運動と同じ効果を得られる可能性があることを、東京大学医学部の門脇 孝教授や山内敏正准教授らの研究チームがあきらかにし、科学誌「Nature」電子版に発表した。高齢や過度な肥満などで運動できない人向けの薬の開発につながる研究成果。
アディポネクチンは脂肪細胞から分泌されるホルモンで、2型糖尿病やメタボを改善する善玉ホルモンと考えられている。標準的な体格の人の血液中には多くみつかるが、2型糖尿病や内臓脂肪型肥満の人では出にくくなることが知られている。 日本でも、脂肪の多い食事や運動不足によって、肥満やメタボが増加している。肥満になるとエネルギー代謝に関わるミトコンドリアの量や機能が低下する。アディポネクチンと受容体を介しミトコンドリアの働きを活性化すれば、運動したときと同じような効果を得られるとい
食事と運動がミトコンドリアの量や機能を改善
メタボや2型糖尿病を予防・治療するために、もっとも大事なのは食事療法と運動療法。食事療法は体が必要とするエネルギーを過不足なく摂取するのが基本で、運動療法は適度な有酸素運動と、筋肉の持久力を増進させるような運動が基本とな- 運動を習慣として行うことで、長寿遺伝子「SIRT1」が活性化される。SIRT1は「腹八分目」の言葉通り、適正なエネルギーを摂取することでも活性化される。さらに、運動をすると筋肉にある「AMPキナーゼ」という酵素が活発に働くようになる。そうするとインスリンとは別の経路で、筋肉に糖が取り込まれるようになる。
- ミトコンドリアは細胞内でエネルギー代謝を担う小器官。運動がもたらすさまざまな作用により、筋肉細胞内の働きを調整する「PGC-1α」という物質とミトコンドリアの活性と量が向上し、糖代謝や脂質代謝が改善される。PGC-1αはミトコンドリアを構成する分子で、遺伝子の転写を制御する働きをしてい
る。 - これまでミトコンドリアの量や機能については、PGC-1αが重要な役割を果たしていることが分かったいたが、なぜ肥満に伴いPGC-1αやミトコンドリアの量や機能が低下するかは、よく分かっていなかっ
た。
アディポネクチンと受容体の働きが大きい
研究チームはさらに、アディポネクチンとその受容体が、肥満に伴い低下することから重要な役割を担っていると考え、研究を重ねた。アディポネクチン受容体を欠損させたマウスを作り、正常なマウスと比べた。受容体が働かないマウスでは、血糖の取込みや脂肪燃焼のほか、運動持久力も低下しており、糖尿病やメタボの状態になった。
受容体を活性化することで、PGC-1αとミトコンドリアの量と機能が改善し、代謝と運動持久力が高められ、脂肪酸燃焼や糖の取り込みが促されると結論付け[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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