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2010年04月07日
食品の果糖添加が肥満を増やす? 「甘い問題」に解決策
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- 糖尿病の食事指導 [間食] 食事療法

甘味料の種類によって体重が増加するものとしないものがあることを、米プリンストン大学の研究チームがラットを用いた動物実験であきらかにした。研究者らは「食品に含まれる果糖の過剰摂取が、米国人の肥満増加の要因になっている可

果糖を加えた水を与えたラットでは体重増加が顕著だった。実験に使われた果糖は、実際に売られている清涼飲料に含まれるものと同じだという。
果糖は糖の中ではもっとも甘味が強く、多量をとり続けると血中の中性脂肪が上昇しやすくなる。
研究チームは、高果糖シロップの摂取と肥満の関連を調べるために、2つの研究を行った。1つめの研究では、ラットに2種類の餌を与えて体重の変化を比較した。それぞれ標準的な餌を与えたが、片方は高果糖シロップで甘くした水を、もう片方には砂糖(グラニュー糖)で甘くした水を加えた。
その結果、エネルギー摂取量は同じであっても、高果糖シロップを与えた方が体重増加が大きかった。
2つめの研究では、ラットに高果糖シロップを6ヵ月間与え続け、体重増加、体脂肪、中性脂肪値の変化を観察した。高果糖シロップを与えたラットでは、通常の餌を与えたラットに比べ体重が48%も増えていた。
顕著な体重増加に加え、中性脂肪の著しい増加、腹部で内臓脂肪の沈着が認められた。これらはヒトではメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)と判定される。ラットに高脂肪食を与えた場合でも、これほどの体重増加はみられなかったという。
「高果糖シロップを与えたラットでは単に脂肪が増えただけではなく、内臓脂肪と血中の中性脂肪の増加を伴う肥満を示していた。これらはヒトでは高血圧、冠動脈疾患、がん、2型糖尿病の危険因子として知られる」と述べている。
高果糖コーンシロップと二糖類である砂糖(ショ糖)は、ともに単糖(フルクトース)とブドウ糖を含む化合物だが、明確に違う点があるという。ショ糖は同じ比率の単糖類(フルクトース50%、ブドウ糖50%)から構成されるが、研究で使用された高果糖コーンシロップはフルクトース55%、ブドウ糖42%と比率が不均衡になっている。
なぜ高果糖コーンシロップがより多くの体重増加をもたらすのかは、食欲や代謝、遺伝子発現の研究では解明されていない。しかし、清涼飲料などの食品の甘味を補うために、フルクトースを50%以上含む高果糖コーンシロップを添加すると、肥満の増加につながることを指摘した研究はこれまでも発表されてい
世界保健機関(WHO)でも、食塩と同様に、加工食品などに甘味料として添加された糖をとりすぎないようコントロールすることを勧めている。
米国では40年前に、高果糖コーンシロップがコストが安く甘味が強い添加物として食品業界に受けいけられ普及した。それ以降、米国の肥満者の割合は増える一方で、米疾病管理予防センターによると、1970年には米国成人の約15%程度だったが、現在では3人に1人が肥満と判定されるようになった。
高果糖コーンシロップは、フルーツジュース、炭酸飲料、シリアル、パン、ヨーグルト、ケチャップ、マヨネーズなど多くの食品に含まれている。米国人は1人当たり年間に平均60ポンド(約27kg)の甘味料を消費しているという。
この研究は米国公衆衛生局の資金提供を受け実施され、医学誌「Pharmacology Biochemistry and Behavior」オンライン版に2月26日に発表され
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