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2023年11月27日

糖尿病の人の足を守るために 気づかず進行する「足の動脈硬化(LEAD)」にご注意 日本初の研究を開始

 日本フットケア・足病医学会などは、「足の動脈硬化」(LEAD:下肢動脈疾患)と「フレイル」の関連や、重症化のリスク因子を調査・研究する「LEAD・フレイル研究」を開始した。

 足の動脈硬化が重症化すると、壊死・切断に進行し、足を失うこともある。そうなると生活の質(QOL)や生存率が大きく低下する。糖尿病の人の足を守るために、早い段階からの「予防」が重要となる。

 「LEAD・フレイル研究」は、足と歩行を守るために必要な日常生活での予防策や、リスクのある人への早期の治療の方法を開発することを目的としており、現在、参加する患者の募集が行われている。

糖尿病の人の足の動脈硬化を調べる研究を開始

 日本フットケア・足病医学会と医療法人社団恵智会は、「足の動脈硬化」(LEAD:下肢動脈疾患)と「フレイル」の関連や、重症化のリスク因子を調査・研究するため、5年にわたり歩行・身体機能の経過を追う「LEAD・フレイル研究」を開始した。

 研究は、世界でも類を見ない検査数を実施するだけでなく、足の動脈硬化の無症状や軽症者とフレイルの関連を前向き観察研究で調べる、日本初の取り組みになるとしている。

 足の動脈硬化が重症化すると、足壊死・切断を起こし、生存率は悪性腫瘍より低いとも言われている。しかも、無症状で経過する人が多く、とくに歩行機会が少ない人は、症状に気がつかないうちに最重症にいたるケースもある。

「LEAD(下肢動脈疾患)」は足に起こる動脈硬化

 糖尿病の合併症のひとつに「足病変」がある。重症になると足を切断しなければならない場合もある。日常生活で自分の足に注意をして、異常が起きていたら適切なケアを受けることが足病変の予防につながる。

 糖尿病の人が、血糖値が高い状態が長く続くと、動脈硬化が起こりやすくなる。動脈硬化は血流障害をおこし、その結果、足にもさまざまな異常が出やすくなる。

 LEAD(下肢動脈疾患)は、足に起こる動脈硬化。足の十分な血流を保てなくなり、「歩いていると足が痛くなる」「足が冷たい」「足の色が悪い」などの症状がでてくる。糖尿病は、喫煙に次ぐLEADのリスク因子とみられている。

 最初は、足の冷感や色調の変化があらわれ、その後で「間欠性跛行」が起こる。その症状としては、歩いていると、しびれや痛みが強くなり、少し休むとしびれや痛みはなくなるというもの。症状が悪化してくると、ちょっと歩いただけで痛くなり、歩くことが困難になってしまう場合もある。

 動脈硬化により、足の血流が悪くなり、血流が途絶えてしまうと、足の指などの細胞が腐っていってしまう壊疽が引き起こされることもある。なるべく早期に発見して、適切な治療を開始することが重要になる。

関連情報

患者を救うために早い段階からの「予防」が重要

 日本フットケア・足病医学会などは、11月14日の「世界糖尿病デー」に合わせて、「LEAD」や「LEAD・フレイル研究」に関するプレスセミナーを開催した。

 当日は、糖尿病とLEADの関係性について、同学会理事長の寺師浩人先生(神戸大学大学院医学研究科形成外科学 教授)らが講演した。

 私は20年以上、足の動脈硬化(下肢動脈疾患:LEAD)などにより、血流が悪くなってできた足のキズの治療をしてきましたが、実は患者さんの約4分の1は初診時に、すでに歩行機能を失っています。つまり、だんだんと足腰が弱り、足の動脈硬化が進行し、いつの間にか足にキズができて、受診する頃には歩行が困難となっている。キズの治療で足を失う場合もあり、キズが治れば歩行機能が回復するとも限らず、結果的に生活の質の低下やフレイルにつながっていく。そんな患者さんを多く診てきました。

 私たちは、こうした患者さんを救うためには、早い段階からの「予防」が重要だと考えています。しかし、いまだ足の動脈硬化の病態などについて分かっていないことが多く、まずはそれらを明らかにする必要があります。

 そこで私たちは、足の動脈硬化と身体機能の関連について5年にわたって調査することにしました。多くの方々がこの研究にご参加いただくことで、病気の特徴や経過を捉えることができれば、予防法の確立に貢献することができ、患者さんだけでなく、将来の医療や社会、私たちの生活や歩行を守ることにつながります。ぜひ皆様のご参加をお待ちしております。

医療法人社団恵智会が公開しているビデオ

足の動脈硬化(下肢動脈疾患:LEAD)

足の動脈硬化と身体機能を研究する目的

「LEAD・フレイル研究」の参加者を募集

 「フレイル」は、加齢にともない、体や心のさまざまな機能の低下が進み、それにより健康障害が起こりやすくなった状態をさす。

 運動機能や認知機能が衰えると、介護の必要な状態におちいるリスクも高まる。心身が衰え、疲れやすくなり、家に閉じこもりがちになることも少なくない。

 近年、欧米では無症候や軽度の足の動脈硬化の人は、フレイルのリスクも高いという報告があり、足の動脈硬化やフレイルの兆候をみつけて、早期発見と予防につなげていくのが重要と考えられている。

 寺師先生は、自身が診る患者の4分の1は、初診時にすでに歩行を失っているという経験から、「無症候性LEADの患者は、歩行能力の低下に気づいていない可能性があることや、LEADの初期段階で、すでにサルコペニアやプレフレイルがはじまっている可能性がある」と指摘している。

「LEAD・フレイル研究」の参加者を募集

 日本フットケア・足病医学会と、医療法人社団 恵智会の共同研究である「LEAD・フレイル研究」の参加者の募集が行われている。

 この研究は、足の動脈硬化とフレイルの関連などをさまざまな検査を通して、5年間、観察する研究。参加する場合、受けられる検査項目は人により異なるものの、おおむね同じ時期に2日間もしくは3日間に分けて血管年齢やフレイル、歩き方の検査などの測定を受けられる。

足の動脈硬化と身体機能を調査する観察研究の参加募集 (日本フットケア・足病医学会/恵智会)
足の動脈硬化とフレイルの観察研究(LEAD・フレイル研究)の参加者を募集しています。

一般社団法人 日本フットケア・足病医学会

医療法人社団 恵智会
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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