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2024年03月06日
スナック菓子や菓子パンなどの「超加工食品」が32の健康障害の原因に 糖尿病リスクも上昇 どんな食品を食べると良い?

菓子パンやポテトチップスなど、体に悪いジャンクフードや超加工食品などを間食として利用していると、健康を害する原因になるという研究を、米国のジョンズ ホプキンズ大学やオーストラリアのディーキン大学などが発表した。
超加工食品の食べすぎは、32の健康障害と関連しており、2型糖尿病・肥満・がん・心臓病・肺疾患などのリスクが上昇するだけでなく、うつ病などのメンタルヘルス不調にもつながるとしている。
「超加工食品が健康にどのような影響をもたらしているかを理解し、食べるのを減らすために緊急の対策が必要です」と、研究者は述べている。
超加工食品の食べすぎは健康障害を引き起こす
研究は、医学誌「ブリティッシュ メディカル ジャーナル」に発表されたもの。超加工食品を多く食べる食事スタイルは、有害である可能性があるとしている。 「超加工食品」は、工業的な過程を経て製造されており、色・風味・食感を調整したり、保存期間を延ばすために、さまざまな食品添加物が使用されている。糖分・塩分・脂肪を多く含む、高カロリーのものも多い。 ▼清涼飲料や炭酸飲料、▼ポテトチップスなどのスナック菓子、▼菓子パン・総菜パン、▼カップ麺などのインスタント食品、▼ピザ・チキンナゲット、▼ケーキ・クッキー・ビスケット・パイ、▼ドーナツ・マフィンなどが超加工食品だ。 「超加工食品の消費は、この数十年で世界的に急速に増えています。これらの食品の多くは、糖分・塩分・脂肪が多く含まれ、必要なビタミンや食物繊維などはあまり含まれていません」と、ディーキン大学心身医療研究所のメリッサ レーン氏は言う。 高所得国で超加工食品によるエネルギー摂取が、1日の総エネルギー摂取量の最大58%を占めている可能性があるという。低・中所得国でも、超加工食品の消費は急速に増えている。 関連情報超加工食品の食べすぎで心血管疾患や糖尿病などのリスクが上昇
研究グループは今回、超加工食品による健康への悪影響について調べた45件の研究を解析した。対象となったのは988万8,373人に上る。超加工食品の製造に携わる企業から資金提供を受けた研究は取り除いた。 その結果、超加工食品の食べすぎは、32の健康障害の増加と関連しており、超加工食品の摂取量が多いと、すべての原因による死亡のリスクが21%増加し、心血管疾患に関連する死亡のリスクは50%増加することが示された。 超加工食品の食べすぎにより、2型糖尿病のリスクは12%上昇し、肥満や睡眠障害などのリスクも40~66%上昇した。 さらには、不安症などのメンタルヘルス不調のリスクは48~53%上昇し、うつ病のリスクは22%増加することも示された。 超加工食品の食べすぎは、喘息などの呼吸器疾患、胃がんや大腸がん、脂質異常症、善玉コレステロールの低下などの心臓代謝のリスクとも関連していた。超加工食品の食べすぎを減らすことが必要
「超加工食品が、人々の健康を損ない、寿命を縮めている可能性があります。今回の研究は、健康を改善するために、超加工食品の食べすぎを減らすことが必要であることを裏付けるものです」と、研究者は述べている。 国際的な機関や各国の政府は、タバコの規制に関する条約を採択したのと同じように、超加工食品の制限に関する条約を策定する必要があると指摘している。 食品会社が、より栄養価の高い食品を製造するのを促すために、公共的な政策も必要としている。さらには、食品パッケージのラベルを改善したり、広告を制限し、学校や病院などの公共性の高い施設の近くで販売を禁止したり、加工度の低いより自然な食品を入手しやすくし利用を増やす対策も必要としている。糖尿病の人が健康的な食品を食べると死亡リスクは大きく減少

Ultra-processed food exposure and adverse health outcomes: umbrella review of epidemiological meta-analyses (ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2024年2月28日)
Dietary Factors and All-Cause Mortality in Individuals With Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Meta-analysis of Prospective Observational Studies (Diabetes Care 2023年1月26日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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