ニュース
2024年10月07日
土曜・日曜のみの「週末だけ運動」でも糖尿病や高血圧のリスクは減少 運動は自分がやりやすい方法で効果がある

週末(土・日曜日)の1~2日のみ活発な運動を集中的に行う「週末だけ運動」のパターンの人も、まったく運動をしていない人に比べ、糖尿病や高血圧、腎臓病、心臓代謝疾患など200を超える疾患のリスクを減らせることが明らかになった。
「ウォーキングなどの活発な運動を毎日行うのが理想的ですが、それができないという人も、運動をあきらめるべきではありません。どんな運動であっても、まったくしないでいるのよりは良いのです。週末しか運動できないとしても、効果を期待できます」と、研究者はアドバイスしている。
週末のみの活発な運動が200を超える疾患のリスクを減少
週末(土・日曜日)の1~2日のみ活発な運動を集中的に行う「週末だけ運動」のパターンの人も、まったく運動をしていない人に比べ、糖尿病や高血圧、腎臓病、心臓代謝疾患など200を超える疾患のリスクを減らせることが、8万9,573人を平均6年間追跡した研究で示された。 「週末だけ運動」により、糖尿病のリスクは43%、高血圧のリスクは23%、それぞれ減少した。定期的に運動している人はもっとも効果が高かったが(糖尿病は46%、高血圧は28%、それぞれリスクが減少)、週末だけの運動でも効果を期待できることが分かった。詳細は、「Circulation」に発表された。 「運動ガイドラインで推奨されている運動量を満たすことが理想的ですが、毎日忙しく過ごしていて運動の時間をとれないという人や、これまで運動に取り組んだことのない人なども多くいます」と、米マサチューセッツ総合病院心臓センターのシャーン シクルッド氏は言う。 「そのような人でも、週末ならウォーキングなどの運動に取り組みやすいのではないでしょうか。ご自分にとって行いやすく、もっと効果的と思われる運動パターンをみつけることが勧められます」としている。「週末だけ運動」が高血圧・糖尿病・心臓病のリスクを減少
米国の運動ガイドラインでは、健康を改善し維持するために、活発な運動を週に150分行うことが勧められている。ウォーキングなどの運動を1日に20~30分、週に5~6日行うと、推奨されている運動量を満たすことができる。 しかし、仕事や家事、育児などが忙しく、運動を行う時間を毎日とるのは難しいという人は多い。 そこで研究グループは、週末の1~2日のみの活発な運動であっても、病気のリスクを減らせるかを調査した。 英国で実施されている大規模研究であるUKバイオバンクに参加した、平均年齢が62歳の成人8万9,573人を平均6年間追跡したデータを解析した。参加者に活動量計を1週間身につけてもらい、運動の強度や行った時間を記録し、16種類・678の疾患の発症率との関連を調べた。 その結果、週末だけ運動していた人でも、まったく運動をしない人に比べて、200を超える疾患のリスクが減少することが示された。もっとも関連が強かったのは、高血圧、糖尿病、心臓代謝疾患だった。ウォーキングなどの運動は毎日行うのが理想的だが
それができなくともあきらめる必要はない
2017年に発表された別の調査でも、週末だけ運動を行っている人は、まったく運動をしない人に比べ、死亡リスクが30%低いことが示されている。詳細は、「JAMA Internal Medicine」に発表された。
「週に1~2回であっても、活発な運動を行っている人は、運動不足の人に比べて、がん、心血管疾患などが原因で死亡する可能性が低いことが示されました」と、クリーブランド クリニックの心臓専門医であるタマンナ シン氏は述べている。
「理想的には、体を休める日を1~2日挟みながら、運動を毎日行うことが勧められますが、それが難しくて週末しかできないという人でも、運動を続けていれば体に良い効果があらわれます」としている。
ハーバード公衆衛生大学などは、イングランド健康調査などに参加した平均年齢が58.6歳の成人6万3,591人を対象に調査した。
その結果、運動を週に1~2回行っている人は、運動をしていない人に比べて、心血管疾患による死亡リスクが40%低く、がんによる死亡リスクが18%低かった。
なお、もっとも効果が高かったのは、定期的に運動している人で、死亡リスクは35%低下した。
「平日にウォーキングなどの活発な運動ができないからといって、運動をあきらめる理由はありません。どんな運動であっても、まったくしないでいるのよりは良いのです。週末しか運動できないとしても、それはそれで良いのです」と、シン氏はアドバイスしている。
「運動を習慣として行うと、寿命を延ばせます。たとえ推奨されている運動量より少ないという場合でも、何もしないでいるよりは、健康リスクの軽減を期待できます」としている。
それができなくともあきらめる必要はない
Associations of "Weekend Warrior" Physical Activity With Incident Disease and Cardiometabolic Health (Circulation 2024年9月26日)
Is It OK to Only Exercise on Weekends? (クリーブランド クリニック 2020年5月1日)
Association of "Weekend Warrior" and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality (JAMA Internal Medicine 2017年1月9日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
運動療法の関連記事
- 運動と健康的な食事の組み合わせで効果は最大に 内臓脂肪が減り転倒も防止 女性にも運動が必要
- ウォーキングなどの運動で糖尿病リスクを減少 余暇時間の運動が寿命を4.5年延ばす 仕事の後は体を動かす習慣を
- ウォーキングなどの運動で糖尿病など19種類の疾患のリスクを減少 わずか5分の運動で認知症も予防
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- 糖尿病の人に「不規則な生活」はなぜNG? 体内時計が乱れるとインスリン作用が低下 どうすれば改善できる?
- ラジオ体操などにより要介護や認知症のリスクが低下 体操は取り組みやすく続けやすい
- [高血圧・肥満・喫煙・糖尿病]は日本人の寿命を縮める要因 4つがあると健康寿命が10年短縮
- 良い睡眠は糖尿病リスクを減らす 睡眠は「魔法の薬」 3つの方法で改善
- 座っている時間が糖尿病や肥満のリスクを上昇 わずか10分間の運動で血管が健康に 睡眠も改善
- 少し食べすぎただけで糖尿病? ストレスが糖尿病や肥満の原因に ウォーキングなどの運動でストレスを解消