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2024年10月28日

糖尿病の人には運動が必要 体を動かすと食欲も抑えられる 座ったままの時間が長引いたら立ち上がって運動を

 ウォーキングなどの運動を行い、体を動かすことで、糖尿病だけでなく、肥満や脂質異常などのリスクを下げることができる。

 活発な運動を行うことで、胃から分泌される食欲ホルモンを抑えられ、食欲を抑制し、体重が減りやすくなることが明らかになった。

 また、座ったまま過ごす時間の長い人は、心血管疾患のリスクが高く、死亡リスクが上昇するが、活発なウォーキングなどの運動を行うと、死亡リスクは上昇しないことも分かった。

 「座ったままの時間が長引くときは、定期的に休憩をとり、デスクから離れてまわりを歩き回る、散歩をする、階段を使うなどして、体を動かしましょう」と、研究者はアドバイスしている。

運動を続けると血糖値が下がりやすい体に変わっていく

 ウォーキングなどの運動を行い、体を動かすことで、糖尿病だけでなく、肥満や脂質異常、循環器疾患、がん、加齢にともなう生活機能の低下、認知症などのリスクを下げられることが知られている。

 有酸素運動により筋肉への血流が増えると、ブドウ糖が細胞にとりこまれ、血糖値を下げるインスリンの効果が高まり、血糖値は低下する。

 ウォーキングや筋トレを続けていると、筋肉を増やすことができ、持久性も向上する。運動は、ブドウ糖や遊離脂肪酸の燃焼や、血糖値を下げるインスリンの働きも高め、血糖値が下がりやすい体に変わっていく。

運動を行うと空腹感が抑えられ食べすぎを減らせる

 ウォーキングや筋トレなど活発な適度の運動を行うと、空腹感も抑えられることが、米バージニア大学の新しい研究で明らかになった。

 「強度を適度に高めた運動は、食欲を抑制するために重要であり、とくに体重を管理したいと思っている人にとって、効果が高い可能性があります」と、同大学で内分泌代謝学を研究しているカラ アンダーソン氏は言う。

 「運動には、病気を治療するための薬と同等、あるいはそれ以上の効果を期待できます。ただし、適切な運動量については、個人の目標にもとづいてカスタマイズされるべきだと考えられます」としている。

 研究グループは今回、8人の男性と6人の女性を対象に試験を行った。参加者に一晩絶食してもらい、血中乳酸値の測定により決定したさまざまな強度の運動に取り組んでもらい、食欲にどのような変化があらわれるかを調べた。

活発な運動を行うと食欲ホルモンを抑えられる

 研究では、活発な運動を行うことで、血中の「グレリン」を抑えられることが示された。運動をした後では「空腹感が少ない」と感じる人が多かった。

 グレリンは胃から分泌される食欲ホルモンで、食欲を高めて摂食量を増やすなどの生理作用があり、体重増加に影響する。肥満やメタボリックシンドローム、2型糖尿病など、さまざまな病気に関わっていると考えられている。

 「強度を高めた運動には、食欲を抑制する効果がある可能性があります。とくに女性で運動による効果はあらわれやすいことも示されました」と、アンダーソン氏は言う。

 「体重を減らしたいと思っている人には、食事の管理に加えて、運動を習慣として行うことが勧められます」としている。

 研究は、米国内分泌学会が発表したもので、米国国立糖尿病・消化器・腎臓病研究所(NIDDK)およびバージニア大学教育人間開発学部の支援を得て行われた。 (75gブドウ糖負荷試験)が行われる。

長時間座ったままの生活は体に悪い 糖尿病リスクも上昇
立ち上がって体を動かすことが大切

 1日に座ったまま過ごす時間が多く、長時間座ったままコンピューターやスマホを操作していたり、テレビを観ていたり、車を運転している人は、健康障害が起こりやすいことが、オーストラリアのシドニー大学の別の研究で明らかになった。

 1日10時間以上座っている人は、心血管疾患のリスクが高く、死亡リスクが上昇することが示された。

 一方で、座ったままの時間が長い人でも、活発なウォーキングなどの中高強度の運動を1日に30分以上、軽めの中等度の運動を64分以上行っていると、死亡リスクは上昇しないことも明らかになった。

 「長時間座り続けることは、体にとって良いことではありません。ふだんから座りっぱなしの生活をしている人は、1日を通して、立ち上がって体を動かす時間をつくることが大切です」と、同大学ウェアラブル研究所のエマニュエル スタマタキス教授は述べている。

 研究グループは、7万3,729人の成人を対象に7年間追跡した大規模な前向きコホート研究のデータを解析し、活動量計で測定した身体活動量と健康状態などの関連を調べた。

 その結果、1日に座ったままの時間が多く、運動不足の人は、そうでない人に比べ、心血管疾患による死亡リスクが2倍に上昇した。

 「座ったままの時間が長引くときは、定期的に休憩をとり、デスクから離れてまわりを歩き回る、散歩をする、階段を使うなどして、体を動かしましょう」と、スタマタキス教授はアドバイスしている。

Study finds intense exercise may suppress appetite in healthy humans (米国内分泌学会 2024年10月24日)
The Impact of Exercise Intensity and Sex on Endogenous Ghrelin Levels and Appetite in Healthy Humans (Journal of the Endocrine Society 2024年10月24日)
Standing more may not reduce cardiovascular disease risk, could increase circulatory disease (シドニー大学 2024年10月17日)
Device-measured sedentary time and intensity-specific physical activity in relation to all-cause and cardiovascular disease mortality: the UK Biobank cohort study (International Journal of Behavioral Nutrition and Physical Activity 2024年7月3日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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